MAID IN LOVE
2011/03/30 Wed
m25
相性のせいか、ジェネラルの地力なのかは判断つきかねるが、相当いい試合だったことは間違いない。
控え室でしっかりと手に汗握っていたオズワルドは、きっと少しの照れを隠すような余裕のある笑みを見せてくれるだろうと思っていた。
けれど、オズワルドに返ってきたのは歯切れの悪い言葉と逸らされた青の瞳だった。
「……ああ、オズワルドか。それなりの試合が出来たと思うが」
「―――…それなり、ですか」
違和感を覚えざるを得ない言葉の選び方に、上手い返しが見つからず、ジェネラルの言葉を繰り返した。
視線を僅かに背けて、決してオズワルドの瞳を覗き込もうとしないジェネラルなどと言うものは初めて見る珍しい代物だ。
普段はサングラスを掛けているオズワルドさえ、見透かすように真っ直ぐにこちらを見てくると言うのに。
「もしや、お怪我を?」
「いや、そうではない。君こそ調子が良さそうだな、そのまま頑張りたまえ」
「私はそれほどでもありませんよ、咲夜さんが良くフォローしてくれるだけですから」
「そうだろうか。……私はタッグが苦手だからな、君たちが羨ましい」
何気なく言葉を交わして居ても肌を舐めるような違和感が付きまとう。
確かにボス枠で参戦しているジェネラルはタッグや乱戦が苦手そうではあるが、そもそも地力が違うのだ。
オズワルドは内心で首を捻りながらも、会話を続けようとして口を開いた。
しかし、オズワルドの声が言葉になるより早くジェネラルが口を挟む。
「さて、私は次の試合まで大分時間があるのでティータイムでも取らせて貰うよ。君も勝ちあがれると良いな」
「――――……ええ」
明らかに会話を終わらせたがる空気を感じ取って、語尾を落とすように相槌を打てば、ジェネラルは踵を返し長い廊下を歩いていってしまう。
一人残されたオズワルドは、その場に立ち尽くしたまま、暫くその背中を見送った。
「…………何かした、……んですかねぇ?」
ジェネラルの背中が完全に見えなくなってから、独り言のように自分自身へと問いかける。
心当たりなど全くない、自分が下手を踏んだとも思えないし、ジェネラルに何かあったとも考えにくい。
それでも好いた相手にあからさまに避けられると、胸の辺りに鈍い痛みが走る。
[7] << [9] >>
-
-
<< ブラックラインの攻防
黒暑―こくしょ― >>
[0] [top]