題「変化」第1話 |
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最近一護は身体の調子がおかしかった。 特に熱があったりする訳ではないのだが、おかしいと感じる。 それは、死神から人間に戻る時に感じられた。いつもの仕事の後や、瀞霊廷から帰って来た時などは特におかしいと感じた。 きっと嫌な噂を耳にしたからだと思った。 今日は、珍しく早く目が覚めた。鏡を見ると若干髪に違和感を覚えた。 (俺の髪こんなに柔らかかったけ?しかも何か手足が冷たい気が・・・) それでも報告日だから向こうに行く用意を済ませる。コンと入れ替わり、瀞霊廷にやって来た。 報告を終えると一護は十一番隊に顔を出す。いつもの様に稽古をしようと思っていたのに、何故か剣八に捕まった。 全隊士が稽古をしているのを良い事に、半ば拉致られて奥まった廊下で組み敷かれた。 「馬鹿!何考えてんだよ!」 「うるせえな、我慢出来ねぇんだよ・・・」 「だからって、お前、ん・・・」 口付けで黙らすと剣八は一護を貪った。いつもと様子がおかしいと感じたが考える余裕は既に無かった。 情事が終わると剣八は一護を風呂場まで連れていくと自分は道場に行った。 大人しく風呂に入っていた一護は体に違和感を感じた。恐る恐る自分の身体を見ると若干胸が膨らみ痛みがあった。 身体は全体的に丸みを帯びていた。下半身に目をやるとまだ一護自身は存在した。 安堵の息を吐き出すが、何故こんな事になったのか一護には分からなかった。取り敢えず風呂から上がっていつもよりもキッチリ着替えてから道場の方に向かう。道場に着くと剣八は居なかった。ホッとして一護は一角に稽古を申し出た。 一角と打ち合っていると、心臓が変な脈打ち方をした。 「・・・?」 気にせず打ち込むと勢い良く弾かれた。今度は一角が打ち込んで来たので、木刀で受けると、その手から飛んでいった。 あまりの衝撃に手が痺れている一護。呆然としている所へ剣八が戻ってきた。 「おい一護、早く木刀拾えよ」 一角に言われて漸く一護は木刀を握り直し、向かい合った。だが、今度も受け切れず、木刀を離してしまった。 「どうした一護、調子ワリィのかよ?」 「あぁ、何かおかしい・・・。今日はこれで上がるわ」 そう言うと一護は道場を後にした。 また心臓が変な脈打ち方をした。胸を押さえると何か柔らかいモノが当たった。厠に飛び込んで袷を開くと、そこには 小振りながら乳房があった。一護は叫びそうになるのを必死に抑えた。汗がダラダラ流れて泣きたくなった。 その時一護の頭に四番隊の存在が思い出された。袷をキッチリ閉じると厠から出て、大急ぎで四番隊に向かった。 四番隊に着くと一護は、花太郎に卯ノ花隊長は居るかと尋ねた。居ると言われたので案内して貰った。 「卯ノ花隊長、山田です。一護さんをお連れしました」 「どうぞ」 「失礼します。黒崎です」 「どうかしましたか?一護君」 「あ、あのちょっと、言い難いんですが、」 下を向いたまま胸を押さえる一護の様子に、 「山田七席、もう宜しいですよ。持ち場を頼みますね」 卯ノ花隊長が退席を促した。 「は、はい!失礼します」 「あ、ありがとうな、花太郎」 礼を言うと一護は卯ノ花隊長に呼ばれた。目の前の椅子に座るよう促され、 「それでどうされました?一護君」 「あの、体・・・が、おかしくて、その」 「どういう風にですか?」 「多分言うより見た方が早いと思います」 一護は着物の袷を開き胸を見せた。 「これは、いつからですか?」 「気が付いたのは今日ですけど、体調がおかしいと感じたのは前からです」 「どういう風に?」 「え・と死神から人間に戻る時に何か違和感みたいな・・・」 「人間の体はそのままでしたか?」 「ん〜、今朝起きたら、髪が柔らかくなって手足が冷たい気がしました」 「そうですか・・・、一護君聞きにくい事ですがお答え下さいね。貴方は更木隊長とお付き合いしてますね?」 いきなりの質問に真っ赤になってしまい無言の肯定をしてしまった。 「恐らく更木隊長の霊圧によって、貴方の霊体に変化が現れたのだと思います」 「そ、それって」 「えぇまぁ、夜の営みですね。調べない事には詳しい事は解りません、今から検査を受けてもらいます。良いですか?」 「あ、はい!」 卯ノ花隊長によって様々な検査を受ける一護。結果が出るまで、ベッドで待たされた。 卯ノ花隊長が副隊長の勇音と共に現れた。 