MAID IN LOVE
2011/03/30 Wed
m25
きっと何か別の要因があるのだと自分に言い聞かせながらも、痛みの増す胸へと手を宛がった。
虫の居所でも悪かったのかもしれない、と努めて平静に考えても、ジェネラルに対して大きな秘密を抱えているオズワルドは気が気ではない。
叶わないのは重々理解しているのに、避けられるだけでこんなにも胸が痛むのだ。
やはり、想いなど告げられるわけがない。ジェネラルはオズワルドの心すら、簡単に殺せてしまう。
己を落ち着けるように細い息を吐き出して、胸に宛がっていた指先を下ろすと、オズワルドは緩々と首を振り、己も控え室へと戻っていった。
おかしい。
どう考えてもおかしい。
オズワルドは咲夜の淹れたダージリン・ティーを啜りながら、眉間に眉を寄せた。
その表情に目ざとく反応した咲夜は首を捻りながら、ポットを持ち上げて見せる。
「口に合いませんでしたか?」
「――…ああ、いえ、すみません。少し考え事をしていたんです。貴女の淹れるお茶は何時でも美味しいですよ」
「……そうですか」
音も立てずにポットをテーブルに戻すと、良く躾けられた淑女のようにスカートの裾をちょいと摘まんで羽のように軽い身体をソファに預ける。
動作の一つ一つが優雅で、完璧な淑女。オズワルドはそんな彼女を前にして、余計な思考を振り払おうと首を振る。
しかし、今まで脳内で嬲っていた思惑が外に飛び出す前に、咲夜が中心を狙って言葉のナイフを投げてきた。
「あの尖兵と喧嘩でもされましたか?」
「……………………はい?」
図星が降ってきて頭に突き刺さり、オズワルドは思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
なにせ、あの一件以来、どう考えてもジェネラルに避けられているとしか思えないのだ。
廊下で声を掛ければ、さらりと切り上げられ、ティータイムに誘おうと姿を探せばどこかへ消えている始末。
モニター越しにしかジェネラルを見ることが適わなくなって、そろそろ本気で焦り始めてきたところだった。
喧嘩など断じてしていない。第一、売られてもいなければ売ってもいないのだ。喧嘩になりようがない。
しかし、現状だけ見れば、冷戦めいた喧嘩をしているような気になるのも致し方ない。
流石に胸に秘めし感情を悟られたとは思わないが、何らかの地雷を知らない間に踏んでしまった可能性は捨てきれない。
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