題「子狐の恋」14
 次の日の朝、一護が目覚めると剣八はずっと自分を抱いていてくれた。
「お、おはよう、剣八」
「起きたのか、もうちっと寝てても良かったのによ」
「でも、剣八お仕事は?」
「ああ、なんか休みになった。一週間ほどな」
「一週間も?」
「ああ、ずっと一緒だな、一護」
一護の髪を梳きながら囁いた。
「ん・・・、うれしい・・・」
すりすりとすり付くと、足に熱の塊が当たった。
「あ、また、お口でする?」
「いい、こんな朝から煽んなよ」
くっくっと笑って髪をクシャリと撫でた。
「ん、でも・・・俺、したい・・・」
返事も聞かず、もそもそと蒲団の中に潜ると剣八の裾を開くとソコへ口付けた。
「ん、剣八、んふぅ、ん・・・」
「一護・・・」
ペロペロ舐めたり、吸ったりしてきた。
「ん、んくん、はぁ」
「い、ちご、先の方、尖らせた舌で舐めてみろ・・・!」
「うん」
くりくりと軽く抉る様に動かすと、剣八の身体がびくっと跳ねた。
「き、気持ち良い?」
「ああ、もう少し続けろ、すぐイクからよ・・・っ」
「うん」
一護は懸命に続けた。
「イク、ぞ、一護」
「ん、んく!ンくん!んふ、ごくん」
「・・・全部飲んだのか?」
「?うん、美味しかったよ?」
「この・・・!」
そのセリフによって朝から始まった夫婦の営み。

 お昼近く。
「お腹空いたね」
「あ〜、そうだな、風呂入って飯にすっか」
「うん!」

「どこで食うんだ?」
「ん〜、乱菊さんにお願いがあるし、食堂にする」
「そうか」

 食堂。
「なんにしようかな?」
「好きなもん喰え」
「ん〜、ハンバーグ美味しかったし」
「じゃあ、それにしろよ、俺は生姜焼定食にするか」
「うん」

「おかえり、一護君。おめでとう」
「ありがとう・・・」
頬を染め答える一護。

 二人で食べていると、
「いっちご!」
後ろからガバッと抱きつかれた。
「きゃぁ!」
「んふふー可愛いー!ちゃんと帰って来たのよね一護〜」
「ただいま、乱菊さん」
おでこ同士をぐりぐりくっつけて挨拶した。
「あのね、後でお願いがあるんだけど、いい?」
「良いわよ、あたしもここで食べていい?」
「俺は良いけど?」
ちらっと剣八を見る。目を瞑ったので、
「いいよ」
と答えた一護。
「良かった」
そんな二人に微笑む乱菊だった。

席に戻り、食事をする乱菊。一護の首筋の赤い跡を見つけてしまい、苦笑した。
「で?お願いって何?一護」
「うん、あのね、お料理・・・教えてくれる?」
「料理?なんでまた?」
「うん、俺、剣八のお嫁さんになったよね。で、何していいのか分かんないから剣八に聞いたら、料理でも覚えたらいいんじゃないかって。俺、お味噌汁が好きでしょ?だから、その、それ毎日作れって・・・」
新婚さんにあてられる乱菊。
「いいわよ、最初はお味噌汁ね。他のも作れるようになるまで教えてあげるわね」
「ありがとう、乱菊さん!」
「どういたしまして、食べ終わったら教えてあげる」
「うん!」
一護も食事を続けた。珍しくご飯をおかわりした。
「珍しいわね、あんたがおかわりするなんて」
「ん・・・、なんかお腹すいて・・・」
一護もおかしいと思った。

「ご馳走さまでした」
「美味かったか?」
「うん!あ、剣八お弁当付いてるよ」
口の端を舐める一護。
「ありがとよ」
「うん」
そんな二人の様子に乱菊も、
「ご馳走様」
食べ終わってもいたので、
「さ、一護、行きましょうか?」
「うん、じゃあ行ってくるね?剣八」
「ああ」

乱菊に連れられて、十番隊の台所へやってきた一護。
「最初は、簡単なやつからね、わかめと油揚げのお味噌汁から作りましょ」
「はあい!」
「まず、お鍋に水を入れて、だしを取るんだけど難しいからだしの素でやりましょ」
と小袋を取り出した。
「多分あんたんとこにもあるから弓親にでも聞きなさい」
「うん」
乱菊は作り方を教えて一護は手順どおりに作っていった。
「出来た!」
「どれどれ?」
味見する乱菊。
「ん!良いんじゃない?美味しいわ」
「ホント!」
「ええ、ほら」
小皿に入れて差し出す。
「ん、美味しい」
「後は、これの応用だから、必ず具材は水から火を通すことと、味噌を入れてからは炊き過ぎないこと。お豆腐は味噌を入れてからで良いけどね、明日はお豆腐の味噌汁を作りましょ」
「うん、ありがとう、乱菊さん」
お礼を言って、お鍋を十一番隊へ持っていった。
「ただいま、剣八居る?」
「お帰り、一護君。隊長なら部屋だよ」
「ありがと、弓親」
部屋へと戻る一護。
「剣八、ただいま」
「おお、なんだ鍋ごと持ってきたのか」
「うん、重かった」
縁側に座ると鍋の蓋を取って、
「味見してくれる?」
「ああ、わかめか」
おたまで掬って飲んだ剣八。
「美味いな」
「ほんとに!良かったぁ!あのね、明日はお豆腐のお味噌汁なの」
「そうか、まあ俺は嫌いなモンはねえから安心して作れ」
「うん!お鍋何処に置いたらいいかな?」
「台所にでも置いとけ」
「はあい」