「一護君、言い難い事ですが、貴方の霊体は完全に女性化しています」 「えぇええ!」 思わず下半身をまさぐった。 無い・・・!16年間あったモノが・・・。 「これが一時的な事なのか、治らないのか、まだ解りませんが一先ず更木隊長と距離を取ってみて下さい。 それから、今日から貴方は病人という事でコチラで寝起きして下さいね」 「は・・・い」 一護の頭には卯ノ花隊長の話は半分も入っていなかった。 虎徹副隊長に伴われ、十一番隊にある自分の荷物を取りに行った。 「おう一護、どうかしたのか?虎徹副隊長連れて」 一角が訊いてきた。 「ああ、今から四番隊で寝起きする事になった。剣八に言っといてくれよ」 一護の顔色の悪さを見て、 「あ?何でだよ。あ、体の調子そんなにワリィのか?」 「・・・あぁ、頼むな」 荷物を持って隊舎を後にする一護と虎徹副隊長を見送る一角。 「あ〜あ、隊長の機嫌悪くなるな」 と呟いた。 四番隊に着いた一護は、自分に与えられた部屋に入り、着替えるとベッドに突っ伏した。 自分の身体が女になった原因が剣八との行為で、治るのかも分からない。 なのに逢いたくて仕方ない。 それにあの噂が気になった。色々考えているうちに眠っていた。 「一護さん、一護さん」 虎徹副隊長に起こされていた。 「お食事ですが、起きれますか?」 「あ、はい。ありがとうございます」 正直食欲は無かったが、回復を促したかったから食べた。 「あの、勇音さん、俺何時までコッチに居るんですか?俺現世に戻れます?」 「そうですね。やはり治ってからだと思います」 「そうですか・・・。俺明日から何をすれば良いのかな」 「別にいつもと同じで良いそうですよ。ただ更木隊長には気を付けて下さいね!」 一護は飲みかけのお茶を噴き出した。 「ゲホッ!ゲホッ!」 「あ、ごめんなさい!大丈夫ですよ。卯ノ花隊長が釘を刺しに行ってますから」 「あ、の、俺らの事ってみんな知ってんですか?」 真っ赤になって絞り出すように訊いた。 「ええ」 「い、いつから」 「やちるちゃんが、嬉しそうに自慢してましたよ」 「やちるの野郎」 「後でお見舞いに来るそうですよ」 「え!良いんですか?」 「ええ、別に秘密でも無いですから、嫌なら断りますか?」 「いや、そうじゃなくて、俺の身体の事は誰にも言って欲しくなくて・・・」 「あ、そうですよね、でも卯ノ花隊長と来られますから、その時に約束してみては?卯ノ花隊長の言う事は良く聞くそうですから」 話していると、病室の扉が勢い良く開いて、 「いっちー、お見舞いに来たよ〜!」 やちるの元気な声が響いた。 「おう、ありがとうな、やちる」 「気分はどうですか?一護君」 「あ、だいぶ落ち着きました」 「ねぇ、いっちー何の病気なの?剣ちゃんも心配してるよ」 やちるの頭を撫でながら、卯ノ花隊長の顔を見る。 「教えても良いけど誰にも言わないって約束できるか?剣八にも言わないか?」 少し考えて、卯ノ花隊長を見上げるやちる。卯ノ花隊長は、少し怖い顔で頷いた。 「うん、約束する。いっちー何の病気なの?」 一護は少しだけ小さい溜め息をついて、寝巻きの袷を開く。 「いっちー女の子になったの!」 「ああ、だから治るまで此処で世話になるんだ。それから本当に誰にも言わないでくれ」 「うん!分かった!ねぇいっちー、お願いあるんだけど・・・?」 「うん?何だよ」 「あのね、いっちーのおっぱい触ってもいい?」 「な!何でだよ!」 「え〜、だって、あたし誰かのおっぱいなんて触った事無いもん・・・」 「え、いやだって、他の女性死神の人とかは?お前ぐらいだったら触らせてくれんだろ」 「ううん、無いよ。いっちーも嫌・・・?」 「嫌って・・・、ガキみたいだな今日は。しょうがねぇな、ほれ来いよ」 やちるを手招く一護。少し驚いた顔で二人を見る卯ノ花隊長と勇音。 「わぁ、柔らかい!すごいね、いっちー」 嬉しそうに笑うやちるに苦笑する一護。 「お母さんってこんな感じなのかな?」 ポツリと零した言葉に一護は、 「そうだなぁ、きっとこんな感じだろ」 言いながらまだ自分の胸を触るやちるの頭を撫でた。その内やちるが一護の乳に吸い付いた。 「うおおう!何やってんだ!やちる!」 しかしやちるは頑として離すつもりは無いようで一護の着物を握り締めている。 また小さく溜め息をつくと一護は、やちるの背中をぽんぽん叩くと子守唄を口ずさんだ。 その内やちるは眠りに落ちた。