題「声後半
瀞霊廷に着くと剣八は一護を自室に連れて行くと、誰も来るなと部下に言っておいた。
「さてと、さっきの続きと行くか一護」
「う・・・ん」
久し振りに剣八の部屋に入った。剣八の匂いが強くなった気がした。
「なんだ?嫌なのか?」
「違う・・・何か緊張して・・・!」
「阿呆か、さっきだって、」
「さっきは俺の部屋だった、今は・・・、お前の」
「あぁ、俺はさっきの方が興奮したがな」
犬歯を覗かせ笑った。
「何せ手前ぇの部屋に入ったのなんか初めてだからなぁ、お前の匂いしかしねぇのな」
剣八はそう言うと、一護を引き寄せ口付けした。深い深いそれは、今までの分を取り返そうとするかのようだった。
「ん、ンふ、んぁ」
剣八は大きい手で一護の肩を包んで、一護は腕を剣八の首に絡ませて。
「あ、はぁ」
「一護、お前震えてんぞ、やっぱ嫌なんじゃねぇのか?」
一護は静かに首を横に振って剣八の手を死覇装の上から自分の中心にあてがった。そこは既に熱く形を変えていた。
「な?大丈夫だよ、早く俺を抱いて・・・」

俺が、俺で在るうちに・・・。

「一護」
お互いの死覇装を脱がし、裸になると蒲団に一護を押し倒した。
剣八が一護の首筋に舌を這わせる。熱い舌が辿った後は外気に晒され冷たく感じる。首筋から鎖骨を辿り、
胸の飾りに到達していた。手は脇腹の辺りを愛撫していた。
「あぁ、剣八もっと触って」
一護も手を伸ばし、剣八の胸板に手を這わせた。
「剣八・・・」
「剣八好きだよ。剣八の手が好き、髪が好き、眼が好き、声が好き、剣八の匂いが好き、剣八の全部が好き」
剣八の目を見て言った。
「一護?」
「だから」

