大切な宝物を

「市立第一小学校六年一組の、諭良=ファン・デル=エルレンバルトです。いま、公園の林の中にいます。……ちんちんを、ズボンの窓から出してます。……ちんちん、勃起して、……恥ずかしいおつゆでヌルヌルになってます」

 諭良はカメラのライトを灯して、自分のおちんちんを映しだした。暗がりの中、真っ白なおちんちんはいつもの通り、「ふふ……、ぼくのちんちんは、勃起してても、いつもこんな風に先っぽに皮が垂れてて、だらしないです。でも、この中は……」自分の指で皮を剥く。たちまち、白く泡立った腺液があらわとなった。

「こんなに、ヌルヌルです。……いま、しっこガマンしてるので、このままトイレまで行って、いっぱいしっこと、……あと、うんちもします、でもって、オナニーも……。ぼくは、こんな風にちんちん見てもらうのうれしい、ヘンタイです。……誰かに見てもらいたいなって思いながら」

 歩き出す。そのスニーカーがさくさくと足元の枯れ葉を踏みしめる音が届く。「お散歩するの、ぼく、大好きです……」

 夜の公園はひと気がない。いや、この城址公園はいつもひっそりとしている。だからこんな風に諭良が露出散歩を安全に楽しむにはうってつけの場所なのだ。

「はあ……、しっこ出ちゃいそう……、でも、ガマンしなきゃ……」

そう言いながらも、諭良の中で「予定」が見る見るうちに変貌していく。

「……あ……は、もう……、ガマンできないかも……、しっこ……、出ちゃう……」

カメラが一度、くるりと周囲を見回した。トイレの建屋が映った。しかし諭良はもう足を止めて、

「はぁあ……」

 勃起しても垂れたままだった余り皮を膨らませてピンと立たせて、高らかに放物線を描き出していた。

「すっごい……、お外でしっこするの……、すっごい……!」

 立ち止まったまま、あらぬ場所での放尿。その行為自体に諭良は酔い痴れ、もとより甘い声を一層濡らす。

「もう……、もう、射精もっ、射精もっ、ガマン出来ないっ……、ここでオナニーもしちゃいますっ、ちんちんシコシコしちゃいますっ!」

 この時の諭良には危機感などというものは全くなかったようなのだ。それは彼のこれまで重ねてきた露出の豊富な「経験」によって生まれる自信だったろうし、……同時に油断であった、と言い換えることが出来るかもしれない。

 放尿の終わった皮余りペニスを掴んで、

「あはぁっ、ちんちんいくっちんちんいくいくいくぅっ」

 思いっきり声を上げて、諭良は夜の公園で射精した。解放感を存分に味わった彼の感じた快感の強さを証明するように、精液は重たく、濃いものとなって下土に落下した。

 と。

「あの」

「ファッ……」

 あらぬところからの声に、諭良が飛び上がる。

 全身に震えが走り、膝から力が抜け、……尻餅をついてそのまま固まった。誰もいないと思っていた場所で、誰かから声をかけられたのだ。しかも、……露出オナニーの最中に!

 だが、諭良が感じたのは「どうしよう」という困惑ではない。むしろ、

「い、……今の、見てた……?」

 声のした方を振り返らず、訊く。

 あと二ヶ月でこの街を去る諭良にはもう、怖いものなど何もない。彼はこのところ「いつ学校でオモラシをしようか」ということを考えては、ブリーフの中のペニスを固くするようになっていたから。

「見てた……、見てました」

 だから、……いっそ好都合だ。自分の痴態と変態嗜好を晒すに当たって、その第一歩を踏み出したのだとしか思わない。だから振り返って、

「ん……、……ん?」

 そこにあるのが見知った顔であることには、驚きと、微かな失望を覚えたほどだ。

「ああ……、君か……、えっと」

「……カミユギ、ソラタです」

「ああ、うん、空太。……こんな時間にこんなところでどうしたの? もう十時だよ? お家のひと心配してるんじゃないの?」

 こんなところでどうしたの、は諭良の方こそ訊かれてしかるべきことであった。

 上柚木空太と諭良の出会いは、二月ほど前まで遡る。

 当時まだ、諭良は才斗に片思いをしている最中で、昴星とは水面下で対立関係にあった。しかし昴星が流斗との暗躍によってその対立関係を解消させ、……具体的には諭良が昴星と同じく「ヘンタイ」であることを諭良に認めさせた過程に巻き込まれたのが、才斗と諭良の通うスイミングスクールに同じく通い、昴星才斗と同じ団地に住む小学四年生の空太であり、流斗の学校の同級生である「ルカ」こと鞆鞘遥である。具体的には空太とルカは共に失禁させられ、性の快楽や欲を植え付けられ、秘密を共有する羽目になった。ルカと流斗は学校で、しばしば秘密の遊びに興じているらしい。

 が、この空太は家が近いながらも昴星や諭良との交流が途絶えていた。それぞれに「恋人」と遊ぶことに夢中だったし、すっかり打ち解けた昴星と諭良も二人きりでよく遊ぶから、そんな暇がなかったと言うべきかもしれない。

 だから空太の突然の出現は、諭良にはシンプルに以外な出来事であった。

 空太は尻をはたいて立ち上がり、すっかり落ち着いたペニスをしまった諭良の前に、

「あ……、あのっ、諭良くんっ」

 両膝をついた。空太はハーフパンツに長袖のウインドブレーカー、昴星のように活発な服装でいた。いかにもすばしっこく運動が得意そうな、手足長く痩せた少年である。

「はい?」

「おれもっ……、おれも、諭良くんたちしてるみたいなっ、エロいこと、いっしょにしたいですっ……、おれも仲間に入れて欲しいです、……おねがいします!」

「……はい……?」

 諭良がとにかく彼をすぐそばの四阿まで引っ張っていって事情を聴いてみるには……、

「おれ……、あれから、なんか、ずっと変なんです……」

 ということなのだ。

「それまて、全然、男のちんちんなんて何も興味なかったし、しっこなんてきたねーって、それしか思ったことなかった……、のに、学校のトイレでとか、プールでとか、……男子のちんちん、見て、すっげえドキドキするように、なっちゃって……」

 要は、目覚めてしまったのだ。潜在的に空太の中にあったのか諭良たちが植え付けたのかは判然としないがとにかく、空太を「同性愛者」として。

「あれからずっと、……ちんちんのことばっか、考えちゃって、夜も寝れないし、……だから、諭良くんとか才斗くんとかと話して、どうしたらいいか教えてもらおうって、……でも、なかなか出来なくて……」

 悩みに悩んだ末に、空太は才斗の元を直接訪れようと決めた。しかし才斗は留守で(今夜は昴星と遊んでいることを、諭良は知っていた)途方に暮れて、夜の街をふらふらしていたところ、公園に入って行く諭良を目撃し、後を追ったのだと言う。

「そうだったんだ……。でも、君は流斗やルカとアドレスとか交換したんじゃなかったっけ? 彼らに訊いたらよかったのに」

「だって、……流斗は、あいつは学校違うし遠いし、それに、……ルカと流斗は、付き合ってるって……」

 ああ、一応そういうことにはなっている。流斗には他に「恋人」もいるけれど。

「だから……、もう、どうしたらいいのかわかんなくって……」

 諭良はこの少年が気の毒に思えてきた。だって空太に初めての射精を味わわせたのは他でもない、諭良なのだ。空太に失禁をさせて、その縮こまったペニスを口に含んで……。

「そう……。つまり、空太は男の子の身体に興味があって、男同士でちんちん気持ちよくなりたいんだね?」

 空太は小さく、……本当に小さく頷いた。少年自身、自分のその考えが「おかしい」と思われることを恐れているに違いない。……それは当然のことだろう。

 諭良は少し考えて、

「……ぼくにも、好きな人がいる。恋人って言ってもいいよ、二人。だから空太の恋人にはなってあげられない」

 言った。空太は唇をへの字に曲げて、それでも健気に頷く。

「でもね、空太といっしょにちんちん気持ちよくなるの、してもいいと思うんだ。……空太のちんちんは気持ちよくなりたいんだよね? そう思うようになったことは、ぼくにも責任があると思うし」

 諭良は微笑んで、流斗ほどではないにせよ自分よりずいぶん小さな空太の短い髪を撫ぜた。前髪が短くて、さくさくした触り心地の黒髪だ。額が露わになっているのも可愛らしい。

「今夜は、ぼくといっしょに遊ぼう。でもって、……まだはっきりしたことは言えない、空太と恋人になってくれるかどうかはわからないけど、空太といっしょにちんちん気持ちよくなる相手になってくれそうな人を、ひょっとしたら紹介できるかもしれない」

「え……?」

 顔を上げた空太の額に、諭良はためらいなくキスをして、冷たいその手を取って立ち上がらせる。

「おいで」

 手を引いて導いたのは、風がない分だけ過ごしやすいが底冷えするトイレだ。諭良が空太のペニスを咥えたのは、まさしくその場所だ。

「ゆ、諭良くん……」

 便器の前に立って、諭良はジーンズとブリーフを下ろし、下半身を露出した。空太は諭良のどこを見たらいいのかわからないような表情になり、視線を泳がせた。空太の目には諭良の顔も臀部も、勃起したペニスも、全てが魅力的に思えるのだろう。