卯ノ花隊長がやちるを受け取り、 「一護君は、やちるちゃんに優しいのですね」 と言った。 「いや、妹が二人いるし、子守りは俺の仕事だったから」 着物を正しながら、やちるの頬を撫でる。 「今日はやちると一緒に寝ようかな、剣八の牽制になるかも」 「それは良い考えです」 ただの思い付きだったのに、それに一護も心細かった。卯ノ花隊長がやちるを起こす。 「やちるちゃん、今夜は一護君と一緒に寝て貰えますか?」 「うん!良いよ!」 「それから一護君の病気の事は絶対に秘密です」 「剣ちゃんに聞かれたら何て言えば良いの?」 「そうですね、一護君は今霊力が出せない状態でもあるのでそう言って下さい」 「えっ!そうなんですか!」 「ええ、気付かなかったでしょう?この状態で更木隊長に会えば、卒倒するかもしれませんよ。 ではやちるちゃん、そう伝えて下さい」 「は〜い!」 そう言って病室から消えたやちる。 十一番隊で、そう報告したやちるが一護の所に泊まると聞いて剣八が、 「何でお前が泊まるんだ?」 と訊いて来た。 「うん、あのね、いっちー今すごく弱くなってるんだって、だからだよ!あたしが守ってあげるの!」 満面の笑みで答えた。 「ふ〜ん・・・」 少し納得がいかないが、先程卯ノ花隊長が釘を刺したお陰で暴れる事はなかった。 「じゃあ、行ってきま〜す!」 やちるが一護の病室に戻って来た時一護は、風呂から上がった所だった。 「おうやちる来たな。剣八に何か言われたか?」 髪を乾かしながら訊いてみた。 「う〜んとね、納得いかないみたいだった」 「そっか、じゃあもう寝るか?」 「うん!えへへ、いっちーと寝るの初めて。嬉しいな」 隣りに寝ながら一護は、 「そうか?」 と聞いた。 「いっちー、このまま女の子だったらいいのに・・・。そしたら剣ちゃんのお嫁さんになって、あたしのお母さんになるの」 「やちる・・・」 「でもいっちーは、男の子に戻ってもっと強くなって、剣ちゃんとまた遊ぶの。絶対に」 何も言えなくて一護は、 「もう、寝よう・・・」 そう言って頭を撫でた。 「うん、おやすみ。いっちー」 「おやすみ。やちる」 一護も目を閉じた。 何時間たったのか一護は自分の身体に違和感を感じて目が覚めた。 やちるが一護の胸を触りながら眠っていた。一護はくすぐったかったが昼間の呟きを思い出し、そのままにして、また子守唄を口ずさんだ。やちるが顔を押し付けて来た。一護は、背中をぽんぽん叩いて落ち着かせた。 その内またやちるが一護の乳を吸い出した。無意識なのか・・・、今は誰も居ないから良いかと思ってそのままにして、眠気が訪れた一護はもう一度眠った。 朝、勇音が一護の病室を訪れると胸を肌蹴て、やちるを抱いて眠る一護の姿があった。一瞬動きが止まったが一護を起こす。 「一護さん、朝です。起きて下さい」 「ん、あ、おはようございます」 「ん〜、いっちーもう起きるの?」 つられてやちるが目を覚ました。 「あの、一護さん、着物」 「え、あ!」 慌てて袷を閉じる。 「朝ご飯の後に検査がありますので、待ってて下さい」 「あ、はい」 食事を乗せた盆を置いて出ていった。やちると一緒に食事を終え、卯ノ花隊長を待っていた。 「ヒマだな、やちる髪梳いてやるよ」 「わぁ!ありがと、いっちー」 いつも自分が使っているブラシでやちるの髪を丁寧に梳かしていった。 「えへへ」 「?どうした、やちる」 「なんかね、こんな風にしてくれるの剣ちゃん以外じゃ、いっちーが初めてだから」 「そっか、じゃあ明日もやってやるよ」 「本当に!わぁ!嬉しい♪」 そうこうしていると卯ノ花隊長がやって来た。一護は検査の為に診察室に向かった。一通り検査を終え、 「あまり変化は見られませんね」 「あの、俺元に戻れるんですかね・・・」 「まだ解りませんが、希望はありますよ」 ホッと胸を撫で下ろす。 「一護君、提案なんですが、今の貴方の身体の事を秘密にするのを止めてみませんか?」 「え、でもそれは」 「いい加減疲れてるんじゃないですか?外にも出てない様ですし、それに言って回る訳ではないですよ。 いつものように過ごせばいいんです」 「そうですよね・・・、部屋に閉じ籠ってたって何も変わらないし・・・、あ、でも剣八に会ったらどうしたら」 「普通に話をするくらいなら大丈夫ですよ」 意味深な言葉を貰った。 「それってどういう意味ですか?」 「性交渉を持たなければ良いという意味です」 にっこり微笑まれて一護は返す言葉も無い。