題「一族・長の資格」3
 白が退院した日の午後、京楽家の本家に1人の貴族が訪れた。
「これはこれは京楽様、お久しゅうございます」
「お久しぶりです。さて、今日は如何な御用向きですかな?」
「はい、なんでも先日こちらの御次男様の奥方様が大虚に襲われたとか。急を聞きつけお見舞いの参った次第でございます」
「それはご丁寧に、有難うございます。しかし、何ゆえこちらに参られたのです?見舞いなら直接弟のところへ参られれば宜しいでしょう?」
「はい、しかし事が事ゆえ私どもが見舞いに出向き、奥方様やお子様方のご気分を害されては、と思いまして」
「それは・・・お心遣い痛み入ります」
「これは些少ではございますが見舞いの品にございます。弟君の奥方様にお渡し願えるでしょうか?」
「分かりました。受け取ってきましょう」
「有難うございます。ではわたくしはこの辺で。失礼いたします」
貴族は菓子折りを手渡すとそそくさと帰っていった。
「貴方、どうかなさいましたの?」
奥の部屋から妻が夫の元へと寄ってきた。
「今の方は、たしか・・・」
「うむ。例の貴族の家の者だ」
「そのような者が何ゆえ我が屋敷にいらしたのですか?」
「うむ、白君への見舞いだそうだ。・・・白々しい」
「白さんが授業に参加していた事は内密にされましたのに態々出向くなど、浅はかですわね」
「全くな。ご丁寧に菓子折りまで持ってきたよ」
「それが、ですの?」
「ああ」
「それをどうなさるおつもりですの、貴方?」
「まさか渡すわけにもいくまい。何が仕込んであるか解らないからな。処分するしかないだろう」
「ではわたくしが焼き捨てて参りますわ」
「早速だが頼むよ」
兄嫁は貴族の持ってきた見舞いの品を受け取るとその場を離れていった。



その頃、京楽家本家を少し離れたところから伺い見る者があった。男は本家から気取られぬ様にしてずっと本家を見張っているのだった。その男の所に別の男が近づいてきた。
「おい、何か変わった様子はあったか?」
「貴族が一人、菓子折りを持って訪れたな」
「菓子折り?それで?」
「弟君の奥方に、だそうだ。御当主はそれを焼き捨てられた様だがな」
「焼き捨てた?渡さずに、か?」
「ああ、そうだ。お前はこの事をみんなに伝えてくれ」
「分かった。また何かあったら知らせてくれ」
二人は何事も無かったように別れると互いにその場を離れていった。




白は子供達を伴って朽木邸を訪れていた。縁側で白哉とお茶を飲み菓子を頬張る白。庭ではウルキオラが夕月の相手をして遊んでいた。
「済まねぇな。なんか迷惑かけちまったみたいで」
「それは構わぬが、体のほうはもう良いのか?白」
「ああ。もう何ともねぇよ。ただなぁ・・・」
「どうかしたのか?」
「春水がさ、もう無茶なことはしちゃ駄目だって煩いんだ。『朽木君も朽木君だよ。白を引っ張り出したりして!白に何かあたっらどうするの!?もう朽木君の所へは行っちゃ駄目だよ!』って。白哉のせいじゃないのに」
「京楽の言い分も分からぬでは無いがな」
「白哉は悪くない!それにあん時助けてくれたんだろ?千本桜使ったって聞いたぜ?」
「覚えておらぬのか?」
「ああ、朝月たちが怪我したのを見て、頭ン中がカーッとなったとこまでは覚えてるんだがな。気が付いたら四番隊だった」
「そうか。とにかく何事も無くて良かった」
子供達が遊ぶ様を見ながら、白はまたひとつ菓子を口に運んでいた。
「(戦っていた時の記憶が無いと言うのは本当らしいな)」
白哉は菓子を頬張る白を見て、それはそれで良かったと思った。白に戦っていた時の記憶があれば、白に戦う力があると知れば、白は子を京楽を護るためにその身を危険に晒すだろう。その身を顧みる事無く。白の性格を思えばそれは容易に想像できた。白が漸く手に入れた平穏な生活を壊すことなど無いように、と白哉は胸の内で願っていた。