「ぼくのちんちんに触ってみる?」

 空太にはまだ、ほとんどその経験はないはずだ。しかしそれだけに、前回からこの夜まで募ったものが空太の中にはある。

「いいんだよ? ……触ってみたかったんでしょ? 男子の、ちんちん」

 諭良が微笑んで言うと、空太はごくっと唾を飲み、……諭良の横にしゃがみ、恐る恐るその陰茎に手を伸ばした。

「……ふふ、空太の手、冷たいね。ぼくのちんちんは熱いでしょ」

「は、……い」

「ぼくのちんちんであっためるといいよ、いっぱい触って……」

 同性愛に目覚めた少年は諭良に許されるままに、その茎に両手を回す。諭良が彼の正面に向き直ると、陰嚢まで含めて撫ぜ回し始めた。

 ずっと口が空きっぱなしなのが、諭良にはずいぶん初々しく、可愛らしく映る。

「どう? ぼくのちんちん触ってみて……。感想聴かせて欲しいな」

 空太は諭良が言っても、その陰茎から目を離せない。それでも、

「諭良くんの、……ちんちん、……おれのより、でかくって、……あつくって、……かたい、です。……あと、……あの、しっこ、の、におい……」

 言う。その吐息が諭良のペニスをくすぐった。

「空太はしっこの臭いは嫌い?」

 頷くことも、首を振ることも空太は出来なかった。そのこと自体が、「嫌いじゃない」ことの証明になってしまうことを諭良は知っている。……だって、「嫌い」と思ったらただ頷けばいいだけのこと。しかし「好き」と言えないのは、少年がそれを好んでいることを罪だと思うからだ。

「……ぼくは、好きだよ。ちんちんの臭いも、しっこの臭いも……。空太のパンツ、後でぼくに嗅がせて」

 諭良は腰を引き、自分の指で皮を手前に引っ張る。……溢れ出すように腺液が糸を引いて二人の間に垂れ落ちた。

「ああ……っ」

  空太が震える。「す、すごい……っ、諭良くんのちんちん……、すっごい……、濡れてる……」

「嗅いでごらん……、臭いけど、男の、ちんちんの臭いだよ」

 震える吐息を漏らしながら、空太はそれでも恐る恐る顔を近づける。……刺激的な臭いを覚えたのだろう、一度「うはっ」と声を上げたが、顔は離さない。鼻をひくひくさせながら、その臭いを記憶しようとしているかのようだ。

「空太はまだ四年生だからこんなに濡れないかな……、ぼくのちんちんがどんな味が知りたいなら、舐めてもいいよ」

「え……?」

「しっこ臭いし、汚いからイヤかな。……でもぼく、空太にちんちんしゃぶってもらえたら嬉しいな」

 空太の望みを、自分の願いにすり替えて諭良は求めた。空太の開けっ放しの口が、そろそろと近付く。ためらいを振り切るように、……ぱくん、その口に諭良のペニスが収められた。

「しょっぱい?」

「んんっ……」

「……そのしょっぱいのが、ちんちんの味だよ……。ぼくはちんちんの味が好き……、恋人のちんちんをね、しゃぶって、……しょっぱい、感じると、ぼくも、すごく興奮するんだ……、ねえ空太、咥えるだけじゃなくて、舌使って、……舐めて。いっぱい舐めて、ぼくのちんちん、空太のお口の中で射精させてよ……」

 諭良は求めるばかり。

 そして空太は、それに応えるばかりだ。しかし空太の欲を満たすためには、今はそれでも十分すぎる。

 空太は積極的に諭良のペニスを味わい始めた。

 まだやり方は拙い。それでも、

「ん、ふふ……、空太、きもちぃよ……、ちんちん、すごく気持ちいい……」

 諭良は確かな快感を覚える。きっと年上の恋人も、諭良の技術以上に一生懸命さに感銘を受けているのだろう……、空太の夢中なフェラチオを受けてどんどんと射精へ追い詰められながら、そんなことを諭良は思った。

「あ……っ、ちんちん……、ちんちんいきそうっ、空太っ、ちんちんいくよ、いくよっ、空太ちんちんいくっちんちん……っ、いっ、……ぅ、くっうぅぅっ」

 快感が爆ぜた。

 空太の、まだ精液の味を知らないはずの口へと放つと同時にこみ上げる、罪の感覚。場合によっては先程のように露出しながらオナニーで達するよりも強い波。

 つまりは、……諭良のとても好きな類の感触である。

「……空太……、いい子だね……、気持ちよかった……」

 諭良は兄のような気持ちで空太の髪をクシュクシュと撫ぜる。空太は口を尖らせて、その中に出されたものをどうしたらいいか、……その判断を求めるように諭良を涙目で見上げる。

 しかし、

「……おいしくない? まだちょっと空太には早かったかな……?」

 自分がそう問えば、無理矢理にでも空太が飲み込んでくれるであろうことは、諭良にも察しがついていた。

「んぐ……っ、……んへぇ……」

「おりこうさん。本当に空太はいい子。きっと素敵な恋人を紹介してあげるからね」

 諭良は空太の手を取り立ち上がらせ、愛情を込めて両手で抱き締める。空太はおずおずと諭良の背中に手を回し、……やがて、男同士で抱擁し合うことに満足を得るように、しっかりと抱き付いた。

「……あの……、諭良くんは……」

「ん?」

「……諭良くんは、いっつも、あの、さっきみたく、外でああいうこと、……して、るん、すか……?」

 さっきみたく、……露出のことだ。

「気持ちいいからね。……今日は君に見付かっちゃったけど、いっそ見付かってもいい気持ちでいた。むしろ、見付かりたいって思ってたかな。……空太もやってみる?」

 さすがにこの問いには空太もブルブルと首を振った。

「そう? ……まあ、だんだん色々出来るようになって行けばいいだろうね」

 小さな身体を一度しっかり抱きしめて、「じゃあ、今度はぼくが空太を気持ちよくしてあげる番だよ。……空太がここじゃ恥ずかしいなら、そっち行こうか」

 そっち、は空太の極小サイズの幼茎が、諭良の唇と舌によって初めて射精の悦びを知らされることとなった個室だ。緊張した顔で空太はこくっと頷き、まだズボンを上げもしない諭良に素直に従う。

「空太のパンツ見せて。……今日も真っ黄色なのかな」

「そ、それは……」

 空太の下着は黄色い。諭良たちと同じくブリーフ派で、幼くもよく引きしまった身体つきには当たり前のようによく似合うのだが、その股間は異常なほどに汚れていることを諭良は知っていた。……失禁するからではない。昴星は「よく振らねーでしまってんだろ」と推論していたが、それのみではなくて、空太はそうやって汚してしまった下着を家族に見られることを恥じて隠し持ち、枚数が足りなくなった時に仕方なく穿くのだそうだ。

 つまり、繰り返し付けられた汚れは昴星が無意識のうちに汚すものとは比べ物にならないほど濃密に塗り重ねられたものだ。

「平気だよ、笑ったりしない。ぼくは空太のみたいなしっこ臭いパンツ大好きだから……」

 和式便器に跨って立たせ、ハーフパンツを引き下ろす。空太の手は一度それを止めようと宙を掻いたが、それだけだった。あっさりと膝まで落ち、代わりに前に少年自身の手のひらほどの大きさの黄ばみが付いたブリーフな露わになる。

「ああ……、すっごい……、何回ぐらい穿いたの?」

 空太は真っ赤になって「さ、……三回、です」ぼそぼそと答える。

「三回でこんなに汚しちゃうんだ……、これじゃあ学校じゃ見せられないね」

 諭良は屈み込んで、その黄ばみの中心に鼻を押し付ける。

「おお……」

 ただ尿が乾いただけの臭いではない。穿き続けられたことでしか生じない汗や垢の臭いまでもが深く染み付いている。ありていに言えば臭いの一言だが、諭良は再び激しい興奮を覚えずにはいられなかった。

「空太の……、家には、こういうパンツが何枚ぐらいあるの?」

 小さな声で「五枚」と答える。となるとかなりの頻度でこのような下着に出番が回ってくることになるだろう。

「……ぼくはこういうパンツが好きだけど、あんまりしょっちゅう穿くのはやめておいた方がいいだろうね、ちんちんによくないよ。……そうだ、今度空太に新しいパンツを買ってあげる。でもってしっこのときには慌てないで最後まで出し切って、ちゃんとちんちんも振って、あんまりパンツ汚さないようにしようね?」