台所から戻ると剣八は横になっていた。一護も隣りで横になって昼寝をした。
肌寒くなって目が覚めた。
「剣八、風邪ひくよ、もう起きよ?」
「ん?もうそんな時間か・・・」
「うん、夕飯どうするの?」
「どうするとは?」
「俺まだお味噌汁しか作れないし、ご飯あったっけ?」
「他のは弓親に作らせりゃいいじゃねえか」
「隊長ー、一護君ー、ご飯ですよー」
「ほれ、行くぞ」
「うん」

「はい、一護君、たくさん食べなよ?」
「うん」
ぱくぱくと食べ続ける一護ににこやかな弓親。
「弓親、おかわり」
「はい」
「良く食べるな、一護」
「うん、すごく美味しいから」
「ふふ、ありがと一護君、君のお味噌汁も美味しいよ」
「えへへ、ありがと」
この日から一護の食欲は増えていった。

夜、寝室にて。
「あ、ん、剣八・・・」
「一護、挿れるぞ」
「うん、きて剣八・・・」
熱く滾る自身を一護の中に入れていく。
「あ、ああ、熱いの、剣八のあつい・・・」
きゅうぅと締め付ける一護に、
「動けねえよ、緩めろ一護」
「ん、はぁん、あ、あ、いい」
「一護?動くぞ」
「うん・・・、いいよ」
とろん、とした目で頷くと剣八は律動を開始した。
「あ、ああん!いい!奥まで来てるの!あッ!ああっ!イク!ああっ!」
ぴゅくんっと吐精した一護。その締め付けで剣八も中に出した。
「く、ぅ・・・」
「あぅん、あつい・・・」
抱きあっていると、
「剣八、もっと・・・」
「ああ、気絶するまでな・・・」
「うん・・・」

「ああっ!んっ!んあっ!ああっあーー!」
「くっ!」
最奥に注ぎ込む剣八。
「ん、気持ち良い・・・」
後ろから熱い楔を打ち込まれ、顔から倒れる一護。
「大丈夫かよ・・・?」
「ん・・・、はぁ・・・」
剣八が抜こうとすると、
「だめ・・・、もうちょっと、このままで・・・」
「お前、体勢が苦しいだろ」
身体の向きを変えてやる。
「ぁん・・・」
向かい合わせで、胡坐の中で抱き締められる。
「ん、ありがと・・・」
「どうした?」
「え?」
「何かおかしいぞ?お前」
「そうかなぁ?」
「飯といい、コッチといい、えらく貪欲になったな」
「あ〜、うん、ご飯はね俺も変だなって思うけど、これは剣八だからだと思う」
「はあ?」
「だって俺、剣八しか欲しくないもの」
すりすりと首筋に擦り付いた。
「だから、朝も昼も夜も、ずーっと傍に居たいし、抱かれたい」
「そうか、でもやり過ぎるとお前が壊れそうで俺が嫌だな」
ぎゅっと抱き締める剣八。
「じゃあ、今日はここまで?」
「もう、五回終わったぞ?足りねえか?」
くっくっと笑う剣八が、
「風呂に行くぞ、心配しなくとも毎日一緒だし、毎日抱いてやるよ」
ちゅっとこめかみにキスをしてやった。
「うん」

 翌日、食堂にて二人で食事をしていると、狛村隊長が一護を見つけた。
「一護・・・?」
「あ、狛村さん、おはよう!」
「おはよう。・・・?」
少し違和感を感じた狛村。一護は相変わらずパクパク食べている。
「一護、少しよいか?」
「なあに?」
腹のあたりに手をかざす狛村。剣八に向きなおり、
「食事が終わったら、卯ノ花の所へ行った方がいいぞ、更木」
「あん?」
「ではな」
そう言って帰っていった。
「何だぁ?ありゃぁ?」
「もうすぐ食べ終わるから行ってみよ?」
「ああ・・・」

 四番隊。
「今日は、卯ノ花さん居ますか?」
「どうしました?一、護くん・・・?」
「あのね、さっき狛村さんが卯ノ花さんの所に行った方がいいって」
「そうですね、少し診察しましょうか」
「え?俺、病気なの?」
「いえいえ、そうではないですよ、ただ念のためです。更木隊長はそこでお待ちください」
「おお・・・」

 数十分後、診察室から出てきた二人。一護を剣八の隣りに座らせる。
「何かあったのかよ?」
「更木隊長、お気を確かにお聞きくださいね」
「ああ」
「一護君は、妊娠しています。一ヶ月といったところでしょうか。おめでとうございます」

・・・妊娠?一護が?