しかしあの剣八相手に今の自分の話が通じる訳が無い。 「大丈夫ですよ。更木隊長は女子供には優しいですからね」 心中を察したのか一護に声を掛ける。そうか、それに今の自分は霊力も出ない弱い奴なのだから大丈夫だろう。 「そうですよね」 そう言うと一護は病室に戻った。死覇装に着替えると、小銭を持って外に出掛けた。 着いた先は十番隊隊舎。乱菊に会いたい旨を伝えるとすぐに乱菊は現れた。 「なぁに、一護アンタ入院してたんじゃなかったの?」 「や、外出許可は出てます。ちょっと相談があって」 「相談?何?ていうか、アンタどうしたの・・・?その体・・・。それで入院してたの?」 乱菊は一護の身体を見て言った。髪が柔らかくなって少し伸び、まつげも少し長くなっていた。 「えぇまぁ、それより、雑貨屋ってあります?」 「あるわよ。何か買うの?あたしも行こうか?」 「助かります。どんなのが良いのか分かんなくて」 行く道すがら、やちるに髪飾りを買うのだと説明した。 「着いたわよ、ココ。結構揃ってるから選び放題よ」 「本当だ・・・、何が似合うかな・・・」 あーでもない、こーでもないと悩む姿はただの子供で、少女にしか見えなかった。 「乱菊さん、どれが良いと思います?」 「そうねぇ、この苺とか、みかんのヤツは?向日葵のも良いんじゃない?」 自分を揶揄しているのだと分かったが、苺の髪飾りが可愛かったからそれを選んだ。ギリギリ予算内で買えた。 「ありがとう乱菊さん、俺こういうの選んだ事ないから助かりました」 小さな包みを大事そうに持って礼を言った。 「良いわよ別に、それより大丈夫なの?身体は」 「分からないそうです。でも希望はあるって」 「ふ〜ん、ま、元気そうでよかったわ」 一護の頭をぽんぽん叩いた。 「はい、ありがとうございます」 「じゃあね、一護」 乱菊と別れて病室に帰る一護。扉を開けるとそこには、剣八と一角と弓親が居た。 「おう、病人がどこほっつき歩いてんだ一護」 と一角。 「卯ノ花隊長から、少しは外歩けって言われたんだよ。てか何でお前らがココに居るんだ」 「ご挨拶だな、見舞いに来てやったのによ」 不機嫌な声で剣八に言われた。 「ふーん、ありがとう」 素直に礼を言う。 「所でやちるは?」 「知るか、どっかで遊んでんだろ」 ベッドに腰を下ろし座り直すと、 「元気そうだな、お前ら」 「テメェと違ってな」 一角が軽口を返す。 「一護君、君そんなに髪長かった?顔も白いよ?」 弓親も心配したのだろうか、そんな事を尋ねてきた。 「白い?鏡見てないから」 言ってる所へ、 「いっちー、ただいま〜」 元気な声と共にやちるが病室に入って来た。 「おう、やちるコッチ来い」 「なぁに?」 「ほら、コレやちるにやるよ。開けてみ」 「なんだろ♪」 包みを開けるとそこには、苺の髪飾りが入っていた。 「コレくれるの?あたしに?何で?」 「朝、髪梳いてる時に思い付いたんだよ。何かお礼しなきゃなって」 「お礼?なんの?」 「昨日一緒に寝てくれたろ?心細かったの助けてくれたからな。・・・気に入ったか?」 「うん!すっごく!」 「良かった。早速付けるか?」 「うん!」 一護の膝の上で大人しく髪を梳かれるやちるを、3人は黙って見ていた。 「ほら、髪飾り貸せよ」 耳のすぐ上から髪を編み込まれ、苺の髪飾りで止められる。 「出来た!」 鏡の前に行って左右から、自分の髪型を見て、 「ありがと、いっちー!ねぇ、剣ちゃん似合う?」 「ああ」 「お前結構器用だな」 一角が感心していた。 「妹が小さい時は俺がやってたんだよ」 「ふ〜ん」 やちるが一護に飛びついて、 「いっちー、大好き!」 いつに無い甘え方に驚いた3人。やちるの髪を撫で笑う一護の顔に見惚れていた。 「ねぇ、いっちー、お願いしても良い?」 大体何の事か分かったので、 「そこのカーテン閉め切るならな」 言うが早いか、カーテンを閉め切った。予想通りやちるは一護の胸に顔を埋めて目を閉じた。 昨日と違うのは、衣服の上からという所か。一護は昨日と同じ様に背中をぽんぽん叩いて、子守唄を口ずさんだ。 やがて規則正しい寝息が聞こえて来た。いきなりカーテンが開けられた。そこには剣八の姿があった。 「びっくりさせんなよ」 一護が咎めると、 「おい、なんだそりゃ・・・」 一護の胸を指差した。 「説明難しい・・・」 一護がやちるを弓親に預けると、剣八がその手を取って、一護の身体を凝視した。 