題「子狐の恋」13
 白無垢に着替えた一護を見に来たやちる。
「わぁ〜、いっちー綺麗・・・。女神様みたい・・・」
「俺は男だよ?女神には、なれないよ」
優しく微笑んでやちるの頭を撫でた。
「いっちー、もう居なくならないでね?居なくなったら嫌だからね?」
「ごめんな、やちる。きっともうそんな事にはならないよ」
「絶対?」
「絶対に・・・」

 その頃の剣八は、髪を下ろし後ろに束ねていた。着ている物は紋付羽織に袴。
「堅っ苦しいな・・・」
「我慢して下さいよ、一護も着替えてんですから」
「わあってるよ」

 式は十一番隊の道場で執り行われる事になった。
二人の着替えが終わる頃、道場にも自然と人が集まった。
一護と仲の良かった者はみな来ていた。乱菊は言うに及ばず。白哉、恋次、冬獅朗、狛村、浮竹、卯ノ花、総隊長など、各隊長達も来ていた。
「まだかしらね〜」
「乱菊さんは見たんでしょ?どうでした?」
恋次が聞いてきた。
「内緒よ。ねー、やちる?」
「うん!来てからのお楽しみだよ!」
やちるの頭には、あの髪留めがちりんと音を立てていた。
「そうだな」

 やがて外がざわついた。扉の方を見ると、剣八と一護が並んで立っていた。
剣八はいつも通りだが一護はやや俯き加減だった。だが、それでも一護の美しさは際立っていた。
全員が溜め息をついた。
「ほぉ〜、綺麗ねぇ一護君」
「ホント!」
「更木隊長が大人しい・・・」
「そりゃねぇあんなに綺麗な花嫁さんが隣りにいるんだもん」
「一護君、立派になって・・・」
「何、泣いてんの?浮竹・・・」
「本当に綺麗ですこと・・・」

 神主の前に立つと、三三九度の酒を飲み交わす二人。
その後、玉串で払われた。
後は、上座に座り皆を見た。
剣八が、
「こいつが俺の女房になった一護だ。手ぇ出す奴はぶっ殺す!文句は言わせねえぞ」
「け、剣八・・・!」
赤くなる一護。
「ほら、お前も喰えよ、祝いの膳だ」
「うん」
食べていると、皆に祝福された。

おめでとう。 おめでとう。

ありがとう。 ありがとう。

嬉しくて嬉しくて泣いてしまった一護。
「こぉら、泣いちゃダメでしょ?今度こそ幸せになったあんたを見せてよ!」
「そうですよ、一護君。もう一人で悩まないで下さいね」
「はい、ありがとうございます・・・!」