朽木邸で寛いだその帰り、白と夕月を抱いたウルキオラが家路を歩いていた。ふいに白がウルキオラに声を掛けた。
「ウル、夕月連れて先に帰っててくれ」
「母上?」
「俺はちょっと用事ができた。夕月を昼寝させておいてくれ」
「分かりました」
ウルキオラを先に帰らせると、白は人気が無い所へ移動して足を止めた。
「出て来いよ、居るのは判ってんだぜ?」
「・・・気が付いていたか」
「匂いで判るんだよ。何の用だ?」
「久しいな、白」
白に声を掛けられ、黒髪の、漆黒の衣装を纏った男が白の目の前に現れた。
「今更俺に何の用だ?」
「お前を迎えに来た」
「俺を?」
「そうだ」
「今更・・・?」
「本当ならもっと早くに迎えに来るはずだったのだ。少しばかり遅すぎたようだがな」
「はずだった?俺を?」
「そうだ。俺と来い、白」
「・・・俺は行かねぇぜ」
「否とは言わせぬ。お前を連れて行く」
「行かねぇって言ってんだろ!てめぇの親父にもそう言っておけ!」
「それは聞けぬ。・・・また来る」
男はそう言うと風のように姿を消した。
「俺は行かねぇって、言ってんだよ」
ぽつりと言った白の言葉は誰にも聞かれる事は無かった。


その夜、京楽は白の様子が気になって仕方が無かった。
朽木邸から帰ってきてからというもの、どこか元気が無いのだ。物憂げに考え込み、時折溜息をつく白。理由を聞いても「何でも無えぇよ」と返される。
「ねぇウル。白の元気が無いんだけど朽木君のところで何かあったの?」
「いいえ。特に何もありませんでした」
「そう・・・他に変わったことは?」
「帰り道で途中、用事が出来たからといって夕月と先に帰されました」
「用事?何の?」
「いえ、用件までは聞いてはいません」
「そう。ありがとうね」
何が白を鬱のさせるのか、気にはなるがそれを白に問いただせない京楽だった。


夜、寝室でぼんやりと考え込む白。
『お前を迎えに来た』
男の言葉が白の頭から離れない。
『本当ならもっと早くに迎えに来るはずだったのだ』
男の言い方では天鎖は自分を一族に引き戻すつもりだ。それもずっと以前から。
『少しばかり遅すぎたようだがな』
少しばかりでは無いだろう。自分は春水に娶られ子供も産んだのだ。しかもその子供の一人は学院に入るまでに成長している。連れ戻すつもりなら幾らでもその機会はあったはずなのだ。例えば朝月を産んだ後とか・・・それが何故『今』なのだ。

「白?どうしたの?どこか具合でも悪いの?」
何時に無く塞ぎこんでしまっている白を心配する京楽。
「・・・春水」
「何?どうしたの、白?」
切なげに己の名を呼ぶ白を見やれば、金の瞳が不安げに揺れていた。両手で包み込むように京楽の頬に触れる白。
「俺を、離すな・・・」
「白?」
「俺は何処にも行かねぇ。だから・・・・」
「白・・・」
「何があっても、俺を離すな」
そう言うと白は京楽の首に腕を回すと深く口付けた。

「ん、ん、あ、しゅんすい・・・、ん、ふ」
白いしなやかな腕を京楽に絡め口付けを深める白。
強請る事はしても普段は決して自分から口付けをして来ない白。
そんな白が自分から口付けを仕掛けてくると言うのは、酷く不安定であるか、何かに怯えている時だと京楽は知っている。
何が白を脅かしているのかは分からないが、きっと自分に話してくれると信じているから今はその恐怖を少しでも払ってやりたい。
自分より小さい体を抱きしめながら京楽も深く深く口付ける。
「ん、んぁ、ああ・・・しゅんすい・・・」
「白・・・」
「春水、春水・・・」
ちゅ、ちゅ、と京楽の唇を啄ばむ白。
「白、可愛い・・・」
「え、わ・・・!」
ふわりと押し倒され、上から見下ろされる。
「あ・・・」
大きく優しい手が白の髪を梳いていく。
「白、白、しろ・・・」
寝間着の袷から手を差し入れ、滑らかな肌を武骨な指が這いまわる。
「あ、ふぁ、あ!」
胸の小粒を探し当てると指の腹で捏ねながら白の首筋を舐めていく。
「ひあ!やあっ!」
「ふふ・・・」
いつの間にか耳元へと唇を寄せていた京楽が耳朶に吸い付き、甘噛みを繰り返す。
「あ!あ!やぁ!」
耳への愛撫に気を取られている白の帯を解き、前を開いていく。
「ん、あ・・・、ああ・・・」
白い絹の様な肌を堪能しながら赤い跡を付けていく。ちゅうっ!と乳首に吸い付くとビクンッ!と背が跳ねた。
「きゃん!あ、あ、しゅんすい・・・!ああっ!」
白の中心に辿りつくとそこはもう既に反応し頭を擡げていた。それを軽く握り込むと手筒で上下に扱いてやった。
「あっ!あっ!ヤッ!ダメ!」
「駄目じゃないでしょ?もうこんなに濡れてる・・・」
ぐちゅぐちゅと聞こえてくる水音が白の耳を犯す。
「やぁあ・・・!」
溢れる蜜は京楽の手をしとどに濡らし奥にある蕾まで濡らしていた。