「お前ら出てろ・・・」 剣八が命じると二人は眠っているやちると出て行った。 「お、おい」 一護が二人に気を取られていると、掴んだ手に力が込められた。 「痛い!」 「どういう事だ・・・、一護」 着物の袷を開くと胸を触る。ビクッと身体を震わせた。 「どうもこうも、お前とこうしてるから、身体が変化したんだってよ」 「それでか、お前に近づくなっていうのは」 「そうだよ。だから離れろ」 「嫌だって言ったら、どうする?」 「卯ノ花隊長が会わせてくれなくなる」 「ちっ!」 盛大な舌打ちをして一護を押し倒す。 「コラ!怒られるぞ!」 「何もしねぇよ。それよか、さっきのアレ俺にも聞かせろ」 「アレ?」 完全に胸を露わにした一護に、 「唄だ。うた」 ああ、と思い至った一護の胸に剣八が顔を埋めた。一護が子守唄を口ずさんだ。 剣八の大きな背中をぽんぽん叩いて繰り返し唄った。 「もういい。これ以上いると襲っちまう」 「怖い事言うなよ」 「ふん」 「でも逢えて良かった」 言い終わると突然剣八が口付けてきた。 「んっ!んく!」 短い口付けだった。剣八の顔がやけに苦しげに見えた。 「じゃあな」 「あ、ああ」 身体を起こし、着物を正す。しばらくしてから病室に乱菊がやって来た。 「やっほ!お見舞いに来たわよ」 乱菊の後ろには女性死神協会のメンバーが控えていた。 「あ、ありがとうございます」 「ったく、水臭いわね〜、一言言ってくれても良いじゃない」 「すいません、心の整理がつかなくて」 「まっ、そりゃそうよね。今まで男で来たのにいきなり女になったんだもん」 「はぁ」 「そんな一護にお土産持って来たのよ!」 「お土産?ありがとうございます」 「じゃーん!女物の着物!綺麗でしょ?あたしが買ったんだけど、合わなくてさぁ。一護着てくんない?嫌って言っても着せるけど♪」 この後嫌がる一護に強制的に着物が着せられた。 「似合うじゃない!すごいすごい!」 「そうですか・・・」 ぐったりしている一護に、 「次は化粧と髪結いね!」 「まだやるんスか!」 「当たり前じゃない!こんなに可愛いのに!」 「も、好きにして下さい」 全面降伏した一護は女性陣の為すがままだった。 「出来た!」 乱菊がやり遂げた感の声を出した。 そこには水色の地に蓮の花をあしらった着物に身を包み、髪を後ろで軽く編まれ紅を差した一護の姿があった。 「どう!みんな!」 「すごい・・・、綺麗です一護さん!」 異口同音に褒められたが、一護自身は鏡すら見ていないのだから不安の方が大きかった。 「あの、もう脱いで良いスか?」 「な〜に言ってんの!これから外に出掛けるのよ!」 「はぁ?!嫌ですよ!」 引きずられるように、連れ出される一護。 実際一護は良く似合っていた。言わなければ一護と気付くものは居なかった。 全員の行き付けの甘味処に入って和菓子を食べ、、おしゃべりで盛り上がると一護も自分の格好等どうでも良くなった。 そして、ああ、皆気を使ってくれているんだと気付いた。 「ねぇ、一護。アンタ更木隊長と付き合ってんでしょ?この格好見せてあげなさいよ」 乱菊に言われ、真っ赤になった一護。 「も〜、なんて可愛い顔するの!」 「でも・・・、アイツもうすぐ見合い・・・があるんでしょ?今の格好した俺が行ったら迷惑なんじゃ?」 「何言ってんのよ!自分の恋人が迷惑になる訳ないでしょ!ほら、このお酒持って行った行った!」 渋々酒を受け取り店を出る一護。 「更木隊長の噂、聞いてたのね。どうせ断ると思うんだけどね」 乱菊の言葉にその場に居たメンバーも頷いた。 後押しされて、十一番隊隊舎まで来たが、酒を渡すだけじゃ済まない事は分かっていた。 「どうしよう、やちるに頼んで渡してもらうか?」 急に後ろから声を掛けられた。 「おう、何やってんだ?嬢ちゃん」 一角だった。 「一角!良かった」 「あ?お前一護か?何でそんな格好してんだよ」 「う・・・、乱菊さん達に」 「なるほど・・・」 皆まで言うなという返事に安堵した。 「で、なんでウチに来てんだ?」 「酒と、この格好剣八に見せて、やれって・・・」 「早く入れよ、助かるぜ。最近隊長の機嫌悪くてよ」 「ふ〜ん、なんで?」 「・・・お前。まぁお前らしいな」 隊首室に着いた。 「隊長!一角です!お客様をお連れしました」 「入れ」 「失礼します!」 「客だぁ?誰・・・」 一護を見た剣八は二の句が継げなかった。 