 二人でその座を後にして部屋へと向かう。
途中、女性メンバーに着替えさせられる一護と自分で脱いで待つ剣八。

 スラリと襖が開いた。
「遅かったな、一、護・・・!」
「うん・・・」
真っ白な絹の襦袢に身を包んだ一護が立っていた。
すっ、と剣八の前に座る一護。心なしか目が潤んでいる。
「・・・紅は、落として来たんだな・・・」
する、と親指で一護の唇をなぞる。
「ん!・・・うん」
「一護・・・」
「剣八・・・」
「今から、お前は俺の妻だ・・・。もう俺から逃げるんじゃねぇぞ・・・」
「・・・はい」
剣八が一護の足の親指に口付けした。
「あ・・・、剣八・・・」
「一護、もう離さねえからな・・・」
髪を梳きながら、ちゅっと触れるだけの口付けが何度も繰り返された。
「ん、ん、あ、ん、剣、八・・・」
「一護、一護・・・」
口付けは顔から、耳へと移っていった。
「あぅ、やん、あっ、あっ」
「一護・・・」
その声を耳に流しこみながら、カリ、と歯を立てては、舌を耳穴に差し込んだ。
「ああん、剣八、もっと触って・・・?」
「ああ・・・、全身隈なく触ってやるよ・・・」
襦袢の袷から手を入れ、開いていく。大きな熱い手はゆっくりと胸を這いまわっていく。
「う、んん!剣八?」
「まだだ、お前が俺から離れて、俺がどれだけお前に乾いてたか分かるまでは、好きにさせてもらうぜ」
そう言うと深い口付けをしてきた。まるで何もかもを奪い去る様な口付け。
「んっ、んふっ!あっ!んく!ふっ、ふぅぅ、あ、んくん」
くちゅくちゅと水音が響いて、互いに混ざり合った唾液を飲み干した。
「んっはぁ、剣八ぃ、俺も、ずっと忘れたこと無いよ、いつもいつも、想ってた・・・」
「一護・・・!」
ふわりと優しく押し倒しその白い首筋に顔を埋め、唇を、舌を這わせては跡を付けていった。
「あ、あ、はぁぁん・・・」
「一護、一生消えねえくらいの跡を付けてぇな・・・」
「ああ・・・、剣八、大丈夫だよ、もう居なくなったりしないから・・・」
剣八の手に口付けた一護。そんな一護を見て鎖骨にきつく噛みつく剣八。
「ああう・・・!」
歯型が付き、うっすらと血が出た。
「また一つ、俺の証だ・・・」
「うれしい・・・」
口付けはどんどん下へと行き、胸の飾りに到達した。
「あッ!ゃん!ん・・・」
触れる前から立ち上がっていたそこには少し強めの愛撫を施す剣八。
片方は口に含み、もう片方は指で摘んでは、爪を立てた。
「ああっ!やっ!やっ!あっ?変、もうイク・・・」
一度も触れること無く達した一護。
「まだ全部脱がしてないぜ?感じすぎだ・・・」
「だ、だって・・・」
剣八は一護を脱がせながら、
「だって?なんだ一護」
聞いてやった。
「俺に触ってるの、剣八なんだもん・・・、一緒に居るだけでどうして良いか分かんないのに・・・」
「お前はよ・・・」
剣八は一護を裸にすると自分も脱いでいる物を全て脱いだ。
「ああ・・・、剣八の匂いだ、あったかい・・・」
「一護・・・」
剣八は一護の身体に手を這わせながら、全身を舐めていった。
「ぁっ、やぁ、なんで?いつもはこんな、こと、しなかったのに」
「特別だ、黙って感じてろ・・・」
そう言って身体中にキスマークを付けていった。

