保健室へようこそ
2010/08/28 Sat
m25
そんなに情熱的な声で呼ぶくせに、酷く手荒で酷いことばかりするゲーニッツに混乱が頂点を極める。
「私のヨハン…、」
内臓を押し上げられるような律動でスプリングが一際高い悲鳴をあげた。
ゲーニッツに名前を呼ばれると狭隘な肉筒が窄まり、熱量を改めて自覚してしまう。
思考の殆どは四散し、意識は乱れて混線する。
自分の鼓動とゲーニッツの鼓動が近すぎて、頭がクラクラと痛んだ。
「……魂も身体も、全て私なしでは居られぬように」
このまま溶けてしまう。もう、何も分からない。
繋がった場所から交じり合って、前も後ろも分からず熱に身体も精神も焦げていく。
こんな手酷く暴力的な熱に浮かされて、もう如何することも出来ない。
無意識のうちにゲーニッツの名前を呼んだ気がしたが、上手く言葉になっただろうか。
応じるように熱っぽく名を呼ばれたのは幻聴なのか現実なのか判別付かない。
それでも、何故だか酷く優しく髪を撫でられた気がしたが、思考が生まれるたびに身体を貫かれて燃え尽きる。
夢なら醒めろ、早く醒めろ。でなければ溶けてしまう。
涙に溺れ、甘い刺激に身体の中心まで犯されて、自らを組み敷く男の名前を呼びながら、落ちていく感覚に包まれる。
きっと、墜落したとき、この男なしでは居られなくなるのだ。
絶望のような結論と共に、心の底に生まれる暖かいものを自覚してヨハンは強く眼を閉じた。
「少し、よろしいですか?」
職員室で一時間目の授業の準備をしていたルガールは、不意に声を掛けられた。
書類に落としていた顔を上げると、そこには何かと教え子に絡んでくる気の合わない同僚が立っている。
「何だ、ゲーニッツ。今日は保健の授業はないぞ」
あらかじめ図太い釘を刺して牽制しつつ、何故かにこやかなゲーニッツに言葉を返す。
五寸釘並みの牽制を朝から貰いつつも、全く気にした風でないゲーニッツは一枚の紙をルガールの前に差し出して言葉を続けた。
「先日の健康診断の結果が芳しくない生徒がいるので、また保健室にやっていただきたいのです。
生徒の健康管理を任されている身としては、万に一つの危険要素も見逃せませんのでね」
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