題「声」前半
もう一人の俺。
あいつの声が頭で響いて・・・。いやだ・・・怖い・・・、おかしくなりそうだ・・・。

剣八・・・。
一度思い出すと、逢いたい気持ちがどんどん溢れてきてどうしようもなくなってきた。
逢いたい・・・、明日向こうに行こう。


瀞霊廷にやって来た一護は真っ先に十一番隊隊舎に行った。
隊舎に入って、道場を覗く。一角が他の隊士相手に稽古をしていた。
「おう一護どうした、珍しいな報告日以外に来るなんて」
「あぁ・・・剣八、居るか・・・?」
「隊長か?今居ねぇよ」
「待たせてもらってもいいか・・・?」
「別にいいけどよ・・・?なんか用でもあったのか」
「ちょっと・・・な」
そう言うと一護は縁側に膝を抱えて座った。時間が経つにつれ、顔を膝に埋めて待っていた。
「おい一護、大丈夫か?」
一角が声を掛けて来た。顔を上げ、
「あぁ、大丈夫だ。でも喉が渇いたな、水飲んでくる」
そう言って台所へ行った。最近やたらと喉が渇く。水をいくら飲んでも癒されない。それでも飲まずにいられない。

道場の方では、剣八が帰って来たので、一護が待っていると一角が伝えた。
「一護が?俺を?どういうこった?」
「さぁ?でも名指しで。居ないって言ったら待つって、今、水飲みに行ってますけど」
一角が言い終わると剣八は台所の方へ向かった。台所では一護が水を飲んでいた。
「おい」
後ろから聞き慣れた低い声がした。少し驚いてその拍子に水が零れた。
「あ、帰ったのか」
言いながら濡れた唇を舐めた。
「あぁ今な。で何の用だ?殺りあいに来たのかよ?」
剣八が問うと一護が挑発的な顔で、
「あぁ、ヤリあいに来たんだよ」
と言いながら近付いた。
「へぇ、珍しいなお前からそんな言葉聞くとはなぁ?」
自身の斬魄刀に手をかける。そんな剣八に一護はいきなり口付けをした。首に腕を絡ませ、自分から舌を入れて絡め貪った。
一護の唇が離れ、お互いの間を唾液が糸を引いて繋がっていた。
「どういうつもりだ?一護」
怪訝な顔をして訊いてくる剣八に、
「だから言ったじゃねぇかヤリ合いに来たって」
剣八の唇を舐めて言った。
「発情してんのか手前ぇ」
「かもな・・・、ん・・昨日から、あんたに逢いたくて・・仕方なかった・・・」
体をすり寄せ、耳元で囁く。熱の籠った息が耳を掠める。いつもと違う一護に剣八はそこにあった水差しの水を頭から浴びせた。
「・・何しやがる」
「少しは頭冷えたかよ。餓鬼の遊びには付き合ってらんねぇ、帰れ」
「な、に、を」
何を言ってるんだ、コイツは?じゃあ今までのは何だ?
さんざ人の身体を喰らい尽くして、お前を刻み込んで忘れられなくして餓鬼の遊び?
じゃあお前のは何だよ・・・?
「・・・遊び?」
「そうだろうが、発情期の餓鬼の面倒見れるか」
「じゃあ今までのは・・・何だったんだ?全部俺の・・・、一人相撲かよ?」
「ああ?」
俺だけが溺れてただけか・・・。
それでも逢いたくて抱かれれば、この恐怖感から逃げられるのに・・・。
『当てが外れたなぁ。一護?』
「っ!」
またあいつの声が響く。
『お前見捨てられたんだよ、諦めろよ。飽きた玩具は捨てられるんだよ』
うるさい、黙れ。
『それとも醜く取り縋って、お願い捨てないでって泣き付くのか?お笑い種だなぁ、え?』
黙れ、黙れ黙れ!