「は、はい……」

「うん。……空太のばっかり見ちゃ悪いね、ぼくも見せなきゃ平等じゃない」

 一度立ち上がり、中途半端なところに引っかかっていたズボンとブリーフを足から抜き、

「これ、ぼくのパンツだよ」

 広げて、空太に手渡す。

「諭良くんの……」

「ぼくのも少し黄色いね。……あと、恥ずかしいけど後ろのところもちょっと汚れちゃってる……。こっちは気を付けてるつもりなんだけどな」

 後ろ、つまり肛門の当たる部分には引っ掻いたような茶色い汚れが付着している。……ブリーフを穿く男子として、前は構造上仕方ないと片付けられるにせよ、後ろは気を付ければどうにか出来るゆえに、こうして見せることにはシンプルな恥ずかしさが伴う。もっとも、それにしたって諭良には心地よいものであるが。

「嗅いでもいいよ。……ぼくのパンツの、しっこの臭い」

「あ……、う、……はい……」

 先ほどペニスを直接嗅いだときよりも抵抗感がないらしい。空太は広げた黄ばみを裏返し、手を当てて鼻を近づける。

「あ……」

「ぼくも、空太の嗅ぐ。……こういうの、ドキドキするでしょ? 男の子同士で恥ずかしいところ見せっこして……、すごいエッチだと思うよね……」

 空太は諭良のブリーフの臭いに夢中になってい様子だ。それが「臭い」ものであると認識しながらも、それが「エッチ」なものだと判ってしまった時点でそれに拘らなければならないと信じているようだ。

そうやって嗅いでいる空太自身のブリーフも、……改めて嗅いでみるにそれもまた刺激的な臭いである。その奥から、じんわりと空太の小さなペニスがひくん、ひくん、この異常な状況に興奮してしまっていることもまた、伝わってくるのがいとおしい。

「空太は……、オナニー、した? あれから」

「オナ……、まだ……」

「そうなの? ……この間のしてから一度も射精してないんだ?」

 自信なさげにこくんと頷く。どうして? と訊けば、

「だって、……おれんとこ、ねえちゃんと弟がいて、おれ、弟と同じ部屋で、……だから」

「そうなんだ……、兄弟いたんだね」

 諭良は一人っ子である。昴星も才斗も流斗もそうだし、確か由利香もそうだったはず。それぞれ家庭の事情も手伝って、それぞれ独自に性機能と性嗜好を発展させてきた。しかしそれを考えてみるに、兄弟がいるということはなかなか厄介な話だろう。空太が真っ当に成長して「オナニー」をするようになったとき、はたしてどうするのだろうという想像は諭良には難しかった。

「じゃあ、溜まってるよね。……ちんちん見てもいい?」

「は……、い……」

 諭良はいくらだってこのブリーフの臭いを愉しめるだろう。しかし自分の愉しみばかりに時間を割いていてはいけない。

「空太のちんちんにいっぱいキスしてあげる」

 ブリーフの窓を開いて、引っ張り出したペニスは勃起している、……しては、いる。

 しかし、哀れささえ感じさせるほどか細く小さい。昴星だってこの子の前でならば少しばかり自信を取り戻せるだろう……、そんなことを諭良は考えてしまった。もちろんすぐに、そういう悪い考えは捨てたけれど。だって、そこがマイナス方面に特徴的なのは昴星や空太だけではない、諭良自身だってそうであって、ノーマルなのは流斗だけだ。

 コリコリと硬くなって、空太のペニスは上を向き、うっすら湿っぽい尿の臭いを纏わせながら震えている。陰嚢も小さめに見えるが、皺を寄せてすくみ上がっているのは何処か健気である。

 指で、……ふるん、ふるん、硬い茎を幾度か弾いてから、

「あっ……!」

 諭良はそこにキスをした。「キス」と呼ぶにはずいぶん深く、大人びたものだけれど。

「ん……、空太のちんちん、おいしいね……。しっこの、すごい、しょっぱい味と、……中から臭いが溢れてくるみたいだ……」

 臭いの強さで言えば、昴星にも匹敵する。吸い込んだだけで鼻の奥で破裂するような昴星の、いっそ暴力的な臭いと渡り合えるのだから、この子は相当のものだ。

「でも、今夜からはちゃんと洗おうね……、ぼくや、誰かと遊ぶときにはこれぐらい汚れたパンツでもいいけど……」

「は、はい……、いっ」

 鼻先に震えているところを見せられるだけでたまらなくなってしまう、品がない……、とは自覚しながらも、諭良はまたしゃぶりついた。小さくとも雄の熱を尿臭と共に籠らせた少年の引き金を、早く引いてやりたい。そんな衝動の赴くままに、指を添えて皮を剥く。諭良自身よりもそれはすんなり上手く行く、諭良も昴星も流斗も真性包茎ではあるが、さらに幼く慣れていない様子の亀頭は薄く垢づいて濡れていた。臭いは更に強くなる。

「はあ……、すごい……、すごい臭い、すごい臭い……、空太の……、精液飲ませてね、しっこも、……臭くて汚いの、ちんちんからいっぱい、全部出していいんだからね……」

 それは切望でさえあった。……昴星の「ちんちんからいっぱい、全部」出してもらったことがある。それを顔に身体に浴びたとき、諭良は自分が便器になったような心持ちで、それが至福であるとも思ったほどだ。同じほどに臭い空太から同じものを求めてしまうのは当然である。

「ひあっ、ゆ、ゆらくっ、ひっ、ひゃあっ、ち、ちんちん……っ、ちんっ、ひんっ、ひゅごぉっ、おっ、お、お!」

 既にずいぶん極まっていたのだろう。呆気ないほど簡単に諭良の口の中で空太はペニスを震わせた。長らくその陰嚢の中に溜め込まれ、放出されることを待ちわびていた精液は、期待通りに期待以上に味も臭いも濃いもので、……呑み込むなり鼻の奥へ臭いがグンと押し上がってくるかのようだ。

 まだ二回目の射精を経験したばかりの空太である。ひとまずはねぎらって、抱擁の一つでもしてあげるべきだと頭では判っているが、まだ口の中で、これだけ舐め回してもなお臭いを消さない陰茎が、諭良にはどう考えたっていとおしかった、理性的な思考を止めさせるには十分過ぎる力があった。

 だから、

 「や、やっ、やあっ、ひゅらきゅ、っ、ひんっ、ちんちんがっ、ちんちんっ、ダメっ、だめぇっ」

 射精直後のペニスを情熱赴くままに舐めてやったら、精液とも腺液とも違う液体が口の中で破裂した。塩味の濃い、……きっと濃く美しい金色をした、空太の尿が迸る。諭良は呼吸さえ止めて一気にそれを飲み下しながら、右手を自分のペニスに添えて動かし始めていた。

「あはぁ……」

 まだ尿は出続けている。諭良はすぐに立ち上がり、自分の性器にその噴水をあてがう。温かくて汚い感触が、たまらなく嬉しい。

「空太、……空太は、本当に可愛いね、精液すごく濃くってっ、しっこも、すごい美味しいっ……、わかる? 空太、ねえ、ぼくっ、空太のしっこで、オナニーしてるんだよ……? 空太のしっこ、……空太のしっこで、気持ちよくなっちゃう……っ」

 空太は呆然と、漏水を続ける自分の陰茎にペニスを擦り付けつつ快感を貪る諭良を見ていた。諭良は空太の解釈が追いつかないような視線からさえ悦びを得ながら、

「んっ、んっ、ん、空太、出るよ空太っ、出るよ、出る出るっ出るっ……」

「あ……っ」

 皮先をしならせて噴き出した諭良の精液が、ようやく放尿の終わった空太のペニスに降り掛かる。二回目の射精であるから、長らく溜め込まれた末の空太のそれに比べれば遥かに薄い。それでも空太は自分の陰茎を汚した液体を見て、言葉もなく、まだ呆然としているだけだった。

「……はぁ……っ、はあ……、気持ち、よかった……、ふふ……っ、ふふ、……ごめんね、空太のちんちんに、射精しちゃった……、ぼくのほうがお兄さんなのに、空太よりも全然、ガマンできなかった……。きれいにしてあげなきゃね……」

「あ、あのっ……」

 便器を跨ぎ、排便するような姿勢で再び空太のペニスに顔を近づけた諭良に空太は慌てて腰を引く。「じ、自分で、やります。あの、おれ……、しっこ……、しちゃったし……」

「綺麗」と「汚い」の認識が、まだ諭良と空太との間では隔たっているようだ。この場合、……おかしいのはぼくだ、という理解は当然ながら諭良だって持っている。しかし、空太がもしこれからもこうして遊ぶことを望むのならば、……空太にこちらへ来てもらわなければならない。

 とにかく空太の下半身を拭き清めてやったところで、「ああ、もうこんな時間なんだ……」諭良はスマートフォンを見て、溜息を吐く。もっとも、当初は一人遊びのつもりで出て来たに過ぎない。空太と会ってこうして遊ぶことなど予定に含めていなかった。

「空太、明日プール終わったあと、また遊ぼうか」

 諭良は空太に元通り、汚れたブリーフを穿かせて言う。もう諭良は、この臭い下着が欲しくてたまらなくなっている。……が、今日持ち帰ってはこの子はノーパンで帰らなければならなくなり、それこそ問題だろう。