「あの、その、このお酒持ってけって、乱菊さんが」 「一角!人払いさせとけ!」 「分かりました!」 「えっ!」 「馬鹿が・・・、せっかく我慢してやってんのに、手前ぇからノコノコやって来るとはよ」 いつの間にか一護の目の前に剣八が立っていた。一護の姿を上から下まで眺めると、 「まぁ、先に酒でも貰うか」 くっくっと喉の奥で笑った。 「お前が酌してくれんだろ?一護」 一護の身体を抱き寄せ、耳元で囁いた。一護は、 「酒だけで済むならな」 と返したが、 「馬鹿が・・・、済む訳ねぇだろ?」 「何で?今の俺の身体女だし、それに霊力も全然・・・」 「関係ねぇよ。お前はお前だろうがよ」 「でも、元の身体に戻れなくなるかも」 「戻れるかもしれねえんだろ?」 「だ、大体今の身体で、その、、性交渉して孕んだら、どうすんだ」 「産めば良いじゃねえか」 「は?」 「安心して産め、そんでおれの女房になれ」 簡単だろ、そう言った。 「あんたな・・・」 「何だよ、まだ何かあんのか」 「悩むのが馬鹿馬鹿しくなった」 酒瓶を持った一護を姫抱きに抱えあげ、寝室に姿を消した。 剣八の寝室で膝に座らされ、酌をする一護。殊の外、上機嫌な剣八を見て一護の口許が弛む。 「嬉しそうだな、一護」 「べ、別にそういう訳じゃ・・・、あ、酒無くなった、貰ってくる」 剣八の杯に酒を注いでいたら、いつの間にか空になっていた。 「いい・・。酒は要らねえよ」 新しい酒を取りに行こうとした一護を抱き締め、その場にとどめた。久しぶりの抱擁に一護は唇を震わせ、歓喜した。 「剣、八・・・」 感極まった声で呼ばれて剣八は一護の着物を脱がせていった。 「あっ、コラ!止めろって、俺これの着付け出来ないんだから!」 「じゃあ着たままやるか?心配すんな、やちるで慣れてる。早く脱げよ」 髪飾りを取り、紅を拭いながらそう言った。一護は帯を解き、着物を脱いでいった。 剣八の前で全裸になるが、剣八は手を出してこず、見ているだけだった。一護は不安に襲われ、 「け、剣八、気持ち悪かったら、無理すんなよ・・・?嫌だろ?こんな身体・・・」 さらに細くなった一護の腰を引き寄せ、 「ちげぇよ、女の身体なんて、もう随分抱いてねぇからな、どうやろうかと・・・」 それを聞いた一護が、剣八の頬を抓った。 「痛ぇな、何しやがる」 顔を背ける一護の顔を覗き込む、今度は反対に背ける一護を見て、 「何だよ、ヤキモチかぁ?」 ニヤニヤ笑いながら茶化す。 「そ、そうだよ!他の女と比べんな!」 真っ赤になりながも素直に剣八に抱き付いた。ふわりと一瞬軽くなったと感じたがすぐに蒲団に押し倒されていた。 「勘違いすんな、女も男も関係ねぇ。お前ぇを抱いた時から誰も目に入らねえよ」 言いながら一護の額に口付けた。 「剣八、キスして・・・」 自分から強請ると剣八の首に腕を絡ませた。 「ん、ふ、ぅん」 口付けしながら剣八の髪をほどき、鈴を外していった。 「あっ、ん、ふぅ・・・」 長い口付けが終わると剣八が、 「これで歯止めが効かなくなったぞ、どうすんだ?一護」 「どうって、責任取ってくれんだろ?」 蠱惑的に潤ませた瞳で笑う一護。 「くくっ、悪い女だな」 「お前のせいだろ?」 「ちげぇねぇ」 剣八の手が一護の胸を揉むと、 「あ、痛・・・」 「痛いか?」 「ん、まだそんなに触られてないから」 「そんなにって、誰か触ったのか?」 「卯ノ花隊長とやちるぐらいだけど・・・?」 「ふ〜ん・・・」 剣八が両方の乳房を手で包むと優しく揉みしだいた。 「あ・・・ん、剣八」 「やわらかいな・・・、今のお前の身体は・・・。それに甘い匂いがする」 「そ・うか?」 剣八の手が一護の身体を撫でさする。頬から肩、腰まで優しく触り辿っていく。 「け、剣八、何?おかしいよ?」 気にすんな、十日も触れなかったんだ。好きにさせろよ・・・」 「うん・・・」 一護も剣八の熱くて大きな手を堪能したくて、素直に甘えた。 十一番隊隊舎に勇音が訪れた。なかなか帰らない一護を探して最後にここを選んだのだ。 「あの、すいません。四番隊副隊長の虎徹勇音です。こちらに一護さんはいらっしゃいますか?」 応対した弓親が、 「えぇ、居ますよ。でも帰るのは明日になると思いますよ」 と言いながらお茶を勧め、縁側に導いた。 「何故ですか?一護さんはご病気ですよ、早く帰らないと」 「でもねぇ・・・、あんな格好の一護君を隊長に見せて、それだけで済むと思ったんですか?」 勇音は、返答に詰まった。