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小休憩

2010/08/31 Tue
m25


乱雑に扱われた書類は机の上に散らばり、ひと時の休息を受け入れたことを示す。
動きに合わせるようにサイキカルは音もなくソファの背に手を掛けて、腰を持ち上げた。

「ヴァネッサに茶でも頼んでこようか?」

隣の部屋で自身の仕事をこなしている女性の名を挙げて、声を掛けるも、
グスタフは片手を持ち上げたのみで、サイキカルの言葉と動作を制した。

「いや、良い」

「………」

常ならば、そうだな。の一言で受け入れるグスタフらしかぬ言葉だった。
ゆっくりと椅子から立ち上がり、軽く背筋を伸ばして、
ソファへ歩み寄るグスタフに片眉を揺らしてサイキカルもソファに腰を下ろしなおす。
緩慢な歩みでソファまでやってきたグスタフは、珍しくサイキカルの隣へと腰を掛けた。
ソファが僅かに沈み、グスタフの長い黒髪が波を打つ。
グスタフは身を沈め、後頭部をソファに預けて、咽喉をそらして力を抜く。
天井を見上げる瞳が細い。

「やはり、相当疲れてるのではないか?」

横顔に視線を注いでいたサイキカルは伺うように常の調子を崩さず問いかけた。
マイペースながら、心を配る気配を読み取ったのか、
グスタフは短く「ん」と声を出して視線のみをサイキカルに向ける。

「余計な心配をかけることもあるまい」
「心配くらいさせてやれば良いだろう、偶にはベッド以外でも甘えてやったらどうだ?」

事も無げにさらりと指摘すると、瞬間的にグスタフの顔が歪んだ。
眉間に皺を刻み、苦虫を噛み潰したような表情の中に驚きがある。
珍しく複雑な表情を見せるグスタフに変化の少ない顔を傾けて見せた。

「お前がそういう冗談を言うとは思わなかったな…」

首を傾斜させ、黒髪を敷いたソファの背に頬を預けながら、サイキカルの視線を絡め取る。
まるでソファに凭れるような姿にサイキカルは唇の形を僅かに撓めて笑う。

「冗談にしてるのはお前だろう」

茶化すように言葉を返すと、グスタフは首を左右に振って長い髪を揺らめかせた。
そのまま、重力に身を任せ、サイキカルの方へ重心を傾ける。
長躯は自然と倒れ、サイキカルの膝の上に乗っていた本を無造作に床へ落とし、
その場所へ何の断りもなく頭を乗せ、深い息を吐き出した。

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[Serene Bach 2.23R]