一護は両手で顔を覆いながら、
「黙れ・・・!」
と絞り出す様に呟いた。
「あ?何も言ってねぇだろうが」
剣八が訝しげに聞いてきた。
「何でもねぇよ・・・。悪かったな、もう来ねぇからよ」
そう言って剣八の側を離れ、隊舎を後にした。
隊舎を出てあてもなく歩いていると、聞き覚えのある声に呼び止められた。
「浮竹さん」
「やぁ、久し振りだね、一護君」
知らないうちに浮竹の離れの近くまで来ていた一護。
「何かあったのかい?浮かない顔して、しかも着てる物がびしょ濡れじゃないか。風邪引くからこっちおいで」
浮竹に誘われ雨乾堂に立ち寄る一護。
「ほら、乾くまでコレでも着てなさい」
差し出されたのは、浮竹の物であろう着物。
「すいません、急に」
大人しく着替えて、浮竹隊長の前に座る。
「元気がないようだね、どうしたんだい?」
「え、あ、いやその」
「剣八のことかい?」
「えっ!ああの、その」
顔を赤くして一護は俯いた。
「いやゴメンゴメン、あんまり落ち込んでるから、ついね」
俯いたままの一護の手に水滴が落ちた。
「一護君・・・?」
驚いて声を掛ける浮竹。震えながら声を殺して一護が泣いていた。
「イヤ、ごめんそんな泣くなんて・・・」
「違っ、俺が情けなくって」
そのうち嗚咽が零れ、止まらなくなった。
「すいません、すいません俺」
「何があったのか知らないけど、君が謝る事じゃないと思うよ」
「俺は・・・逢いたくて、仕方なかったけど、あいつは別にどうでも良かったみたいです。それに・・・俺、もう来れないかも知れないし・・・」
「一護君・・・?」
「着物ありがとうございました。もう乾いてるみたいだし俺、現世に帰ります」
自分の死覇装に着替えて、
「ありがとう浮竹さん少し楽になりました」
礼を言い雨乾堂を後にした。
外はすっかり暗くなっていた。一護は十一番隊隊舎の前に居た。誰に言うでもなく小さな声で、
「俺が虚になったらお前に斬って欲しいな」
と呟いて現世に戻った。


一護はあの日から、瀞霊廷に行っていない。もう一ヶ月になる。
下校時に一人で歩く一護の後ろ姿は隙だらけだった。いきなり背後から口を塞がれ、はがい締めにされ、路地裏に引きずり込まれた。
「んー!んんー!」
暴れて逃げようとする一護の耳元で、
「暴れんな一護」
聞き慣れた低い声に動きを止める。後ろに顔を向けるとそこには剣八の姿があった。しかも現世の服を着て、髪も下ろされていた。一護は目を見張った。何故?霊圧も感じないなんて・・・、それより何故ここに居るんだ。
初めて見る洋装に一瞬見とれてしまった一護。
動かない一護の唇を剣八が奪う。いつもの様に激しい口付けに頭がクラクラする。
「んっ!んん!」
足に力が入らずガクガク震えた。やっと解放されると剣八に抱えられていた。
「なんでアンタが此処に居るんだよ・・・」
乱れた息で聞いた。
「手前ぇがあっちに来ねぇからだろうが」
さも当然だという答えが返って来た。
「もう行かねぇって言ったろ。良かったじゃねぇか餓鬼の遊びに付き合うことなくなって・・・」
顔を前に向け、視線を逸らす。
「何言ってんだ?」
「いいから離せよ!いつまでこうしてんだよっ!」
無言のまま剣八が一護の身体に手を這わせて来た。制服のシャツの上から胸の突起を見つけて刺激を与える。
「ん!止めろ!」
身を捩って抵抗すると今度は、下半身に手が伸びて来た。足の付け根付近から擦る様に徐々に中心へ・・・。
「あ・・・止めろって!」
聞く耳を持たずズボンのチャックを下ろし、直に触られる。そこは熱を持ち始め固くなりつつあった。
「ハ!止めろってわりにゃキッチリ反応してんじゃねぇか」
耳元で囁かれ、そのまま耳朶を甘咬みされる。
