題「捨て猫」3.それぞれの想い | |
一護は、剣八と身体を繋げるという事は、この身体を維持するためだけだと思っていた。 けれど最近は、それだけじゃない気がして、抱かれた後は気恥ずかしくて剣八の近くに居るとドキドキした。 (なんだろ?何だろう、これ) それが何なのか分からなくて、最近可愛がってくれる乱菊の所へ行った。 剣八も一護を抱く理由が増えた様に思えた。ただ人型のためだけじゃない。確信はしているがその感情の名前は分からなかった。昨夜、遊郭で燻ぶる熱を吐き終えるとすぐに帰った。 目が冴えて落ち着かなかった。一護の隣ではそんな事なかった。すぐに眠気が訪れ一緒に寝られるのに・・・。 「なんだ・・・こりゃ・・・」 誰に言うでもなく、一人呟いていた。帰ってきて一護の隣に入るとすぐに寝つけた。 「らーんぎーくさーん、居るー?」 「はーあーいー。なあに?一護」 「あのねえ、俺分かんない事があるの。聞いてもいい?」 「あたしで良ければ。あたしに分かったら良いけどね。お入んなさい、お菓子あるわよ」 「はあい!」 素直に返事する一護を可愛いと目を細める乱菊。 「いらっしゃい、はい、お茶とお菓子ね」 「ありがとう!乱菊さん」 そんな二人を険しい顔で見る人物がいた。 「?だあれ?白い髪・・、浮竹さんの弟?」 「誰がだ!俺は日番谷冬獅朗、十番隊の隊長だ!」 「隊長!すごい!まだ小さいのに!とーしろーすごい!」 「ちっさ・・!松本!笑うな!」 「す、すいませ!一護、あんたって最高!」 「なにがー?」 がたん!と立ちあがり出ていこうとする日番谷。 「隊長、どこへ?」 「散歩だ!その間にそのガキに礼儀でも教えとけ!」 バタン!と扉が閉められた。 「怒ってた。俺なんか悪い事言ったの?」 くりん、と小首を傾げて聞いて来た。 「な〜んでもないわよ、大丈夫!で、何が聞きたいのかしら」 「あ、うん、えと、あのね?」 「はいはい」 一護は持ってきた日記を差し出してこう言った。 「俺、この間からね、剣八の顔見ると、すっごく苦しいの・・・、胸のココとかがきゅうってなってドキドキするんだ。ねぇ乱菊さんコレって病気?俺、病気なの?」 涙目になって聞いてくる一護の頭を撫で、日記を読んでいく乱菊。 微笑ましく、可愛い内容に混じってなかなかに際どい所もあったりした。 「一護・・・、この交尾っていうのやめなさい・・・」 「? じゃあなんて言うの?」 「ん〜、エッチとか、抱かれたとか、色々ね」 「ふぅ〜ん、その方がヒトらしい?」 「そうね、人は交尾とは言わないわ」 「分かった!俺もうヒトだもんね!もう言わない!」 「それでね、一護そのドキドキはね・・・。病気じゃないわ、安心なさい」 「ホントに!良かったぁ!でも剣八の顔見ると苦しいよ?」 「苦しいだけかしら?よっく思い出して御覧なさい」 一生懸命に思い出す一護。 「ん〜とね、苦しいだけじゃないよ、なんかね、ふわふわしてるの。気持ち良いよ」 それを聞いて、顔を綻ばせる乱菊。 「ふふ、一護は更木隊長にやられちゃったのねー」 「? やられたって何が?」 「愛しちゃったって事よ、おめでとう、一護!」 「あ、わ、分かんない!」 真っ赤になって両手で顔を隠す一護。 「なぁ〜に顔隠してんの、可愛いわね!」 「やん!恥ずかしいよ、乱菊さん」 一頻り、一護を可愛がりながらも、夜に帰って来ない剣八、という行が引っ掛かった乱菊は、 「ねえ?この夜になると居ないってどういう事なの?」 「知らない!すぐ寝ちゃうもん、厠じゃないかな」 「そうね、きっとそうだわ。それか急ぎのお仕事とかよ」 「そっか!お仕事もあるもんね!大変だ、剣八ってば」 「そうね・・・」 乱菊は、自分の嫌な予感が当たらないように心の中で祈った。 ○月3日 はれ このあいだから、剣八をみるとむねがドキドキしてくるしい。こわくなったから、らんぎくさんにそうだんしてみる。 そしたらビョーキじゃないって!おれが剣八をあいしてるんだっていってた。あいしてるってなんだろう?わかんない。 でも剣八はすき! 乱菊と別れ、十一番隊への帰り道で一護は、 (ん〜、俺は剣八が好き、だよね。大好き。大好きと愛してるって違うのかなぁ。また分かんない事ができちゃった) 「ただいま〜」 「おかえり、一護君。もうすぐ夕飯だからねー」 「はーい!」 「おう、一護帰ったか。どこ行ってた?」 「あ、剣八。