「卯ノ花?一護は男だよな?」
「ええ」
「どこに出来たんだ?」
「そうですね、丁度おへそのあたりに霊圧が集まっていますので、そこかと」
一護が触っている。
「じゃあ、最近飯をがばがば食ってんのも、ヤりたがんのも、それのせいか?」
「おそらくは。強い霊力で成長していくのでしょう、一護君の分では足りなくて食事と貴方の霊力を貰っているのでしょう」
一護が上目遣いにこちらを見ていた。
「子供・・・、ガキ、俺とこいつの・・・?」
一護が触っている腹を見て、突然抱き寄せた。
「でかした、でかした一護・・・!」
目を見開き、驚いたのは一護。
「う、産んでもいいの?」
「ああ?何人でも産め、男でも女でも」
はらはらと大粒の涙を零し、
「嬉しい、嬉しい、俺、こんなに幸せでいいの?剣八、ありがとう」
お腹をさすって泣いた。
「ただ、一護君の場合、狐でもあるわけですから、妊娠期間が人とは異なります。恐らくかなり早くなるのではと」
「で、俺は何すりゃいいんだよ」
「そうですね、より濃い霊圧の営みでも・・・」
「ほう・・・」
「一護君は、何でも好きな物を食べて下さい、定期健診には来て下さいね」
はい、と母子手帳が渡された。
「なぁに?これ」
「母子手帳です。何を食べたかとかを書いたり、定期健診の時にこちらでも書くので無くさないで下さいね」
「はい!」
「ああ、更木隊長、激しくはなさらないで下さいね」
「わーったよ」
「ただ、何故一ヶ月なのかが分からないんですが、一護君心当たりは?」
「えっと、この前の満月の時に発情期になったよ・・・」
「そうですか、ではその時ですね。あまり重い物を持ったりや冷たい食べ物は控えて下さいね」
「はあい」
「次は、来週のこの日に来て下さいな、その日じゃなくても何かあったら来て下さい」
「おう、じゃあな」
「またね、卯ノ花さん」
隊舎へ帰る二人。仲良く腕を組んでいる。
「さて、忙しくなりそうですね」
一人、楽しそうに呟く卯ノ花が居た。

「今日はお料理どうしようか?」
「ああ、行って来いよ、報告したいんだろ?」
「うん、ありがと」
ちゅっとキスをした。

「遅いわよ、一護。どうしたの?」
「あのね、乱菊さん、俺ね俺ね?」
「なあに?」
「こ、子供が出来たの!剣八の」
「ええっ!ホントに?」
「うん、卯ノ花さんも言ってた。一ヶ月だって」
母子手帳を見せる。
「おめでとう!一護!」
「ありがとう、乱菊さん」
ぎゅーっと抱き締めてくれた。
「じゃあ、今日のお味噌汁はどうするの?」
「ん?作るよ、教えて」

 昨日の鍋を返して、今日は隊舎から持ってきた。
それに豆腐の味噌汁を作って、帰る一護。
「ただいまー」
「お帰り、一護君」
台所に鍋を置くと部屋に帰る一護。
「おう、帰ったか」
「ただいま」
「こっち来い、一護」
「うん」
膝の上に乗せると一護のお腹を触る剣八。
「ここに、居るんだよな」
「うん・・・」
「まだ分かんねえな」
「でも、あったかいよ」
「そうか・・・」
夕飯になるまで一護を離さなかった剣八。

 夕飯の時、皆に教えた。反応は様々だったが、やちるが一番喜んでいた。
「だから最近やたらと食ってたんだな、お前・・・」
「おめでとう、一護君。いい子産みなよ?」
「ありがとう、みんな」
その日も、たくさん食べた一護。

 夜の営みはより濃くなった。剣八の休みである一週間は文字通り朝から晩までヤッていた。
霊圧が濃くなる分、腹の子は大きくなった。
「でかくなったな、きつくないか?」
「うん、大丈夫だよ」
「胸が膨らんだのは驚いたがな、まぁ乳やるのに要るんだろうな」
ちゅっと乳房に吸い付いた。
「あん、剣八・・・」
「ん?甘え・・・」
乳首から白い物が出ていた。ちゅっと吸うと甘かった。
「・・・乳か」
「みたい・・・」
ズクッと奥を突いた。
「あぁんっ!」
「一護、今日はこれで終いだ、明日卯ノ花んとこ行くんだろ?」
「ん、うん、あ、あ、いい、いい、剣八、ああっ!あっー!」
「くっ」
惜しみなく全てを注ぎ込む剣八。
もうすぐ臨月か・・・?それほど大きくなった腹を撫でさする剣八。
まだ、一ヶ月だぞ?それだけ霊力を注いだ訳か?
一護を風呂に入れてやり、腕に抱いて眠る。
明日は定期健診の日だ。


第15話へ続く





09/02/14作 妊娠発覚した一護。出産はどうなる?



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