「あっ!やぁ!」
「おい一護良いこと教えてやる。俺は今義骸に入ってる、お前は生身だ。どういう意味か分かるか?」
「それって・・・まさか」
「俺もお前も普通の奴らに見えるってこった、声もそのまま聞こえるぜ?」
「!!」
顔から血の気が引いて行く。
「クク!さぁどうする一護?」
言いながら手の動きを止める事はしない。それどころか一護の中心を激しく扱き始めた。
「くっ、う!ふっン」
自分の手を噛んで必死に声を殺す一護。久々に与えられる刺激に一護はあっけなく吐精した。
「んっんん!」
カクカクとみっともなく揺れる腰を止められない。
「嫌がってた割に盛大に出したもんだなぁ?」
剣八が笑いながらその手に付いた一護の精を舐め取った。一護は膝から崩れ落ちた。
「あ、あ・・・」
「自分だけ気持ち良くなるってのもなぁ?」
「う・・・う・・・」
「ほら、どうした一護。お前は何もしねぇのか?」
先程までキツく噛んでいた一護の手を取り、舐める剣八。
一護は剣八のズボンのベルトを外し、チャックを下ろすと、剣八自身を取り出して舌を這わせた。
雄の匂いのするソレを丹念に愛撫した。大きさと固さを増すソレを口に含み必死に舌を動かし先端の窪みに舌をはわせる。
自分に奉仕する一護を目を細めて見ている剣八。一護はもじもじと足を動かしていた。
「くっう!」
剣八が一護の頭を押さえてその口に吐精した。
「うっ!んん!」
「そのまま飲め・・・」
頭から手を離さず言った。一護は無理矢理口の中のモノを飲み下した。
「ハ、やりゃあ出来んじゃねぇか」
満足そうに言う剣八。
「畜生・・・何がしたいんだよ、お前・・・」
飲み込みきれなかった精をハンカチで拭い、服を正した。剣八にもハンカチを貸した。
「ハ!別に?いつもと同じ事しに来ただけだ」
手を拭きながら言った。
「いつもと同じ事?」
「手前ぇがあっちに来ねぇからヤれなかったからな」
「ああ、餓鬼の遊びかよ、アンタもヒマ人だな。一回抜いたんだ満足だろ?もう帰れよ」
そう言いながら路地裏から出て、家路に着く一護。何故か追って来ない剣八に取り敢えずホッと胸を撫で下ろす。

家に帰ると誰もいなかった。親父は往診、妹達はそれぞれ遊びに行っているとコンが教えてくれた。
制服を脱ぎいつもの様にGパンとTシャツに着替える。ベッドに横になると、さっきのことが嘘の様だ。
(何だったんだ?一体)
『よう一護、さっきはお楽しみだったなぁ?』
「テメェ・・・」
『別に良いじゃねぇか、惚れた男のイチモツしゃぶって悦に入ってたなんて、俺とお前しか知らねぇよ』
「!黙れ!」
『クックックッ、怖い怖い』
頭を抱えてベッドに座っていると、玄関が開く音がして誰かが家に入って来たのが分かった。
(誰だ?)
一護は部屋のドアを開けるとそこには、剣八が立っていた。コンはいち早く逃げ出した。呆気にとられていると、
「何だ、間抜けたツラしやがって」
「何で、アンタが此処に?帰ったんじゃ・・・」
後ずさりながら漸くそれだけ口にすると一護はベッドに腰を落とした。
「ああ?用も済ましてねぇのに帰るかよ」
「用って何だよ」
「手前ぇをあっちに連れてくんだよ」
「何の為に?」
「こうする為だよ」
剣八は一護の髪を掴んで上を向かせ、強引に口付けた。
「んん!ふっ」
噛み付く様な口付けに一護は剣八の身体を押し退けようと腕で押し返す。力では敵わない事を知っているくせに抵抗する一護をベッドに押し倒した。
「んん!」
「あっちに行くのが嫌なら此処でヤるだけだ」
剣八の目に残虐性を帯びた光が宿る。
「馬鹿いうな・・・、何時家族が帰るか分かんねえのに」
「じゃあ早く死神になって向こうに行けばいいだろうが」