えっと乱菊さんとこだよ!」 「ほお」 「なんかね、とーしろーって子が隊長だった、小さいのにすごいねって言ったら怒っちゃった」 「そうか」 ポスポスと頭を撫でられて、またドキドキしてしまった一護。 「あう、お部屋にカバン置いてくる!」 と走って行った。 「なんか最近おかしいな、あいつ」 「そうですかぁ?」 夕飯も済み、お風呂に入るといつものように組み敷かれた。 「あ・・・」 「なんだ?どうかしたか?」 「う、ううん!なんでもないの・・」 乱菊さんがあんなこと言うから!すごく気になっちゃうよ。 その夜の一護はいつもより剣八の手の動きに過敏に反応した。 「ふぁっ!あっ!あっ!やっん!なんでぇ・・・?いつ、いつもと違うよぉ・・・」 ヒクン、ヒクン、と震える中心からは止めどなく蜜が溢れていた。 「どうした、一護?今日はえらく感じてんなぁ」 「ひん!分かんなぁい・・」 その手は緩く敷布を握り、しわを作っていた。 「くっくっ、可愛いなぁお前は・・・」 そう言うと、その中心の先端をぺろりと舐め、口に含んでしまった。 「ああっ!ンああっ!ダメェ!ンッ!ンッ!ああっ!」 とくんっ!とその口内に吐き出した。剣八は零すことなく飲み干した。 「あぁ・・・、はあ、剣八・・・」 手を伸ばし口付けを強請った。 「いい顔だ・・・」 「ん・・・、ふ、あ、ん・・・んん・・」 深く口付け、舌を絡めあった。舌に残る苦みは先程の名残だろうか? ぷちゅ、と糸を引き、離れた二人。 「一護、もうお前ん中に入るぞ?」 「うん、きて」 トロリとしたジェルを指先に取り体温で温める。それを一護の蕾に塗り込めてゆっくりと解していく。 「あう、ああ、あっ!ンッ!そこだめ!」 コリッとしたしこりに指が当たった瞬間、一護が締め付けた。 「駄目じゃねえだろ?ここがお前のイイところなんだからよ、ほら・・」 クイッと指の腹で押し上げた。 「ひん!ダメ!出る!出ちゃう!やあっ!あんっ!あんっ!あ・・・っ!」 ぴゅくん!と二度目の吐精をしてしまった。 「は・・は・・は・・、も、う・・・」 「もう?来て、か?」 「いじ、わるぅ・・・」 「くくく、いい感じにとろとろだ、行くぞ」 「ああう、はやく、あっ!」 ずぶり、と一護の胎内奥深くに、一気に押し入った。 「あぁあああん!」 はっ!はっ!と荒い息の中でも、 「すご、い・・、あん、気持ち、ん、いい!」 クチュクチュ、くちゃくちゃと繋がった所からはいやらしい音が響いていた。 「くああ!剣八!やだあん!へん!あっ!あっ!イク!イク!んああ!」 きゅううう!といつも以上に締め付けた。中の剣八の形が手に取るように伝わった。括れも浮き出た血管も・・・。 「ああぁあん!」 「くっ!」 どくどくと中に注がれる熱の塊にも感じてより締めつけた。 「キツイぞ、一護。食い千切る気か?」 「あ、あ、あ、うう、うう、おかしいいよ・・・?おれ、イッタのに、何にも、んあ、出な、出ないよ・・・?」 ガクガク震えて、涙を零し、未だ締め付けている。 「くくっ!そんなに感じたか・・・、ドライオルガズムだ、心配すんな・・・」 「き、気持ち良かった・・・」 はふ、と息を吐くとカクンと気絶してしまった一護。 「またか・・・、感度が良くなっても体力がな・・・」 そう呟いて、一護を風呂に入れてやり、自分はまた店に女を買いに行った。 「くちゅんっ!」 可愛いくしゃみと共に起きた一護はまた剣八が居ないのに気付いた。 「またいない。どこに行ってるの?剣八・・・」 帰ってくるまで起きてようと頑張ったが結局睡魔に勝てず、寝てしまった。 ○月4日 くもり。 また剣八いなかった。でもおきたら、いた。どこに、いってるの? 「おはよう・・・剣八・・・」 「おう、元気ねえな、どうした?」 「なんでも、ないよ」 すりすりと顔を擦り付けると、微かに化粧の匂いと女の匂いが嗅ぎとれた。 「剣八・・・?」 「うん?どうした」 髪を梳いてくる剣八は何もなかったかのようだ。 「ううん、なんでもない、朝ごはんまだかな」 「もうすぐだろ」 そんな話をしながら一護は今度こそ、どこに行っているか確かめようと決心した。 第4話に続く 09/11/03作 自分の中の感情の成長に気付く一護でした。 剣ちゃん、浮気した自覚ナッシング! |
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