忘れないで。

「剣八、もう我慢出来ないよ早く俺に・・・、俺の中に入って・・・」
啄む様なキスを繰り返し誘う。剣八は身体を起こして一護を引き寄せた。自然膝立ちになる一護。
「ったく、どこでそんな誘い文句覚えてくんだ?」
剣八がぼやく様に言うと自分の指に唾液を絡ませ、一護の後ろに這わせ慣らしていく。
「ん、あ、あぁ」
溜め息と共に艶めいた声が漏れる。湿った音が部屋に響いて一護の官能を刺激する。剣八の指が前立腺を掠めると、
「んあっ!」
足を震わせ、一護が、
「け、剣八もう良いから、きて・・・」
一護が言うと指を抜いた剣八が、
「一護、俺はひと月おあずけ食らって機嫌が悪い。コレ自分で入れてみな」
人の悪い笑みを浮かべ、自身を指差した。一護は素直に剣八に跨ると、後ろに宛がいゆっくり腰を落としていった。
「あぁ、あ、は、ぁ」
悩ましげに眉根を寄せた一護の顔を見ていた剣八が、一護の腰を掴んで一気に奥まで沈めた。
「ああっ!」
全身をガクガク震わせ剣八に抱き付いた。ヒクつく内部で剣八の大きさと熱さを感じ、恍惚とした顔で、剣八の首筋に口付けし紅い跡を付けた。
「一護次は動いてみな、いつもどうだった?自分でやってみな」
あくまで傍観するつもりなのか、一護の耳に唇を当て囁いた。一護は腰を抜けるギリギリの所まで持ち上げ、
自重で奥まで貫いた。
「あっあぁん!」
何度も繰り返し、一護はもうすぐ訪れる絶頂に、
「剣八、もうダメッ!イクッ!あぁ、イッちゃうよぅ!」
涙で潤んだ目で剣八を見た。
「イケよ。見ててやるから最後まで自分で動け」
一護の額に口付けしながら言った。
「あっ!あっ!んっ!あぁっ!あっ!うあぁあ!」
絶頂に達した一護は己の白濁を剣八の身体にまき散らした。
「あっ、は、は、ぁ、剣八ぃ・・・」
剣八の身体に口付けを繰り返し、まだ足りないとばかりに腰を揺らす。
「一護、まだ足りないか?じゃあ今度は俺がやってやる」
中に入ったまま体位を変える、一護を背中から抱く形で自分の胸に納めた。
「あぁっ!剣八、顔見えないよ・・・」
「ここにいるだろ」
ギュっと抱き寄せ、胸と背中を密着させる。剣八の体温と心臓の音が伝わる。
「ん・・・」
「動くぞ」
剣八が言うと一護の膝を抱えて、己の楔を打ち込んだ。
「あっ、あっ、いっ、ん、あぁっ!剣八、あぁ、剣八、あぁ」
腕を伸ばし後ろの剣八の髪に絡ませた。剣八が一護の中で弾けた。
「うっく!」
短く呻いた。
「んあっ!熱い、奥にっ」
まだ固さを維持している剣八のモノが引き抜かれた。
「あ、なんでまだ・・・」
「足りないか?安心しろよ、俺もまだ足りねぇよ」
一護を蒲団に下ろした。蒲団に下ろされた一護の先程まで自身が入っていた所を眺めた。ヒクつく度に白い粘液が内から溢れてきた。一護が恥ずかしそうに足を閉じようとしたのを手で押さえた。
「剣八、やだ、恥ずかしいよ・・・」
剣八は、ソコを指で触ってみた。くちゅっと音を立て、熱く軟らかいソコは易々と指を飲み込んだ。
「あっ、イヤッ」
指を抜くと粘液が糸を引いてついてきた。
「やらしいな、お前のソコはまだ俺を誘ってやがる」
「だって・・・」
「いくら足りねぇからって他の奴とヤッたら殺すぞ」
「何言って・・・?」
「お前こないだコッチ来た時、最後に浮竹んトコ行っただろ」
「?あぁ、歩いてたら声掛けられて、お前に水ぶっかけられて濡れた着物乾くまで居たけど、なんで知ってんだ?」
それには答えずに一護を押し倒した。
「うわ!」
上から一護の顔を見据え口付けを交わした。
「ん、ふっ、あぁ、剣八、もう」
「もう、なんだ?おねだりか?」
顔を赤くして一護が頷いた。それを見た剣八が自身を一護にあてがいゆっくりと沈めていった。
「は、あぁっ!剣八、いい、あぁっ!」
「一護、お前なんか今日はえらく素直だな」
「だって、ン、俺だって我慢して、た。あぁっ!」
それだけではないと剣八は薄々感じていた。一護が何かに怯え、自分に甘えに来た。それが証拠だ。
「一護、お前なんか隠してるだろ?」
「え?何を・・・」
「言わねえと、おあずけくらわすぞ?」
良く通る低い声で囁かれ、一護は思わず言ってしまいそうになった。でも言えば逢えなくなるかも知れない、絶対言えない。
「やだ、剣八、お願いだから・・・」
困った様な泣きそうな顔でこちらを見つめる。
「じゃあ言いたくなる様にするだけだ」
剣八が舌舐めずりして、一護に納めたモノを動かし始めた。
「んぁ!あっ!熱い、剣八、あぁ!」
剣八が一護の一番感じる所を攻めた。
「ひっ!あぁっ!剣八!んあっ!ひぃっあ!あっ!あっ!ダメッ!」
「おっと、一護そう簡単にイケないぜ?」
剣八が一護の根元を握り込んだ。
「んぁ!やぁ!あっ!ひぅ!あっ!ひっ!剣八!やぁ、もうダメッ!」
「イキたかったら、言えよ一護、何が怖い?教えろ」
「んっ!んっ!剣八!お願い、俺を、ココに縫い付けて!剣八!あぁっ!」
「一護!くそっ!この餓鬼!縫い付けてやるよ!俺がずっとココにな!」
「剣八!あぁ!あ!お願い!もう!」
「駄目だ、俺がイクまで我慢しろっ」
「そんな!あぁ!剣八、ひ、く、ぅあ!あっ!」
剣八の動きが激しくなって、最後が近いのを感じた一護は、
「剣八、噛んで!あっ!俺に!跡付けて!」
「一護・・・!」
剣八が一護の肩に歯を立てる。
「もっと、強く!血が出てもいいからっ!お願い・・・」
いつもは嫌がるのに、一護の懇願に剣八は違和感を感じながらも、噛み付く歯に力を込めた。皮膚が裂け、血が出た。
「ああ・・・剣八!」
名を呼び、縋る様に髪に指を絡ませた。剣八も限界が来た。一護に絡ませた指を離し、一際深く奥を突くと熱い精を注ぎ込んだ。
「あっ!あっ!熱い!剣八のがっ!あぁっ!」
一護は達すると同時に気を失った。