そんな事したらアイツが、どんどん近付く。出来ない。
「無理だ・・・離せ。早く帰れ・・・」
その言葉を聞くと剣八は一護のシャツを引き千切った。
「なっ!何しやがる!」
「黙れよ。お前は俺の下で啼いてろ」
いつもよりも低い声に気圧され、何も言えなくなった一護に剣八が覆い被さった。
引き千切ったシャツを取り去り、剣八は一護の首筋に顔を沈め舌を這わせ、強く吸い付いた。
「あう!」
紅い跡が浮き出て、そこを執拗に舐める。手は胸の突起に悪戯を仕掛けていた。
「ん!んっんっ」
「何だよ、声だせよ・・・」
耳元で囁かれ、一護は震えた。そのうち剣八がその突起を口に含み、甘咬みしたり、舌で転がし吸い上げた。
「あぁっ!」
その声に満足そうな顔をすると、今度は視線を下に移した。
そこは服の上からでも分かるぐらいに膨らんでいた。剣八がそこに手を這わすと、一護がビクッと身体を震わせた。
指先で撫でる様に触るとさらにビクビクと跳ねる身体。
「あ、あ、もう。ヤメ」
「ハ!もう遅ぇよ一護」
言いながらGパンを脱がせていく。下着だけの姿になった一護を上から下まで舐める様に見る剣八は舌舐めずりした。
「いやらしい眺めだな一護、こんなに濡らしてよ?」
先走りで濡れそぼった下着の上から一護自身を触る。グチャグチャと卑猥な音が淫らに響いて一護の羞恥を煽る。
「やだ、やぁ!ああっ!んっ!」
「やだって言う割にまたイッたなぁ」
ジットリと濡れた下着を脱がせ身体に力が入らない一護に軽い口付けをしながら、自分の服を脱いでいった。
「さっきは中途半端に煽られたからな。覚悟しろよ、一護」
「な、に言って・・・」
「あんなもんで満足出来るかよ・・・抱かせろ・・・」
「遊びなんだろ・・・?好きにしろよ」
「・・・どういう意味だ」
「あんたが言ったんじゃねぇか、餓鬼の遊びだって」
「・・・・・・」
「だから、もう行かねぇって、迷惑がられるなら逢わない方がいいって、思ってたのに。何であんたが此処にいるんだよ・・・」
一護は顔を手で覆った。剣八がその手を掴んで引き離すと一護は目にうっすら涙を溜めていた。
「俺は手前ぇのこと遊びだなんて思っちゃいねぇよ・・・」
「じゃあ何であの時、俺を拒否したんだよ?逢いたくて仕方なかったから、逢いに行ったのに!突き放したじゃねぇか!だから、」
言い終わる前に剣八の唇で口を塞がれた。
「あん時のお前おかしかったじゃねぇか、いつもと違うお前抱いたって意味ねぇよ」
「あの時、俺は、怖くて・・・、あんたならどうにかしてくれるんじゃねぇかって、甘えたんだ・・・」
「怖い?何が?」
「何でもねぇ・・・」
「判りにくいから今度からは、もちっと素直に甘えろや」
「え?」
「ああ、もう良い。抱くぞ」
「うん・・・」
口付けをかわし、お互いの熱を感じ合う。
「あ・・・」
一護の太腿の辺りに剣八の熱が当たった。
「剣八もう一回、口でするか?」
「いや、早く手前ぇの中に入りてぇな」
言うと一護の口に指を二本差し出すと一護はソレを口に含み、唾液を絡ませた。縦横無尽にくちの中を犯しズルリと引き抜くと一護の後庭に埋めていった。
「あ、あ・・・、う、ん」
「固いな・・・、ひと月振りか・・・、誰ともヤッてなかったのか」
「ん、く、当たり前だ!ふっン」
それを聞くと剣八は口を耳まで引き上げて笑った。
「良い答えだ」
そう言うと剣八は指で前立腺を刺激した。
「んあっ!あぁ!やぁ!あぁ!ひっ!んぁ!!」
一護がまたイッた。
「あっ、はぁぁ」
「クク、一護俺はひと月焦らされたんだ、覚悟しろよ?」
指を抜き一護の名残を指で塗り込め、熱く滾った自身をあてがうとズブズブと埋め込んでいった。
「あぁあっ!はぁっあ、剣八ぃ・・・!」