濡れた蕾を指の腹でクニクニと揉むとヒク付いてきた其処はつぷりと指を飲み込んだ。
「はぁん!しゅ!春水ぃ!」
「ふふ、キュウキュウに締め付けてくるね・・・」
言うや白の中心をパクリと口内に含んでしまった。
「ひ、やぁあん!ああ!ああ!あっ!あーーっ!」
どくり、と京楽の口の中へ吐精した白。ごく、と飲み込むと残った精を吐き出し、未だ指を飲み込む蕾への潤滑油代わりにした。
ぐちゅ、ぐっ、ぐちゅ!と淫猥な音を響かせる其処はもう3本の指を飲み込んでいる。
「あ、ああ、春水!も、もう!きて、おねがい・・・!」
「ん、もう良い?」
「ん!ん!はやく・・・!」
「うん・・・」
己を求める白が愛おしく、京楽は指を全て抜き取ると既に滾っている自身を誘うかのようにヒク付く蕾へと擦り付けた。
「やあ・・・!いじわる、しないで・・・!」
「行くよ・・・!」
ぐぷぷぷ、と奥まで貫く京楽。
「あ、ああぁああ!しゅん!すいぃ!しゅんすい!春水!」
「くっ!」
ズンッ!と奥まで突くと白が京楽の背を引っ掻いた。
「あ・・・あ・・・あ・・・!」
「白、気持ちいい?」
「うん!うん!きもち!い!」
「良かった・・・!」
白の腰を抱え直すと激しく揺さぶる京楽。
「あ!あっ!しゅん!すい!あっ!いっ!ンンッ!」
ふわりと白銀の尻尾が目に入り、上を見るとやはり耳も出ていた。
「綺麗だね・・・」
「ふ、ふあ?」
とろんとした目で見上げる白に京楽は自身に血が集まるのを自覚した。
「ああ!また、おっきくなったぁ・・・!」
「白のせいだよ・・・」
ぴるぴるっ!と白の耳が震えた。

後ろから獣の様に覆いかぶさり熱い楔を打ち込んでいく京楽。
白はもう腕に力が入らず蒲団の上に突っ伏している。
「はっ!はっ!あっ!ああっ!しゅ・・あっ!」
「ふふ・・・、可愛いお尻・・・」
白く円やかな双丘を大きな手で撫でると、ふわふわの尻尾が隠す様に下りて来た。
「白・・・?」
「やぅ・・・」
京楽がその尻尾を掴んで犬歯で軽く噛むと、中を締め付け、
「きゃうんっ!」
と甲高く啼くと薄くなった精を吐き出した白。震えるその身体がさらに愛しくなり欲望の赴くままに突き上げていた。
「ああっ!春水!ああっ!ああっ!うああっ!また!またイくっ!もうむりぃ!もう!やぁあああっ!」
「ああ!白!白!愛してる!白!くうっ!」
達する瞬間、白の身体をきつく抱きしめた京楽は最奥へと精を注ぎ込んだ。
「ああ!熱い・・・!おく、しゅんすいの・・・!」
ぴしゃっ!と薄い精を吐き出すと気絶した白。
「ああ・・・まだ足りないなぁ・・・。もうちょっとこうしてよ」
意識を飛ばした白をその腕の中に抱き締める京楽。
寒さで身動ぎした白を見て漸く風呂に入れ、洗い清めてやった。

新しい蒲団の中、漸く安心したかのように深い眠りに就く白の髪を梳きながら、
「僕が君を離す訳無いでしょう?何があろうとこの手は離さないよ・・・」
ちゅ、と眠る白の額に一つキスを落とし、きゅう、と抱き寄せ自身も眠りに就いた京楽だった。


第4話へ続く


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なんかカオスだな・・・・
自分の頭がw
閨のシーンはこれが限界っ!頑張ったぜ!俺!後は任せた!(笑



12/01/30にアップしました。
閨事情は後で加筆します。
12/01/31に閨シーンの加筆をしました。翌朝白ちゃんの腰、大丈夫だったのかしら?



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