QLOOK?A?N?Z?X????

MAID IN LOVE

2011/03/30 Wed
m25


それを願うために背負わなくてはいけないリスクが大きすぎる。
万一にでもこの感情が、あのパーフェクトで紳士な尖兵にばれてしまったら、彼はこちらに気を使いながらも距離をとるだろう。
同性で、しかも老いらくの恋に付き合ってくれるとは思わない。
よしんば、友情からくる同情で想いを受け止めてくれたとしても、そんなのはより辛くなるだけだ。
オズワルドは温くなったカップに指を添えなおし、乾いてしまった喉を潤す。

「――…ゲームでは大胆なのに、臆病なんですね」
「ごらんのとおり、私も人間だったということです」
「私も人間ですよ、あの方も」
「…………ゲームで失うものは、富や名声やプライド辺りでしょうか」
「……? そうですね、その辺りかしら」
「あの方に負けると、私は一番大切なものを失いかねません。それこそ、富や名声やプライドよりも大切なものですよ」

だから、年にも性格にも似合わず、臆病になることくらい許してください。と言外にパートナーへ目配せする。
そんなオズワルドを見て、咲夜はゆっくりと腕を組みながら通算三度目の重い溜息を吐き出した。




――――と、パートナーには大見得を切ってみたものの、実際のところはそんなにしおらしいつもりもなかった。
緑の軍服に身を包んだジェネラルを見かければ、気軽に挨拶をしたし、茶に誘われれば喜んで同席した。
大会で調子が良ければ応援することもあったし、逆に応援されることもあった。
ごく普通の友人程度には、良好な関係を築いていると自負していた。
だから今日も今日とて、試合上がりの彼を見つけて、気安く片手を挙げて挨拶を投げかけたのだった。

「おや、試合帰りですか。本日の調子は如何でしたか?」

何気ないふりをしながら声をかけるが、ジェネラルの出ている試合は全て控え室のモニターで観覧している。
自分でも熱を入れあげ過ぎていると自覚しながらも、モニターには常時何がしかの試合が流れているのだし、姿を見るくらいは自由だと主張したい。
試合結果が分かっているにも関わらず、ジェネラルと話したいがためだけに呼び止めたのだ。
試合は1ラウンド落としたものの、最後は繋げて投げて大差をつけての白星。
しかし、最後の大技は、読み間違えればジェネラルの方が沈んでいただろうと思えるほど実は紙一重だった。

[7] << [9] >>
-
-


<< ブラックラインの攻防
黒暑―こくしょ― >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.23R]