名前を呼んで縋るように腕を伸ばすと剣八がその腕を取って抱き締め、腰を突き上げた。
「ああっ!」
そのままギリギリまで抜くと奥まで貫く行為を繰り返す、一護の口からは絶えず嬌声が上がった。
「ああっ!ひぁっ!うぁ!あぁっあ、剣八!逢いたかった、逢いたかった!」
涙を流し剣八の耳元で口走った。
「一護・・・」
「ずっと逢いたかった、剣八!あぁ!」
剣八が身体を動かした。
「一護、これが済んだらあっちに行くぞ」
一護はふるふると首を横に振った。
「何でだ?もうすぐ誰か帰ってくんだろ?」
「は、あ、無理、ん、駄目だ・・・」
それを聞いた剣八が一護の中に納めていたモノを引き抜いた。
「あぁ・・・や、何でぇ?」
「向こうに行くって言うまで入れてやらねぇ」
剣八は意地の悪い笑みで一護の顔を覗き込んだ。一護は急に質量を失い疼きだす身体を持て余した。
「ひ、く、は、んん」
「ん?どうする、一護もう限界だろ?」
名残惜しそうにヒクつくそこに剣八が指を一本だけ入れてきた。
「あっ!あぁ!け、剣八!もうっ」
「ほら欲しかったら、ウンって言えよ」
くちゅくちゅと、わざと大きな音を立てて、指で嬲る。
「も、う、駄目、お願い、だから・・・っ」
「だったら、一緒にあっちに行くか?おい」
剣八の指が前立腺を掠める。
「うん!うん、行く、からぁ!もうっお願いっ!」
「よし!聞いたぞ一護、絶対連れてくぞ」
剣八は指を抜き、己のモノを再び一護に入れていった。
「ああぁ!剣八ぃ・・・イイ、気持ち良い」
「あぁ、俺もいいぜ、一護」
再び始った行為に一護はもう抗う術は持たず、ただ只管に快感に酔っていた。
「あっ!あぁイクッ!もう・・・あっ!イク!」
「イイぜ、イケよ。一護」
「アッ、アアアアァ!」
一護がイクと剣八が自身を抜き、一護の身体に精を解き放った。
「あ、はぁ、なんで、いつもと違う・・・」
「これからあっちでやるんだ、それに、早く風呂入って流すぞ」
そう言うと剣八は一護を担いで風呂場に案内させた。
「狭いな」
「うっせぇ、現世じゃこれが普通だ。シャワーでいいだろ?」
一護が先に立って入った。シャワーを出し身体を流す。剣八が隣りに来たので、お湯をかけて汗を流す。
「そんなに丁寧に洗わなくてもいいぞ、どうせ借り物だ」
「俺が嫌なの!取り敢えずでも石鹸で身体洗うぞ」
タオルと石鹸を渡し、自分も洗おうとタオルを泡立てていると、背中にタオルが当てられた。
振り向くと剣八が一護の背中を流していた。
「あ、サンキュー剣八」
言いながら自分の身体を洗った。そのうち剣八の手が背中よりも下に伸びてきて、
「コ、コラ!何すんだよ!時間ねぇんだろ!」
「チッ!」
盛大な舌打ちをして自分の身体を洗い始めた。
「・・・剣八、背中流してやるから、背中向けろよ」
「ふん?殊勝だな」
「早くしないと誰か帰って来るだろ」
少なくとも妹達には、会わせられない。
シャワーを浴び終わって、身体を拭いているとアイツが話し掛けて来た。
『楽しそうだな一護?野郎にカマ掘られてアンアン啼いてよぉ』
「く!」
「どうした一護」
「いや、何でもねぇ、早く着替えようぜ」
「ああ・・・」

明日が土、日で良かった。汚れたシーツや下着を洗濯して、
「そう言う訳だから、後は頼んだぞ、洗濯物は勝手に乾燥するから終わったら部屋に持って来てくれ、コン」
コンと入れ替わり、死神化して剣八と家を後にする一護。
「なぁ、そういやその義骸って向こうのか?」
「ああ、霊圧消せるから手前ぇの背後取るのなんか、簡単だったぜ」
「ちぇ!」



後半へ続く

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