「明日、……空太のパンツとぼくが買ってくる新品のパンツを交換しよう。……サイズは……、130だね。じゃあ、プールでみんなに見つからないように……、五時半にこのトイレで大丈夫?」

 こく、と素直に空太は頷く。諭良は優しい手のひらでその短い髪を撫ぜて、「気を付けて帰ってね」と少年を解放した。

 解放と言っても……、その手のひらの中に大事な部分は収めたままだが。

 

 

 

 

 空太の姿は学校でも水泳教室でも、自然と諭良の視線を吸い寄せた。その一方で、離れたところから空太も自分に視線を向けているようだった。

「今夜、いっしょにお兄さんのところに行かない?」と誘ったら、昴星は二つ返事でそれを了承した。空太をきっちりと捕獲しつつも、恋人と過ごす時間だって大事にしたいと諭良は思う。

 午後五時半、まっすぐ向かった城址公園のトイレには、ほぼ同じ時間にプールを出たはずなのに空太はもう待っていた。よほどこの時間を楽しみにしていたものと見える。今日はデニムの七部丈に、昨日と同じく風をきっちりとシャットするウインドブレーカーという取り合わせ。水着の入っているビニールバッグは諭良とお揃いのものだ。

「お待たせ」

 にっこり微笑んで言うと、空太はまだ緊張の解けない表情でこくんと頷く。

「パンツは持ってきた?」

「はい、……あの、……これです」

 バッグの中、一番底から空太が引っ張り出すのは、昨日穿いていたものの他に四枚。「これで全部?」と訊くと、恥ずかしそうにこくんと頷く。

「じゃあ、……これだけは、まだ空太に持っていて欲しい」

 まさに昨日の夜、この少年が穿いていたものを一目で選んで諭良は摘み上げた。「後は全部新しいのと交換。いい?」

 釈然としない表情ではあったが空太は頷いた。

 その汚れた下着は、少年自身の魅力を一層引き立たせるドレスのようなものだ。……恋人と出会い、その身を捧げる時にはぜひとも最高に芳しくあるべきである。

「大切にとっておくんだよ。……じゃあ、空太、ちょっとお散歩しようか……、ここだと昨日と変わらないし、空太だって色々したいだろうからさ」

 空太の四枚の下着をしまって、おいで、と手を引く。空太は恥ずかしそうに、それでもその手に委ねて、素直についてくるのだ。

 向かう先は、陽は暮れ落ちてすでに暗い林道の、木組の階段を逸れて茂みに分け入った先。以前、昴星たちに連れてきてもらったことがある「秘密基地」だ。茂みの中にあってぽっかりと余白、しかし周囲の視界はまず届かない、遊ぶには格好の場所である。

「あの、……おれ、知りたいこと、あるんですけど……」

 その場所に着くなり、空太は遠慮がちに切り出した。

「……諭良くん、……夕べ、外でちんちん出して、……あれ、あの、見つかったら……、どうするんですか」

「見つかったら? さあ……、どうなるんだろうね。とっても面白いことになると思ってるけど」

 悠然と微笑み、「空太もやってみる?」とイタズラを仕掛ければ、空太は慌ててぶんぶんと首を振る。

「そう? でも、『恋人』を喜ばせてあげるためには、それぐらい平気で出来るようにならなきゃね。……まあ、今日はここでいいよ、いっしょに裸になってみようか」

 先輩というか、先生のような立場で諭良は言い、さっさとコートを足元に落とし、セーターとシャツを脱ぎ、ジーンズも脱ぎ、ブリーフ一枚になる。それを見て、追いつくように空太も従った。

 空太は今日も白いブリーフである。

 諭良も、きっと空太はそういうものを穿いて来るはずだと思って、「お揃い」になるように白を選んできた。そのことに、空太はきっと更衣室で気付いたはずだ。空太はシミを見られないようにときっちり腰にタオルを巻いていた。

「ぼくらのパンツ、そっくりだね。……でも、やっぱり空太の方が汚れてるかな?」

 冬の夕暮れの屋外で裸になっているのに、諭良はもちろんのこととして空太もさほど寒さを感じてはいない様子である。この事態に際して、熱は放っておくだけで幾らでも生まれてくる、増幅する。

「ゆ、諭良くんのも……」

「うん、……お揃いだったらいいなと思って、ちょっとしっかり目に汚して来たんだ。……本当は夕べから穿いてたのがよかったんだけど、オネショしちゃったから」

「オネショ……」

「うん。……空太はオネショしない?」

 こく、と小さく頷いて、「ほとんど……」と答える。たまにはするのだろう。

「空太も、もっと色々してみればいいのに。……ぼくたちは、男の子なんだよ?」

 空太のシミの中心部を、つんと指で押した。心許ないような触り心地である。

「せっかくちんちんが付いてるんだから、ちんちんで出来ること、いっぱいしなきゃもったいないって思わない? ……いや、違うか。そう思うから夕べぼくに声をかけてきたんだね。男同士でちんちんいっぱい気持ち良くなること、ぼくに教わりたくて」

 空太は答えを出せない。まだこの先に何があるかを、この無垢な少年は何も知らないのだ。

「ぼくは昔は、……あの学校に転校してくるまで友達がいなくて、一人の時間が人より多かったから、……教えてくれる人ももちろんいなかったしね。だから自分で考えていろいろやったよ。それこそ、昨日みたいに外でちんちん出して、しっこして……。オモラシまでするようになったのは最近だけどね。でも、ハマっちゃった。パンツがしっこであったかくなるの、気持ちいいって今は思うし、しないまま射精するのはつまらないくらい。……夕べはだから、ちょっと物足りなかったよ。まあ、時間も限られてたからしょうがないけどね」

 それでも、家に帰ってから一度したのだ。

 もちろん、今日だってこれからするつもりでいる。

 空太と、二人で。

「空太、……オモラシしてみようよ」

「え……」

「オモラシしても、替えのパンツはぼくが持ってるし、タオルもぼくのを使っていいよ」

 空太は明らかに戸惑っていた。その表情から、ひょっとして本当に「たまに」しかオネショはしないのかなと諭良は考え直す。諭良や昴星の場合、頻繁に自分の下着を尿で汚しているからこそ、失禁することにも自発的なものであれば抵抗が少ない。一方でそういう習慣のない子供ならば、大概は強い抵抗を抱くはずだろう。

 流斗のような例外は除くとして。

「それとも、したくない? ……してるところ見せてくれたら、空太のちんちんにご褒美あげようと思ってたんだけど」

「ご、ほうび……?」

「うん。新しいパンツ、それから、昨日みたいに口でしてあげる。……いらないかな」

 諭良は意地悪を自覚的に言った。

「で、でも、……ちゃんとできるか、わかんない……」

「そう? ぼくが先にして見せてあげようか。……難しいことなんて考えなくていいんだ。ただお尻から力を抜いて、……トイレでしてるところをイメージしながら、ゆっくり……」

 言いながら、諭良は自分で言葉にした通りのことを身体で実践して見せる。

  尿道が尿によって押し広げられたと思う次の瞬間には、ブリーフの前にじわりと黄色い濡れじみが浮かび上がる。それを見て、

「ゆら、くんっ……」

 空太が声を上げた。

「ほら……、もう出てきた。簡単だよ……? それに、……あったかくて気持ちいい……、しっこって、……人の温度って、こんなにあったかくって気持ちいいんだ……、ふふ、湯気立ってるね……、パンツ、どんどん黄色くなってる……、これぜんぶぼくのしっこ……」

 空太の目には諭良のブリーフがどんどんと濡れて行く様と、同時にそのペニスが勃起していくところも見えているだろう。……以前は確か、出し切るまでは柔らかいままでいられた記憶があるが、今ではもうだめだ。ことによっては出し始める前から感触を想像するだけで勃起してしまう。そういう身体に、諭良はなっていた。

 じじじ、と股下から垂れる尿が足元に落ちる。その場所から、唇から、熱を帯びた白いものがたなびく。

それでもまだ、空太のペニスは染み付きのブリーフの中で縮こまったままのようだ。

 結局それは、諭良がため息とともに最後まで出し切っても変わらなかった。

「……空太は、オモラシ嫌い?」

 空太は黙ったまま真っ赤になっている。

「ちんちん気持ちよくなるってわかってても、出来ない?」

 まだ、無言だ。

 ……それでも、

「うん、……いい子。空太はいい子だね……」

 ギュッと量の拳を固めた空太のブリーフの中から、微かな音が鳴り始めた。諭良は屈んで、失禁する少年のブリーフに鼻の頭を当てる。ペニスが小さいせいで余裕のある前部にぶつかって濡れ広がるその液が溢れ出し、諭良の高い鼻を濡らした。あたたかさに頬が綻ぶ。

