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夢に見るほど甘い生活

2011/02/28 Mon
m25


そんなことを考えながら確かめるように問えば、オズワルドはジェネラルの所作を真似るように首を傾げてみせる。

「ええ、そうですが」

あっさりと肯定され、ジェネラルはふむ、と呟くと顎に指を添えた。
触るだけで好物が手に入るのであれば手軽だと考えるのは軽率だったろうか。
ジェネラルはオズワルドを見下ろしながら疑問を口にした。

「ならば、歓迎すべき能力だと思うのだが」
「話には続きがあるんです」

続きを促され、オズワルドは小さく瞳を細めてみせた。
夢の中のオズワルドは、確かにその甘い能力を喜んだ。好みのチョコレートを探して店を訪ね歩くのも楽しいものだが、手軽に美味しい好物が手に入るのならそれに越したことはない。
暫くはこの能力で楽しめるだろう。なにより、これは『夢』の能力なのだ。
覚醒と共に必ず消える能力なのだから、楽しまないと損だろう。
オズワルドは笑みを深めながらチョコレートに口に運び、そこでふと窓の外を見た。
いつの間に時間が過ぎていたのか、外は宵闇に支配されており、夜の到来を告げていた。
今が何時だとか、そういった細かいことは分からなかったし、興味も湧かなかった。
それよりも、ああ、食事の用意をしなければ。という酷く生活感のある思考が過ぎる。
オズワルドは一枚ずつ丁寧に味わっていたチョコレートの蔵書をおくと、キッチンへと足を向けた。
今日は何を作ろうかと考えながら、とりあえず買い置きのジャガイモを手に取った。
手にしたジャガイモは特に芽も出ておらず、買ってすぐに泥だけ落としておいた為に傷みもない。
けれど、手に触れた感触はジャガイモのそれではなかった。
鼻腔を擽る芳香は甘く、手に伝わる感触はいつもよりずっと柔らかい。
試しに口に運んでみればやはり、ジャガイモもチョコレートへと転じていた。

さあ、困ってしまった。

食材すらチョコレートへと変わってしまうのであれば、料理など出来るはずもない。
とりあえず元ジャガイモのチョコレートは冷蔵庫へと仕舞っておくとして。
どうしたものかと首を傾げるも、そういえば手袋をしていれば変わらなかったはずだと思い出す。
リビングに置きっぱなしだった手袋を回収すると老いた両手を包み込み、もう一度ジャガイモを手にとってみた。
皮手袋に阻まれた不可思議な力はやはりジャガイモに作用せず、試しに匂いを嗅いでみても変化した様子はない。

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[Serene Bach 2.23R]