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祭祀様は夢を見ない

2010/08/30 Mon
m25



「………ッ!?」
「……………」

ゲーニッツの冷たい唇がグスタフのそれに重なったのだ。
ひんやりとした口唇は乾いていて、それなのに滑らかだ。
息をするのも忘れて、双眸を見開くとゲーニッツは器用な舌で以ってグスタフの口唇を抉じ開けてくる。
現実には起こり得ない展開にグスタフは即座に反応できず小さく唇を震わせたが、抵抗にもならなかった。
その間にもゲーニッツの舌が口腔に侵食し、グスタフの舌を舐めあげた。
滑る粘液が混じり合い、酷く熱い吐息を口腔で聞く。
ゲーニッツは噛みつくようにグスタフの舌を追いかけ、根元から絡めて、強引にも丁寧に摩擦する。
口の中で滑った音が響き、鼓膜を内側から震わせた。
余りのことに反応できないでいるグスタフの舌を弄び、舌先で柔らかな舌根裏を擽る。
ジン、とした甘い疼きが腰に走り、ツ、と舌を伝う粘液に唇が戦慄く。
柔らかく唇を押しつぶされると、自ら啄むように吸いついてしまう。
無意識のうちに伸ばしかけた己の腕に気がつくと、、
貪欲に流されている自身を自覚し、グスタフは思わず声を上げた。

「さ、…い……ッ」

その声咎めるような声に弾かれたようにゲーニッツはグスタフの肩を掴んで引き剥がす。
眉間に皺を寄せ、濡れた瞳で切なげにゲーニッツを見れば、何処か苦虫を噛み潰したような表情をしていた。
グスタフは息が上がり、胸板が浅く上下している。
恍惚に溶けかけている眼差しでゲーニッツを見ながら、それでも瞳に疑問の色を混ぜた。

「祭祀、様……」

ゲーニッツはグスタフの呼び声に答えず、視線も合わせずに身を起こすと、
グスタフを振り返る事も、声を掛けることも無く、振り切るように扉へ向かってしまう。
引きとめなければ、と思うのに、今し方の衝撃が強すぎてグスタフは身動きも取れない。
蛇に睨まれた蛙でももう少し反応のしようがあるだろうと思うほど、身体が言う事を聞かなかった。
ぐったりと寝台に横たわるばかりの自分を自覚すれば、不甲斐ないとすら思った。

「――…ああ、グスタフ」

何事も無かったかのように、ノブに手を掛けながらゲーニッツが声を出した。
グスタフは即座に応じようとした、ハッ、と短い吐息を漏らすだけで精一杯だった。

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[Serene Bach 2.23R]