確かに自分もその場に居ながら、止めなかったのだから。 「まぁ、明日には帰りますよ。どうせ気絶するんだから」 事も無げに言う弓親がお茶を啜る。そこへ一角が現れた。 「あっ!何お前らだけで茶ぁ飲んでんだよ」 「お帰り一角、君の分もあるよ」 「おっ、気が利くねぇ。気が利くといやぁ、乱菊さんも粋な計らいしてくれたよな。あれ以上隊長の機嫌が悪くなったら 俺らがどうなってたか・・・」 笑いながら一角が勇音に、 「てぇ訳だから今日は一護泊まって行きますよ」 「でも!」 勇音が何か言おうとしたのを弓親が遮った。 「もう始まっちゃったよ。あの二人始まると長いからね、見せた方が早いんじゃない?」 「そうだなぁ、俺もこれ以上隊長の機嫌悪くなるの嫌だからなぁ」 「み、見せるって何をですか?」 「いいから、どうせ気付かないから」 言われて、勇音は剣八の寝室の縁側まで連れて来られた。弓親が障子を少し開けて、 「はい、確かめなよ」 勇音が中を覗くとそこには、絡み合う一護と剣八の姿があった。一護は細く白い足を蛇のように剣八の腰に絡ませ、 あられもなく喘いでいた。ふと、外からの風に気付いた剣八が、勇音の方に少し顔を向けた。 ニヤリと笑う剣八に、勇音は身体を硬直させた。横を向いた剣八に一護が、両手で顔をこちらに向けさせ、 「余所見、すんなよ!今は・・・、俺だけ見とけよ・・・!」 「ふん」 それだけ言うと一護の口を塞いだ。 「ん、んん、ふぁ、あっ!あっ!ダメッ!やぁっ!また・・・、イクッ!んあ!あぁあー!」 一護の身体が弓なりに反って痙攣している。剣八も、合わせて一護の中に熱い精を注ぐ。 「んぁっ!熱いよ、剣八・・・」 動けない勇音に弓親が、軽く肩を叩いて向こうに行こうと促す。 「ね?だから悪いけど一護君は今日一日隊長のモノだから」 元の場所に戻って弓親が言う。 「分かりました。でも明日は卯ノ花隊長と来ます。それと一護さんの体調に何かあったら深夜でも必ず連絡を下さい。 お願いします!」 頭を下げ、勇音は十一番隊を後にした。 「剣八・・・さっき何見てたの?」 「あ?何でもねえよ、それより、もう終いか?」 「ん・・・、まだ欲しい・・・」 「くくっ、今日はえらく素直だな」 胸の飾りに舌を這わせながら剣八が言う。 「あ、だって、なんか・・・、おさまんない・・・」 恥じらいながらも、貪欲に自分を求める一護を見下ろす。 「な、に?」 「いや・・・、もう痛くねぇのか?」 「え・・?あ!」 一護は初めての、この身体で抱かれた時の事だと分かり、顔を赤くした。 「ん・・・、もうう大丈夫だよ」 「そうか、じゃあもう遠慮しねぇぞ」 そう言って覆い被さって来た。 次に一護が目を覚ました時はもう夜だった。剣八が隣で寝息を立てていたのが、やけに嬉しかった。 障子の向こうが明るかった。蒲団から出て障子を開けると見事な満月が出ていた。一護は襦袢を羽織り、月光に 魅入っていると、 「綺麗だな・・・」 突然剣八に声を掛けられた。 「あ、ああ、綺麗な月だな」 「違う。お前だ・・・」 隣りに剣八がやって来た。胡坐をかき、一護を膝に乗せ、 「お前が綺麗だって言ったんだ一護。気付いて無かっただろうけどな。さっきのお前月光で光ってすげぇ綺麗だったぞ」 一護の首筋に顔を埋め囁いた。 「そんなの、いつも俺があんたに思ってたよ・・・」 首を仰け反らせ、呟いた。 「は・・・、何言ってやがる・・・、こんな血まみれの身体のどこが・・・」 「血にまみれようが、泥にまみれようが、あんたは綺麗だよ・・・今もな」 目を閉じて、剣八の肩に頭を預ける。その内剣八の手が一護の胸を揉み始めた。 「ん、剣八・・・、あんたは俺がこの身体になったのに変わんねえな・・・」 「別にお前の中身が変わった訳じゃねぇだろうが」 剣八の首に腕を伸ばす一護。ふと向こうから一角と弓親が近付いて来たのが見えた。 一護が部屋に戻ろうとしたのを剣八が腰に腕を回して、膝の上に押しとどめた。 「は、離せよ、剣八!」 「いいじゃねぇか、見せてやれよ」 そうこうしている内に二人が目の前にやって来た。 「失礼します。先程虎徹副隊長が一護を探してココに来てまして・・・」 「それで?」 まだ一護の胸に手を這わせながら聞いた。一護は恥ずかしそうに剣八の首筋に顔を埋めて震えていた。 「いえ、明日卯ノ花隊長と一緒に一護を迎えに来るそうですよ」 時折、ビクッと身体を震わす一護の足が垣間見えた。