 愛撫が背中に回ると、声が甲高くなった。
「そういやぁ、背中弱かったなぁ・・・」
「もうやぁ・・・、おかしくなっちゃうよぅ・・・」
「安心しろよ、月が沈むまでには挿れてやるよ・・・」
「あぅぅ・・・」
項から肩甲骨を軽く噛んでは、背骨に沿って舐めていった。
「はぁあん」
剣八の手が一護の丸い尻を撫でまわし、その双丘を割り広げた。
「?、何するの?」
「久々だからな?ちゃんと解さねえと、な・・・」
ぴちゃ、と剣八の舌が一護の蕾に当てられた。
「だ!ダメ、ダメ、剣八ぃ、ダメだったらぁ・・・」
「聞けねえな、傷が付くかも知れねんだぜ?」
「だからってぇ・・・、んあ!ゃっ!う、動かさないで!変な、変な感じするからぁ!」
「変・・・ね、その割にコッチは立ってるぞ」
きゅ、と握ってやった。
「んああ、だめぇ、剣八、もうきて、お、奥が、う、疼いてきたの・・・」
「もうちょっと辛抱しろ、好きなだけイってもいいからよ・・・」
ひくひくと誘うそこへ指を入れて解していく。
「ああん!あんっ!あっあん!いや!いや!ヤなの!」
くちゅくちゅと音を響かせるそこの中のしこりをカリと引っ掻いてやる。
「やああ!やだあ・・・!」
まだ嫌だと言う一護に剣八が、
「何が嫌なんだよ?」
「指が・・・、いや・・・!剣八が、いい。剣八のがいい、の」
ぷちゅ、と指を抜いてやる。
「あ、はあ・・・」
一護はゆるゆる動いて、剣八自身を舐め始めた。
「一護!」
「ん、熱い、剣八、好き、大好き・・・」
ぺろぺろと舐める一護を押し倒す剣八。
「くそ、煽りやがって、一護」
「なぁに、剣八」
「愛してる、忘れるな」
「うん!うん!俺も剣八を愛してる!」
「いくぞ・・・」
「うん・・・」
一護は剣八の首に腕を絡ませた。剣八は熱く滾った自身を宛がうとゆっくりと腰を進めていった。
「あ、ああ、熱い、剣八の熱いよ・・・」
「ああ、お前の中も熱くて、おまけにとろとろに蕩けてるぜ」
「気持ちいい?」
「ああ、最高だ」
ちゅっちゅっと口付けしながら奥まで埋めていった。
「動くぞ?」
「ん・・・」
ずるりとギリギリまで抜くと奥まで強く突いてやった。
「ああんっ!んん・・・!剣八ぃ、奥まできたよ・・・」
がくがく震えながらしがみ付く一護。
「痛くねぇか・・・?」
「ん、大丈夫・・・」
「そうか・・・」
剣八が一護の前立腺を責め立てた。
「ひぃん!あっ、あっ、だめっ!ダメッ!イクッ!イッチャうよぅ!」
「イケよ、俺もイクからよ!」
「んあっ!ああっ!あっ!あっーー!」
「くっう・・・」
最奥に注ぎ込む剣八。
「ふぁん、お腹あつい・・・」
「一護・・・!」
ギュウッと一護を抱き締める剣八。
「あぅ、気持ちいい・・・」
そう呟いていると、ずる、と抜かれた。
「え?お終い・・・?」
「いいや、まだだ」
一護の身体を抱きあげ胡坐をかいた足に納めた。そしてまだ硬さを維持している自身を、ずぶりと埋め込んでいった。
「ひゃ・・・、あぁああぁあんん!」
白い首を仰け反らせる一護。
「一護、一護、ああくそ!何度呼んだって呼び足りねえよ!」
「剣八、剣八ぃ・・・」
ぽろぽろ涙を零してそれに応える一護。抱き締める腕に力を込めた。
「もうどこにも行くんじゃねぇ、俺から離れるな・・・!ココに居ろ!俺の傍にいて笑ってろ、お前の居場所は俺で、俺の帰る場所はお前だ・・・」
「うん!うん!分かった!ちゃんと帰ってきて、怪我しても良いから!生きて帰ってきて!」
一護も抱き返して泣いた。
剣八がその涙を唇で舐めとり、
「泣くな、これがすんだら、風呂に入れてやるからよ、ちゃんと起きてろよ?」
「う、うん、あ、ああ、ああん!やあ!深ぁい・・・!あぅっ!」
かぷっと肩に噛みついた一護。ふるっふるっと震えている。もうすぐか?
「我慢すんなよ、ちゃんと声、聞かせろ・・・」
指で口を外されると、噛んでた所を舐めた。
「くくっ!可愛いな、お前は・・・」
「あ、う、あん!ああっ!そ、そこやぁ!やだぁ!」
「なんで、嫌なんだよ」
律動は止めずに聞いてやった。
「だ、だって!すぐ、に!い!イッチャうもの!」
「じゃあ、いいんじゃねえのか?」
「気、気持ちいいけど、もっと剣八感じてたいの・・・」
「!?」
「俺がイって、気絶したら、剣八居なくなるから・・・」
「お前はよ・・・」
「イキたいけど、ずっとこうしても、いたいの」
きゅうっと抱き付いてきた一護。
「一護・・・」
ん?と顔をあげると、口付けされた。
「ん・・・、ふ、ちゅ、くふん・・・」
「俺も限界だ、もうイクぞ、一護」
「え、あ、うん・・・」
一護の膝裏に手を入れて持ち上げ、奥まで貫いた。
「ひぃああーーっ!ああっ!ああっ!やあぁっ!あうっ!あうっ!イク・・・!イクッ!ああっ!あっーー!」
「一護・・・!くっ!」
どくん!と最後の一滴まで残さず一護の中に注ぎ込んだ剣八だが、しばらく動かなかった。
「はぁっ!はぁっ!剣八・・・」
一護が剣八の首筋の汗を舐めていると、
「ガキが、欲しいな・・・」
ぽつりと呟いた剣八。
「?何か言った?」
「いいや、風呂行くぞ」
ずるんと中から抜くと、
「くうん・・・!」
と一護が啼いた。

