MAID IN LOVE
2011/03/30 Wed
m25
完璧で瀟洒なメイドの目を誤魔化すことすら、忘れていたと後から後悔しても遅い。
「墓まで持っていけるなら、それで良いでしょうけどね」
「そんなに先のことではないでしょうし、隠しとおせるでしょう」
「あら? 案外、先の話よ」
「幻想郷で生きる貴方にそう言われると本当に長そうですね」
まるで人事のように言葉を連ねるが、阿吽の呼吸を織り成すパートナーは浅く溜息をついただけだった。
しばし、沈黙がテーブルに落ちて、優雅なはずのティータイムの空気が重くなる。
オズワルドは僅かに瞳を細め、パートナーに知られてしまった秘密について思いを馳せた。
―――それは突然、何の前触れもなく、真っ直ぐな瞳に暴かれた。
『あの方を愛しているのですね』
唐突に告げられた言葉は、咲夜にしてはストレートなものだった。
たまたま次の試合を待つ控え室で、別の試合をモニタリングしていた最中に投げられた言葉は、疑問ですらなく、確認の色を持っていた。
オズワルドはモニターの中で胡散臭いワープと理解しがたい投げを披露していた緑の軍人から視線を移し、
一瞬、驚いた顔を見せてから、余り他人事に干渉しないメイドへゆっくりと困ったような微笑を返した。
それが何より雄弁な肯定であるとは、オズワルド自身も気が付いていたが、
彼女相手に隠し事が出来ると思わなかったし、彼女であれば知られても問題ないだろうと思った。
咲夜はオズワルドの予想通り、意中の相手が同性で最強と謳われる尖兵だと知っても、「そう」としか返さなかった。
非難もせず、嫌悪感も見せなかった咲夜に対し、オズワルドはやはり素敵な方だ、と心の内で呟いた。
「どうにも見込みのない賭けに手を出してしまうんですよ、年かもしれませんね」
「勝てる勝負しかしないよりは、うんと良いと思います」
「そうして慰めてくださると、心も幾らか晴れますよ」
ふふ、とオズワルドが吐息で笑えば、咲夜は呆れ半分の顔で溜め息を吐いて見せた。
何度目かの溜息を量産させている原因が自分だと知っているだけにオズワルドは返す言葉を見つけられずに瞼を下ろす。
本当に遠くから、モニター越しに見ているだけで満足なのだ。
確かにあの大きな手に触れたいだとか、こちらだけを見て名を呼んでほしいだとかは思わなくもないが、
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