白い足は月の光を弾いて、やけに艶めかしかった。 「そうかよ、それだけか?あんまひとのモンに見惚れんなよ」 くっくっと喉の奥で笑う剣八に二人は今の状況を楽しんでると分かった。 「これは失礼しました。お邪魔虫は消えますね」 そう言って二人はその場から消えた。 「この馬鹿」 涙目で睨む一護の顔は上気していた。 「は、いい顔すんじゃねえか・・・」 言いながら一護の乳房に吸い付いた。 「はぁっん!」 首に回した手で剣八の頭を抱く形になった一護。 「まだ足りねえか?それとも風呂入るか?」 「・・・変なコトしない?」 剣八の顔を覗き込む。 「やる」 一護は剣八にしがみ付いた。剣八は湯殿まで一護を抱いて連れていった。 湯船に一緒に浸かると、一護は大きく息をついた。 「どうした一護」 剣八が後ろから抱き締めながら聞いて来た。 「いや、いつ元の身体に戻れるかなって」 「気にすんな。戻らなきゃ俺の女房になれよ・・・」 「嘘つき、そんな気ない癖に・・・、期待させんなよ・・・」 それを聞いた剣八が抱き締める腕に力を込めた。 「あ、う・・・、苦し、剣八?」 「嫌か・・・?」 「え?何・・・」 苦しくて短く聞き返す。 「嫌か、俺の女房になるのは?こんな事いったのはお前だけだ・・・。 一護・・・、男でも女でも手元に置きてぇ。俺を綺麗だなんて言ったのもお前だけだ」 力を込める腕が心なしか震えていた。 「剣八・・・、嫌じゃない・・・、でも俺残して来た物が多いんだ・・・」 「一護、嫌じゃねぇんだな」 「うん、嬉しいよ剣八・・・。初めて言うよ?俺は剣八を愛してる」 「一護・・・、一護!」 どうしてコイツは誰も俺に言わない言葉を俺に与える?コイツの過去も未来も奪って俺だけの物にしたい。 そしたらずっと聞いていられるのか? 一護を抱く力を更に強くした。 「剣、 八、くるし・・・」 我に帰った剣八が一護を解放する。身体を捻って剣八の方に向くと一護は口付けをした。 「一護」 「あのさ、現世じゃさ、結婚する時に牧師にこう聞かれるんだ。 『汝、病める時も、健やかなる時も、死が二人を別つまで、互いを愛し、慈しむ事を誓いますか』って」 「・・・それで?」 「お互いに『誓います』って言えば夫婦って認めてくれて誓いのキスをするんだ・・・」 「へぇ、そのボクシってのは何者だ?」 「ん〜、神様に仕える人だから、神主に近いかな?ま、簡単な説明で間違ってるかもしんねぇけど」 「ふ〜ん・・・」 一護が剣八と向き合って、 「剣八・・・、病める時も健やかなる時も、死が二人を別つまで、互いを愛し慈しむことを誓いますか? はい、誓います」 「・・・!」 「剣八?」 いたずらな目を向けてくる一護。 「ああ」 ぶっきらぼうな返事だったが一護は満足そうに笑う。 「では、誓いのキスを・・・」 最初は、触れるだけのキスが深いモノに変わっていった。 「真似事でゴメンな」 謝る一護に剣八が抱擁で返す。 「いい・・・、満足だ・・・」 「良かった・・・」 剣八の胸板に甘える一護。 「もうそろそろ上がるか、のぼせちまう」 「うん」 二人が部屋に戻って見たものは蒲団の上で丸くなって眠るやちるの姿だった。 「今日は3人で寝よっか明日非番だろ?一緒に朝ご飯も食べたいな」 「好きにしろ」 「ありがと」 やちるを真ん中に、川の字で寝る。やちるの髪を撫でながら笑う一護を見ながら剣八も、目を閉じた。 「おやすみ、剣八」 一護が言った。 何かが動く気配でめを覚ました剣八が目にしたのは、一護の乳に吸い付くやちるの姿だった。剣八がまじまじ見ていると、 「見てんじゃねぇよ」 一護が言った。 「起きてたのか、お前コレ・・・」 「こないだから、ずっとこうだよ」 やちるの背中をさすりながら、子守唄を口ずさむ。 剣八が目を細めて、一護達を見つめていた。剣八が一護の髪を撫でながら、 「母子(おやこ)みてぇだな」 「じゃあ剣八が父親だな」 くすくす笑う一護を抱き寄せ、口付けた。それは、永劫叶うことのない夢だ。束の間の夢物語に浸る二人。 「早く寝よ。明日の朝は一緒にご飯食べるんだからさ」 一護に促され、剣八は再び眠りについた。 第2話へ続く やっちまいました感、丸出しの女体化です。6月あたりから書いて放置してました。 甘い雰囲気ですね〜。結婚云々のあたりはうろ覚えです。すんません。 |
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