「何も難しいことなんてないよ、……オモラシしたら、ちんちんが気持ちよくなる、いっばい幸せになれる……、オモラシは空太のちんちんにとって、すごく嬉しいことなんだよ……? 空太がオモラシすればするほど、幸せが出来るんだ……、ぼくは空太のしっこ大好きだよ」

 まだ出している最中だが、やはり昨日と同じくその臭いに夢中になってしまった。大きく口を開けてブリーフの上から吸い上げる。「ひゃっ……」可愛らしい声を小さく上げて、一瞬尿が止まる。しかし諭良が構わずにぐっしょり濡れた布の上から舌を動かし噛むように包み込むと、ブルブルっと震えて勢い良く失禁が再開された。

「う……う、うはぁ……あ……」

 諭良のように放尿の途上でそこが反応するということはまだないようだ。吐息もまだ、溜まりに溜まった尿を解放できることを悦んでいるばかりのものであろう。しかし、まずはそのステップを踏むことが大事なのだと諭良は思う。それを身体が理解したなら、その次のステップに進むことだって難しくはない。

 口の中へのせせらぎが、勢いを失った。

「全部出た……?」

 涙目で、空太がこくっと頷く。

「うん、……いい子だね、ちんちん、ご褒美あげようね。でもその前に、パンツ脱いで」

 口元を手の甲で拭い、ペロリと舐める。やはり空太はかなり美味しい尿をする……。一番美味しいのは才斗で、二番目は「お兄さん」と思うけれど、この子の濃くありながら澄んだ味のものもなかなかに魅力的だ。空太が脱ぐ間、諭良は口の中の残り香で少し、右手を動かす。

「ぬぎ、ました……」

 恥ずかしそうにブリーフをつまんで広げて見せる。それに顔をうずめたいような気持ちにさせられる。空太の陰茎は「ご褒美」への期待を抱きながらも、恥ずかしさの方がずっと強いようで縮こまっていた。

「じゃあ……、そのまま少し、広げたままでいてね。ちょっとでもそれで乾けばいいと思うから……」

 諭良はかがんだまま、空太のペニスに再び顔を近付けた。指で弾いて、ふるっと小さく震えるペニスは非常に愛らしい。諭良は年上の恋人が特に好きなその「ふるふる」を見て、食欲を強くそそられる。

「空太、……自分でちんちん揺らして見せて」

「え、……えっ?」

「自分でさ、腰を動かして、ちんちんがプルプルするところ見せて。そういうところを見るのが好きな人は多いよ? プルプルするものは、男の子にしか付いてないんだもの。……きっと、君の恋人も君のちんちんがプルプルしてるの見たら、君に夢中になるはずだよ……」

 そこまで言ったところで、ブリーフをつまみ広げたまま空太が腰を揺すり始めた。その腰と連動してか細く短い茎がぷるんぷるんと揺れる。お兄さんもきっと喜ぶだろう……。

「そしたら、……見てもらうときの練習をしよう。言ってごらん、『ちんちん見てください、しっこ漏らしたちんちん見てください』って」

「そっ、そんな、の……っ」

「恥ずかしいの? でも空太は恋人と恥ずかしくて、その分すごく気持ちいいことをいっぱいしたいんじゃないの? だったら、ちゃんとお願い出来るようにならないと」

 そんなこともない、「お兄さん」はどちらかといえば気が優しい人ではあるけれど、「お願い」なんてしなくても「して」と頼めば諭良のして欲しいことは何でもしてくれる。空太の願いもたくさん叶えてあげることだろう。

 でも、何をするにしても「恥」を超えられなければ話にならない。

「ほら、……空太?」

「う……」

「言って。……ご褒美欲しいんでしょ?」

 空太は小さな耳まで紅く染めて、

「ちん……、ちんちん、ちんちんっ、見てくださ、っ……、お、しっこ、……しっこ、……もらした、ちんちんっ、見てくださいっ……」

 まだその動き自体も慣れていないが、それだけに懸命に、健気に、腰を振る。先端から残尿の雫が散った。

「もっと、お願いして。ちんちんしゃぶって欲しいんでしょ?」

「お、おねがいっ、しますっ、お、おれの、オモラシちんちんっ、オモラシちんちんしゃぶってくださいっいっひゃあっ」

 揺れるそれを口で捉える。新鮮な尿の味にとろけそうになった心を叱咤して一度口を外し、「気持ちいいときにはちゃんと気持ちいいって言うんだよ? それが相手に対してのマナーだから」と指導を加えてから、改めて口に含んだ。

 空太は諭良の舌に応じてぞくぞくと身体に震えを走らせる。

「ん、きっ、気持ちいい、ですっ……、ちんちん、きもちいい……っ」

「どんなちんちんだっけ?」

「お、……もら、し、した、ちんっんひっ、オモラシっ、オモラシした、ちんちんっ、しっこの、ちんちんっ、ひもちぃっ、れすっ」

「そう、ちゃんと言わなきゃ相手に伝わらない。でもって、空太も確認できるよね、オモラシしたからちんちん気持ちよくなれる、オモラシしたからしっこの味のちんちんになって美味しくなって、こんな風に舐めてもらえるんだよ……」

「お、おはっ……あっ、ちんちんっ、おれのぉおひっこのちんちんっ、ひっ、ひ、もちっ、いっ、ちんたんにゅるにゅるひゅるのぉっひもひぃっ、お、おっも、っもおっ、お、おほぉ、お! お、お……っ!」

 諭良には空太が自分に似て行くのが嬉しくて仕方が無いことに思えた。快楽に溺れ、どこまでも浅ましく堕ちて行く。可愛くて可憐な生き物に、空太がなって行く。

 他ならぬ、諭良自身の教育によって。

 零された精液は、昨晩のものに比べればずいぶん味が薄く、量も少なくなっていた。その小さな陰嚢に備わる精液の生産能力を考えれば仕方が無いことかも知れない。

「よくできました」

 諭良は立ち上がって空太の手から失禁ブリーフを受け取り手近な枝に引っ掛けてから、改めて抱きしめた。

「いっぱい、いっぱい言えたね。……空太、すごく可愛かったよ。男の子なんだから、恥ずかしがってちゃダメだ。自分の欲しいものはちゃんと『欲しい』って、はっきり言うんだよ?」

 空太は恥ずかしい言葉を放尿のような勢いで口走ってしまった自分に震えている。諭良はゆっくり時間をかけて、少年の中にその理解を浸透させて行くつもりである。

「次は、何をしたい? 言ってごらん……」

 空太は、黙っていた。「ん?」そっと、その口元に耳を寄せる。

「……す、したい、です……」

「ん?」

「キス……、したいですっ、諭良くんとっ……、諭良くんのっ、ちんちんにもっ……」

 泣き出しそうな声を張り上げて、空太は言った。諭良は微笑んで、すぐに応じた。少年の口の中を蹂躙するように、舌を差し入れて、歯列の裏、奥まで……。空太は鼻から息を漏らし目を見張り、諭良の舌に呼応するように腰をひくつかせる。こんな風に感じてくれると、キスをする方としても喜ばしい。きっと「お兄さん」もそうだろうと、諭良は想像する。

「空太、ぼくのちんちんにもキスして。……ほら、もうこんなに勃起してるよ? 空太の前でしっこ漏らして、まだ濡れて、……空太にいっぱいキスしてもらえるのが楽しみで、こんなに」

 その手を導き、触れさせる。不慣れな手はそれでも興味に負けたように、尿臭を放つ諭良のペニスに絡み、しっかりと握った。

「ぼくもうちょっとしっこ出そう。……見たい? ぼくのしっこするところと、……うんち出るところ。ぼくのしっこ、きのうぼくがしてもらったみたいに、空太のちんちんにかけてもいい?」

 他人の尿を身体に浴びるという行為、……諭良には悦びにしかならないことも、まだ空太には早すぎるだろうか? 試すように訊いたが、案外にあっさり、意志をこめて空太は頷いた。

「じゃあ、いっしょにしゃがんで」

 スニーカーとソックスだけの格好で、足を広げ、向かい合って屈む。空太の尻の下には空太の失禁によって出来た水溜りがあり、諭良の尻の下には諭良が出したものが染み込んでいる。

「う、……んこ、諭良くん、……出せる、ん、……すか?」

「……それは、したいかどうかって話? それとも、こういうところでってこと?」

 空太は二度頷いた。両方ということだろう。

「出せるよ。したいから、出せる。……正直、場所は関係ないと思うよ。ズボンとパンツを脱いで、したいときにしたいところでするだけ」

 諭良は平然と答える。だが空太は二つ挙げた後者の説明には、恐らく納得は出来ないはずだろうとは思っていた。

 が、空太が納得しなかったのは、もうひとつの理由だったようだ。

「うん、こは、……パンツを、脱いでする、……んですか?」

「うん、うんちはパンツを脱いでするよ。……空太は穿いたままするの?」

 ぶるぶるっと首を振った。

「うんちは、しっこよりも汚いからね。……そもそもさっきの、オモラシのパンツも含めてだけど、どうするかわかる?」

 わからないだろう。だってまだ、オナニーだって一人でしたことのない、無垢な空太である。

「大切に取って置いて、一人でちんちんいじりたいときに嗅ぐんだ。……今夜ぼくは空太にもらったあのパンツでオナニーする予定だよ、一回……、いや、二回は出来るかな」

 ふふ、と諭良は微笑む。空太にどう見えているかは不明であるが、恐らく「オナニー」を想像して、恥ずかしくなったものと思われる。

「お、れの、……あの、……もら、したパンツで……」

「そうだよ、空太のしっこの臭いをいっぱい嗅いで、ちんちん握って、……そうだ、たくさんもらったからどれか穿いてみてもいいかもしれないね。窮屈だと思うけど、空太のパンツの中で射精したら、すごく気持ちいいだろうし」