 絹の襦袢を巻かれて風呂場まで抱かれて行った。
「ありがと・・・」
「ん・・・」
風呂は沸き立ての様に湯気を立てていた。
「ほれ、一護処理すんぞ、こっち来い」
「う・・・」
「まだ、恥ずかしいか」
「うん、あ、ああ!んん・・」
後ろから抱き込まれ、蕾に指を入れられ開かされる。とろとろと溢れる剣八の残滓。流れて来なくなると指で掻き出されて、湯でも洗われる。
情事後で敏感になっている身体は、すぐ反応を返す。
「やっぱり勃っちまったな・・・」
「あん・・・」
剣八の手に包まれ優しく扱かれイカされた。
「あ、はあ、はあ、剣八」

 剣八の手によって身体の隅々まで洗われた一護。
満足に動けないので腰掛けに座って剣八が自分の身体を洗い終えるまで待っている。
(広い背中だなぁ・・・、ん?赤い線・・・?)
「あ・・・!」
一気に顔が熱くなったのを感じた一護。
「ん?なんだ、一護」
「なっ、なんでもない!」
「そうかよ」
湯を被って剣八が近付いてきた。顔が見れない。あれは自分が付けた爪痕だ・・・。
「おい。湯に浸かるぞ」
と言って抱きあげる剣八。
二人で湯に浸かる、剣八は一護を後ろから抱き締める形で腕に抱いている。
「さてと、今日から夫婦だな一護」
「う、うん。俺何したらいいの?」
「あん?特にねえと思うが何かしてぇんなら料理でも覚えたらどうだ?味噌汁好きだったな?」
「うん」
「じゃあそれ毎日俺に作れ。後は追々で良いからよ」
「分かった。弓親に教えてもらうね」
「・・・、松本にしとけ」
「乱菊さん?いいけど。頑張って美味しいの作るね!」
「ああ・・・、さて、もう寝るか」
「うん」

 部屋に帰ると蒲団が新しくなって、水差しが置かれていた。
「あ、お水だ。飲も」
程よく冷えた水はとても美味しく感じた。
「はい、剣八」
「おう」
水を飲み干すと、一護を抱いて横になった。
蒲団を肩のあたりまで掛けてやり、髪を梳いたり、背中を撫でたりしていた剣八が、
「一護・・・」
「ん・・・なぁに?」
剣八の手が気持ち良くてうとうとしていた一護が返事をした。
「お前、俺への手紙によ、俺の未来が幸福に満ちています様にって書いてたな」
「う、うん」
「お前が居なきゃ、コウフクなんてありゃしねえんだ、俺にはな」
ぎゅっと抱き締めると、
「だから、もう俺の前から消えるなよ、一護・・・!」
「!うん!うん!ごめんなさい・・・!」
「分かったらいい・・・、もう寝ろ」
「う・・・ん」
子供が居れば一護はもう消えないだろう。こいつと俺の子供・・・。


第14話へ続く




09/02/13作 祝言と初夜でした。さて今後の展開は?



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