「一護、お前何隠してる?」
一護の髪を梳きながら呟くと、急に身体を起こして笑いだした一護。
「馬ぁあ鹿、コイツが隠したがったのは俺だよ」
「誰だ、お前」
「俺は俺だよ。コイツの中にいて、何時乗っ取ってやろうか狙ってたんだよ。コイツは中々死神化しねぇし、ありがとよ、また近づけたぜ」
「どういう意味だ」
「俺はコイツが死神になる度に近付くんだよ、毎日毎日コイツに呼び掛けて揺さぶって、それをお前が現れてココに連れて来た。
コイツはお前に惚れてんだぜ?逆らえる訳ねぇ、こないだだって、お前につれなくされて浮竹とかいうヤツの所でピーピー泣いてよ。うぜぇったらねぇ、しかも帰る時コイツお前の隊舎の前で何て言ったと思う、俺が虚になったらお前に斬って欲しいんだとよ、けっ!俺がテメエに斬られるかよ」
「いいか。俺はテメエが嫌いだ。いつもコイツを組み敷いて啼かせてるけどな、俺はテメエを殺せるぜ。覚えとけ!」
肩のキズを見て、
「チッ!派手な跡付けやがって!」
「おねだりされたんでな」
「チッ!そういやそうだ。コイツが今日なんで素直だったか知りたいか?コイツは俺に負けたら消えて無くなるからな、
それと俺の事がバレたらテメエに逢えなくなるからだとよ阿呆らしい」
剣八は大人しく聞いていた。
「ひとまず今日は帰ってやるよ。コイツはゆっくりと俺が貰ってやるよ」
「やらねぇよ。ソイツに惚れてんのは俺も同じだ。テメエにやるなら殺してやるよ・・・」
「起きてる時に言ってやれよ、そういう事はよ」
一護が再び蒲団の上に倒れた。うつ伏せで眠る一護を胡坐をかいて見つめる剣八。
「隊長、失礼致します。一角です」
「何だ、入れ」
「失礼します」
入った途端、目に飛び込んで来たのは素肌に襦袢を引っ掛けただけの剣八と蒲団で背中を見せて眠る一護だった。
「何の用だ?誰も来るなって言っといたぞ」
「あ・・いえ、先程の霊圧は一体何事かと」
「何でもねぇよ」
「そうですか。失礼致しました」
一角が帰ろうとした時、一護が目を覚ました。
「ん・・・、剣八、どこ?」
身体を起こして剣八を探す。一角には気付かず、剣八を見つけると近付いて口付けした。
足の付け根付近から、先程の名残が流れ落ちているのを目にした一角が我に返り、気配を消して黙って消えた。
「どうした?一護、まだ足りねぇか」
「ん、起きた時隣りにいなかったから」
剣八の膝に座って甘えた声で言った。
「なぁ、なんで俺が浮竹さんトコに居たって知ってんだ?」
「あぁ、浮竹の野郎が俺に言ったんだよ。自分の恋人泣かすなってな」
「こっ、恋人って!」
「お前の事だろうが、他に誰がいんだよ?」
「俺が、お前の恋人?」
「なんだよ、嫌なのか」
首を横に振った。
「嫌じゃない!嬉しい。俺・・・」
剣八の首筋に顔を埋めた。
「俺のしるしだ」
剣八が一護の肩のキズを舐めた。
「あっ!」
熱さと痛みに顔を上げた。剣八に顎を掴まれ顔を見られる。
「・・・何、泣いてんだ」
「あ、本当だ・・・。分かんなかった。多分嬉し泣きだ」
そう言って笑う一護。涙を拭いながら、幸せだと呟いた。
肩のキズを見て、もっと付けてくれても良かったのに、と言ったのを聞き逃さず、
「これからだって付けてやるよ。泣いて嫌がってもな、俺はお前に惚れてんだ手放すつもりは毛頭ねぇよ」
「い、今何て言った?」
「何度でも言ってやらぁ。俺はお前に惚れてる」
一護を押し倒して、
「だから、あんな奴に飲まれんじゃねえぞ、お前は俺のモンだ、その眼も髪も声も身体も俺のモンだ」
そう言うと剣八は、一護を腕に抱いて眠った。一護は、剣八の腕の中で何故アイツのことを知っているのか気になったが、腕の中が気持ち良くて眠くなって来たので、どうでもよくなった。泣くほど嬉しい言葉を貰ったんだ。きっと勝てる。
一護も眠りに落ちていった。



08/05/10作 第9作目です。


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