 そうするかどうかはまだわからない。下着の中で射精したら、それは「空太の」ものではなくなってしまうから。

 空太は、また想像したようだ。諭良が、自分の汚したブリーフの中でペニスを勃起させるところを。

 空太の小さく幼い陰茎は少し前から勃起していた。しかし、より強い興奮を催したのはその震えからも明白だった。

「空太、その気持ちを忘れちゃダメだよ?」

「え……?」

「誰かが、自分で興奮するっていうこと、……それが判ったときの気持ちを。……その悦びが君のちんちんをもっと気持ちよくする。君が興奮させた人は必ず君のことを幸せにしてくれる、……そのことを、よく覚えておいて」

 幼い空太にそれが判るかどうか、諭良にはやや自信がない。しかし空太が頷いたのを見届けてまた微笑んで、

「じゃあ、ぼくはもうガマン出来ないからうんちをする。空太、ちゃんと足開いててね、ちんちんにしっこいっぱいかけてあげるから。でもってさ、……空太も、もし出来るならいっしょにうんちしてみよう?」

「小便」といい、「大便」という。その大小の差は歴然たるものがあるように、諭良は思う。例えば山中でひとり全裸露出をしていた頃も、小便をするところは詳細に撮影していたものだが、大便はといえばいつも家のトイレで済ましていた。「お兄さん」とするようになるまでそれは言わば「禁じ手」であり、避けなければいけないことと無意識のうちに思っていたし、その「お兄さん」だって諭良たちに小便の失禁はさせるけれど、大便をことさら下着に付着させようとはしない。それはやはり衛生的な問題が大きかろうけれど、それ以上、精神的に「汚いもの」だという意識が働くからだろう。

 まだ失禁だって初心者の空太は、出せないかもしれない、そう思ったが、

「んっ、……んん……!」

 まだ諭良がいきむ前から息を堪えて、顔を赤くしながらその肛門から便を押し出し始めたから、諭良は驚かされる。

 寒さで腹が冷えていたのか。……しかしその割りには、健康的なものをひり出している。真っ赤になって恥ずかしさを堪えながら、その勃起の先端から透明な噴水を発し、……それが真っ直ぐに諭良の腹に当たったのを見て、「っあ……!」と声を上げ、慌てて向きを変えようとする。

「いいよ……、そのまま、空太のしっこ、あったかくて気持ちいいから……」

 諭良は自ら腰を浮かせて空太の尿を自分の勃起にあてがう。くすぐったく温かく、臭いシャワーを浴びていると、徐々に諭良の肛門も熱くなる。

「ふっ……、ぼくも出るよ、うんち……、ぼくの、太いの、見ててね……!」

 肛門をぐいっと押し広げて、硬く太いものが顔を覗かせた。そろそろと腰を沈めながら、ペニスの向きを調整して放尿の終わった空太に照準を合わせる。

 思い通りに、空太へと諭良のシャワーはまっすぐに飛び出す。

「あ、あ……っ、すっ、……っげ、ふっと……っ!」

 尿を浴びていることさえ、そして自らも肛門からものを出しているところを晒していることさえ忘れたように、空太は諭良の肛門から垂れ落ちる物体の逞しさに驚きの声を上げていた。諭良にとって、それはことのほか嬉しく感じられる。

「ふふっ、……すごいでしょう、……ほらっ、こんなに太いの、いっぱい出してるんだよ」

 空太へのシャワーは止んでいた。足を広げたまま腰を浮かせて、目一杯に広がった肛門から太い管のごとく真っ直ぐに伸びた便を覗かせる。「ね、ぼくのうんち、ちんちんより太いでしょ」

 これだけ太いものが出せるからこそ、諭良は、そして昴星も流斗も、小さな子供の身体でありながら「お兄さん」の太い陰茎を身に収めることが出来るのだ。だからこの汚く大きなものは諭良たち少年三人にとっては誇りでさえある。ついつい、「もっと太いものを出せるようになりたい」などと考えてしまうことさえあるほどだ。

「どう、どうして、そんな……」

「空太も太いうんち出来るようになるよ。……空太のももっとよく見せて?」

 屈み直して、促す。見せられてしまったから、空太は義理堅くも応じざるを得ない。手を貸して、支えてやりながら、その小さな陰嚢の奥から諭良より遥かに控えめなサイズのものを産出する小さな穴の様子を見せた。

「うう……」

「恥ずかしい?」

「……っ、す。だ、って、こんな、うんこ……っ」

「でもぼくはいま、空太のうんち見てすっごい興奮してるよ。……あ、切れちゃったね。でもまた出て来た……、可愛いよ空太、お尻の穴ちょっと汚しちゃいながら、臭いうんちいっぱい……、あ、さっきのより太いね……、引っ込んじゃった、……ゆっくりでいいよ、力んで、……ほら出て来た出て来た、お尻の穴がね、うんちでいっぱい広がってる」

「ゆ、らく……っんっ、そん、っなの、言わないでぇ……!」

 泣きそうな声が降って来る。ペニスから力が失われそうだ。諭良はためらうことなくそこに舌を這わせた。

「っひゃ!」

 空太の顔を出しかけた便が切れて足元に転がる。

「もっと、もっと見せて。……うんちって恥ずかしいでしょ? 恥ずかしいから、気持ちいいんだ、よーく覚えて。しっこまみれのちんちんも、うんち出してるお尻の穴も、全部見せて気持ちよくなれるんだ……」

 細い腹筋がひくひくしている。一度出だしたものを止めることは出来ないだろうし、これだけの量が出せるということはそれだけ溜まっていたということでもあるだろう。空太は羞恥に震えながらも、肛門からの排便を最後まで諭良の見ている前で終えなければならなかった。

 勃起しながら。

「今のでぜんぶ?」

 息が、は、い、と答えた。諭良もゆっくりと立ち上がり、「いい子。いまの感じを忘れちゃダメだよ? これからうんちするときは、……いつもじゃなくてもいいから、今みたいにぼくに見られて、ちんちんがビンビンになっちゃったこと思い出して。恥ずかしくて、気持ちよかったことを……」

 優しい声で囁き、空太の顔中にキスをする。空太は自分のしたものの臭いを気にしながらも、腰を譲り、諭良の熱源へと自らを擦り付けるのに夢中だ。

「ふふ……、空太、またちんちんいきたくなっちゃった? うんちして興奮しちゃったんだ」

 空太はこくこくと頷く。諭良の皮の隙間から伸びた腺液の糸が二人のペニスを繋いでいる。

「空太は今日が外でうんちするの、初めてだよね?」

 ぴく、と空太が腰の動きを止めた。

「……へえ、したことあるんだ?」

「ち、ちがっ……、そのっ、……どうしても、しょうがなかったからっ……」

 少年が真っ赤になって言うには……、

「学校の帰りの会のとき……、その、うんこ、……したくなって、……それで、……でも、トイレでうんこしてんの、見られたら、バカにされるからと思って……」

 ああ、そういうことか。緊急時の。……諭良にもまあある程度理解出来ることだが、学校のトイレで「大」をすることに抵抗がある男子は多いようだ。流斗のように度胸が据わり、かつおおらかな子でなければ……。

「そ、それで……」

「外でしたんだ? ……どこでしたの?」

 恥ずかしいことを、空太はもう、諭良には隠さないことに決めたらしかった。

「体育館の……、体育倉庫の裏で、しまし、た……」

「へえ」

「だっ、だって、漏れそうで……」

 そういえば、と思い出す。

「それって、空太が四年生に上がってからのことだよね? ……ひょっとして、二学期のことじゃない?」

「そ、う、……す」

「昴星が言ってたよ。体育倉庫にうんちが落ちてたって。そうか、あれは空太のだったんだ……」

 校内では大いにセンセーショナルな出来事だったに違いない。だって、犬の糞が転がっているのとは訳が違う。人間の大便がぽとりと落ちていたというのだから……。

「バレたらどうしようって思わなかった? ああでも漏れそうだったんだっけ。……すごいね、でも、ちゃんと紙は持ってたの?」

 ふるふる、泣きそうになりながら空太は首を振る。……ひょっとして、と空太からのプレゼントを改めて見返してみる。他のものもだいたい前も後ろも汚れているが、とりわけ一枚、後部の汚れが派手なものがある。「これ?」

 空太は涙目で首肯した。

「そう。……お尻かゆくなっちゃいそうだね。でも教えてくれてありがとう。ぼくもちょっとドキドキした」

 空太の髪を撫ぜて、もう一度キスをする。改めて空太の小さな砲身に触れて、そこが熱を失っていないのを確かめてから、

「お尻、拭こうか。……空太、こっちにお尻向けて」

 当然自分で拭くのだと信じ切っていたはずの少年を驚かせる。

 「だって、他のも汚れてるよ? さっきも言ったけど、うんちはちゃんと拭かないとね」

 ポケットティッシュを抜き取り、自分の出したものの上で空太に膝を付かせる。恥ずかしそうに肩越しに振り返る少年の顔と細い腰、引き締まった臀部と、その下にたっぷりと積もった便が、トータルとしていやらしさを醸す。

「じゃあ、きれいにしてあげようね。いっぱいうんち付いてる、空太の汚いお尻」

 右手で背中を撫ぜてやりながら、ティッシュの指先をぐいとそこに押し込んだ。

「くあ!」

「力抜いて。……よーくきれいにしなきゃ、新品のパンツがまた汚れちゃうよ?」

 初めてその場所を「お兄さん」にしてもらえたときの感動を、諭良は忘れることが出来ない。それまでも「恋人」としてたくさん可愛がってもらっていたし、いじめてもくれていた人、しかしその部分で一つに繋がったとき、本当の意味で愛されたと思えた、真に「恋人」として扱ってくれているのだと信じられた。

 やがて空太も同じ気持ちを味わうことになる。そのときのことを思えば、しっかりとこの場所にも悦びを教えてあげなくてはならない。何の知識もない少年にとっては怖いことだろうという想像は当然ながら出来るから。

 繋げることが大事なのだと諭良は思う。「排便」はそれ自体、決して性的なものではないだろう。というか、シンプルに腹痛を催しているときの排便は不幸ですらある。ただ体調が良くて、「お兄さん」が見ていてくれる、しかも、太いのをして見せれば褒めてもらえて、その後にはもっと太いペニスを、……「お兄さんがぼくのうんちを見て興奮してくれた証拠」をくれるのだというところまで「繋がる」からこそ、諭良は排便に興奮するようになったのだ。この仕組みは昴星や流斗も同じはずだ。

 何も知らない空太のためには、

「あ、あっ、ゆらくんっ……」

 その場所もまた、ぼくらにとって幸せで、とてもえっちなんだってことを教えてあげるのが一番。

「空太、ちんちん気持ちよくしてもらうときはどうするんだっけ?」

 右の尻にキスをして、諭良は訊く。

「っき……、きもち、よく、なるとき……」

「うん。おさらいだよ?」

 既にティッシュは下の「山」に落とした。空太の肛門に濡らした左の指先を少しだけ挿し入れて、右手は小さな陰嚢を包む。

「い、言う、……ん、……キンタマ、キンタマ、……キンタマ諭良くんに、……諭良くんの、手、あったかい……、ですっ」

「そう、おりこうさん。……こっちは?」

 くっきり硬い茎に手を移す。

「ちんちんですっ、ちんちん……、ちんちんの、ねっこのとこっ、諭良くんの、指っ、でっ、……つままれて、……っふぇ、おっ、ち、んちんっ、諭良くんおれのちんちんくにゅくにゅしてるっ……ひもちぃ……!」

 空太はすっかり素直だ。諭良は少年がステップをもう一段登ってきたことを感じる。快楽に対しての従順さを身につけてこそ、諭良はこれまで幾多もの幸福を掴んできたのだ。

「もうひとつ、……空太、ここは?」

「んひっ」

 肛門の中に僅かに入れた指先をくんと押した。「ここ。……どう? うんち出したばっかりで少し柔らかくなってるね」

「ひ、いっ……」

  諭良だって最初から出来たわけではない。昴星だって初めは「たぶん入るだろーって才斗のちんこにまたがったら死んだ!」と言っていた。幸いにして昴星はまだ生きているけれど、やはり何の下準備もなくしてはいけない場所なのだ。

「空太は、男と女がどんな風にセックスをするか知ってる? ……そもそも『セックス』が何だかわからない?」

 空太は間違いなく戸惑っていた。セックスをしたい、と言いはしていたけれど、その内実についてはやはり、知らないのも無理はない、四年生だもの。

「セックスっていうのはね、男と女が、子供を作る行為をいうんだ。ぼくらのちんちんをね、女の人の、……この辺りにある、『おまんこ』に入れて、さっき空太が出した精液を出すと子供が出来る。空太もね、君のお父さんとお母さんがセックスをしたから産まれたんだ」

 尻の中の違和感に、空太は動けない。諭良は優しく陰茎を弄る手を止めずに言葉を繋げる。

「男同士でもセックスは出来る。女の人のおまんこの中にちんちん入れるの、すごく気持ちいいし幸せなんだけど、男同士でもそういうことは出来る。空太にもちゃんと『おまんこ』が付いてる、……ここのことだよ」

「あ、あっ、やぁ……っ」

 拒むように、空太のアヌスは諭良の指を噛んだ。宥めるようにその上、尾?骨を舐めてくすぐる。「空太は恋人とセックスがしたいんだよね? だったら、……いまはまだいいけど、ここをもっと柔らかくできるようにならなきゃいけないよ。もっと立派なうんちをできるようになって、お尻の穴を大きくして、恋人の太いちんちんを入れてもらえるようにならないとね?」

 空太は、恐らくそこまでは考えていなかった。ただお互いの、「ちんちんをしゃぶりあって気持ちよくなる」のがセックスだと、無知に基づいて解釈していたに過ぎないだろう。

「……もちろん、すぐには無理だろうと思うし、君に紹介する人は優しいから、小さな君に無理をさせてまでそれを求めたりはしないだろうね。でも、忘れないで。空太のことを好きになる人は、空太のお尻の穴にちんちんを入れたいって願ってるんだよ」

 その理解が、空太に恐ろしさを抱かせるものであってはいけない。諭良は指を抜き、立ち上がる。

「空太、ぼくのお尻拭いて」

 尻を向けて、両手で割り開く。空太は少し、戸惑った様子だ。

「お尻の穴ちゃんと見るの始めてでしょう? うんち拭いたら、もっとよく見ていいよ。ぼくのちんちんより恥ずかしい場所」

 不潔感を覚えても、諭良の言葉が空太にとってその場所の意味を定義づける。息が震えて弾んでいることも伝わって来た。ティッシュが抜き取られ、恐る恐るの指先が、そっと、肛門に触れる。

「んん、もっとだよ空太、もっとぐりぐりってして……」

「も、もっと……?」

「ん、もっと……、お尻、気持ちいいんだ……。ふふ、夢みたい、こんな風に年下の子にうんち拭かれてるの、すごく幸せだよ……」

 諭良の声に励まされたように、空太の指先に力がこもった。一枚、二枚と紙を変えつつ、力強く丹念に、拭き清められる間、諭良は自分の右手をペニスあてがうのを堪えるために左手で抑えなければならなかった。

「きれいになった? もう、紙にうんち付いてない?」

 「んあ、は、はい……」

「ありがとう。……空太」

 振り返って、反り立つペニスを見せびらかす。先端の皮余りに指を突っ込めば、皮と指との間に糸が繋がる。

 んく、と、その反応を目にした空太が唾を飲んだ。

「わかったでしょ? ぼく、お尻の穴が気持ちいいんだ。さっきよりちんちんもっとビンビンになって、ガマン汁も漏れちゃってる……。空太にも早く教えてあげたいな、お尻の気持ちよさ。……ううん、お尻だけじゃなくって、ぼくの知ってる気持ちいいこと全部、ぼくがこっちにいる間、教えてあげなくっちゃ」

「こっちに、いる間……?」

 空太がびっくりしたように目を丸くする。

「ああ……、昴星たち、言ってなかった? ぼくは卒業したら外国に行く、転校するんだ。だけど心配しないで。ぼくの恋人を、空太にちゃんと紹介して、空太の恋人になってもらう。そうしたら空太は寂しくないよ」

 そして、「お兄さん」の寂しさも半減するだろう。

 諭良は自分が一人になってしまう寂しさには耐えられるつもりだ。……だって、これまでだってずっと一人だったんだ、それで平気だったんだ。それに初めて「友達」と「恋人」を作ることが出来た、なら、これから先だって、きっとなんとかなるよ。

 むしろ諭良は、残して行く恋人や、昴星たちのことを思わないではいられない。ぼくがいなくなって、寂しい思いはして欲しくない……。

 だから、何か形として残るものがあればいい。そういう意味でも、空太は格好の存在なのだ。その上空太が望む「恋人」を贈ることも出来るわけだし。

「諭良くん、転校しちゃうの、……ですか?」

「うん。だからそれまでに、空太のことをちゃんと面倒見てあげて、一人前にしてあげなきゃね? えーと、……そうだ」

 諭良は手近な枝に引っ掛けていた脱いだコートを広げて、枯れ草の上に敷く。もちろん、さっき出したもので汚れないような場所に。

「空太はお尻に何か入れるのはまだ早い。でも、気持ちいいことしてあげる。ぼくもされて嬉しいことだから、きっと空太も嬉しいと思ってくれるはずだよ」

 コートの上にゴロンと寝そべり、「おいで。ぼくの顔をまたぐような感じで、……そう。そのまま膝をついて」招く。

「こ、こんなの、……おれ、お尻丸見えっ……」

「お尻だけじゃないよ、ちんちんも、タマタマも。空太の恥ずかしい場所全部丸見え。でもって、空太にもぼくのちんちんは丸見えだよね? つまり」

 空太の双丘に手を載せる。「ぼくらがいっしょに気持ちよくなれる格好だよ」

 くい、と空太の尻を割り開く。恥ずかしさに耐えるようにヒクヒクした、ピンク色の肛門が目の前にある。しっかりと拭いたから、……別に多少汚れていたところで気にするような諭良ではないけれど。

「ふにあ!」

 その未成熟な蕾に、舌を這わせた。

「ふふ……、びっくりした? ぼくは恋人とこうやってするの、大好きなんだ。いつも、今の空太みたいにお尻もちんちんもタマタマも全部見せびらかして、恋人のちんちんをしゃぶるんだよ。……ああでも、パンツ穿いたままのときもある。汚くて恥ずかしい、オモラシのパンツ穿いて、いっぱいいじめてもらって、気持ちよくなるんだ……」

 また、舐める。「ひうっ」肛門がその度にきゅうんと引き締まる。昴星や流斗も諭良同様、好きな刺激である。

「うんちの味はしないけど、しっこの臭いがすごいね……、空太の肛門、すごく可愛い」

「や、やだぁ……っ、うんこしたとこっ……」

「汚い? でも、ぼくのちんちん見てごらんよ」視線を言葉で、自分のペニスへ導く。「空太のうんちしたとこ舐めて、ぼくのちんちんもそんなになってるんだ。……どう? どんな風になってる? 教えてよ」

 空太の息が、諭良のペニスに絡みついた。

「ゆ、諭良くんの、ちんちん……」

「うん、ぼくのちんちん」

「諭良くんのちんちん……、ボッキ、してて、……先っぽの、とこ、濡れてて……」

「ガマン汁とか、おつゆとかって呼んでる。空太のちんちんも同じの出てる。うんちのところ舐められて恥ずかしいのに、ちんちんは嬉しくなってるんだね」

 指を当てればたちまち濡れる。諭良ほどは余っていない先をつまんでこすり合わせると、くにゅくにゅも可愛らしい触り心地だ。

「ねえ、空太、……ぼくのちんちんの皮剥いて」

「か、わ……」

「空太のまだ全然剥けないでしょ? ちんちんの皮の中、見てみたくない? ……ううん、ぼくが見て欲しいんだ、空太のうんちで、こんなに濡れてるよって、見ればすぐわかるはずだからさ」

 戸惑いながらも、空太の指は諭良の陰茎を摘まんだ。いかにも不慣れなやり方で、恐る恐る、伸びきった諭良の皮を根元に向けて引っ張り、めくって行く。「うは……っ」一度、苦しげにそんな声を上げた。

「臭い?」

「……、っん……」

「どんな風に臭い?」

「し、……しっこ、の……、すっげ、におい……、あと、わかんない、けど、なんか白い、の……」

 自分のペニスの臭さを指摘されて諭良は思わず諭良の指の中でそこを弾ませた。

「そう……、臭いんだね、……チンカスいっぱいの、オモラシちんちんだよ、しっこ臭くって恥ずかしい、ぼくの、空太のうんちで、ガマン汁いっぱい垂らしてる、ぼくの恥ずかしいちんちんだよぉ……、空太、空太、空太のお尻、もっと舐めるから、ちんちんもたくさんしこしこしてあげるから、空太もぼくのちんちん舐めて。いっしょにもっと恥ずかしくなろ、気持ちよくなろう……?」

 諭良は空太の返事を待たず、肛門に舌をねじ込む。同時に陰茎を摘まんで、音を立てて扱く。空太が「あぁんっ」と女の子みたいな声を上げた。しかし目の前の、臭くて汚いものへの魅力に抗うことは出来なかったようだ。

 諭良の陰茎を空太が口に含む。

「んぉほ……っほらたっ、ひんひん、ひもひぃ、んっ、んふぅ、空太のっ、空太のうんちのとこ舐めてへっ、えふ、ぼく、いっひゃうっ、くさいひんぽっ、空太のおくひにふぇーひらひゅっ、んっ、んへぇっ、え、うっんっ……!」

「んンッ……」

 恍惚に溺れて声を上げながら、諭良は空太の口へ精液を叩きつける。しかし、それだけでは終わらせられない。

「んふ、ん……、空太も、らして、せぇえひ……空太のちんぽの、精液、うんちのとこで出してっ」

「ん、あっ、は、はぁっ、ゆら、ゆらくんのぉっ、ひたっひたあぁ」

 空太はその場所への刺激に関しても、言葉にすることを諦めなかった。健気なほど声を上げて、

「あんっ、んっお、うんこっ、うんこれたとこ、ひたはいってる! ち……っ、ちんちんきもちぃよっちんちんいっちゃ……あはぁっ、あっ、で、れてるっ、ちんちんっ、でちゃってるぅう……!」

 諭良の胸へ腹へ、少量の精液を散らした。

 薄い胸板を、大きく膨らませて息を吸い込み、吐き出すときには「あはあぁ……」甘ったるく、声を引きずらせる。

「ふふ……、またいっちゃったね空太……、すっごく可愛かったよ、空太は普段かっこいいのに、こんな可愛くなっちゃうんだね」

「ひん」

 可愛いタマタマ、と諭良はそこに口付ける。流斗のように経験豊富ならいざ知らず、さすがにもう疲れてしまっていても無理はない。身体から降りた空太はしばし呆然としていたが、不意に身体に震えを走らせた。寒くなったのだろう。

「空太、見て」

 諭良はスマートフォンを脱いだジーンズから取り出し、画面を見せる。

「うお……」

 空太が声とともに固まる。

「これが、大人の男の人のちんちんだよ」

 ギンギンに熱を帯びて硬くなった、「お兄さん」の勃起だ。諭良が「一人のときに見ながらオナニーしたい」とねだって、恥ずかしがる彼に強いて撮らせてもらったものである。

「おとなの……、ちんちん……」

「どう思う? 大きさは、……これぐらい。ぼくらのちんちんの何倍も太くて長くって、しかも熱くて硬いんだ。精液もすごくたくさん出せるんだよ」

 頬を強張らせたままの空太の答えを待たずに諭良は言う。

「美味しいんだ、そして、とてもいい匂いがするんだ。ぼくや空太のちんちんはしっこ臭くって汚いけど、こういうちんちんはそんなことなくて……、こんな太いの、口いっぱいに入れて気持ちよくしてあげるのって、幸せだと思わない……?」

 空太は反応出来ない。それが彼の想像を超えていたのかもしれない。

「必ず、空太はこういうちんちんをしゃぶれるよ。でもって必ずそのちんちんの人は、空太の可愛いちんちんにたくさんキスをしてくれる。そういう人と会うときのために、お勉強しなきゃ、……ね? ……ああでも、もし空太がその日までに誰か好きな人と出会ったら、その人に告白してみてもぼくはいいと思う。空太が好きな人をぼくが決めるのはおかしいからさ」

 とはいえ、「恋人に空太を残す」という目的を果たすためには、当然諭良自身によって引き合わせなければなるまい。無論、空太にそんな度胸があるはずもなかったが。

「空太?」

「ふぁ、……は、はいっ」

 我に返った空太は、画面に自分たちの顔が映っていることに気付く。

「ぼくと空太……、いっしょにすっぽんぽん」

 顔を、身体を、そして……、それぞれに異なる特徴を持ったそれぞれの陰茎を撮影して、

 「今日の記念に、ぼくに頂戴。……大丈夫、誰かに見せたりはしないし、……それとも見せた方がいい?」

 冗談だよ、と短い髪をなぜて立ち上がらせる。諭良にはこの後に予定があったし、空太もこれ以上遅くなっては親が心配するだろう。諭良のタオルで下半身を よく拭き、最後に「また学校でね」抱き締めて、キスをしてから解放した。空太はぼうっとした顔でふらふら帰って行く。昨日もそうだっただろう、きっとあの子は、今夜もあまり眠れない……。

 ぼくだって、あんまり寝る気もないけど。

 小さく笑って、二人分の便を振り返る。

 まだまだぼくは出せるもの、しっこも、うんちも、……精液だって、まだまだ出し足りないよ。お尻にちんちんもまだもらってないもの。

 だから、

 「いまから行きます。」

 メールを打って、諭良は「恋人」の家に向かう。


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