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指先の駆け引き

2011/01/02 Sun
m25



「――――〜〜ッ」

ジェネラルは乱した軍服を手早く直すと、シーツを頭から被って狸寝入りを決め込んだ。
とてもではないが、この状態で何事もなかったように出迎えに行くことは出来ない。
ジェネラルの最も獣に近い部分は、こんな絶体絶命の状況ですら萎えることはせず、解放を強請っているのだ。
むしろ、このいつ露呈しても可笑しくはない状況に興奮している節すらあった。
そんな淫らがましい自分を、オズワルドに知られるのは耐えられない。
幸い、もう深夜と呼べる時間帯ではあるから、ジェネラルが先に寝ていたとしても不思議はない。
二人で暮らし始めてから、ジェネラルがオズワルドより先に休んだ夜はそう多くはないものの、皆無ではなかった。
未だ整わない呼吸を何とか鎮めながら、一指も動かさず寝台の上に小山を築くと、静かに寝室の扉が開いた。

「――――おや?」

寝室の扉を開けたオズワルドは、夜目の利く目でベッドの小山を見つけると、暫しの沈黙の後、小さく笑気を漏らした。
足音を殺して寝台に近寄ってくる気配に、ジェネラルの動悸は一層激しさを増す。
一歩距離を縮められるごとに羞恥が募り、このまま消え入ってしまいたくなるほど居たたまれない。
全身全霊で以ってオズワルドの一挙一動に気を配っているジェネラルに気づいているのかいないのか、オズワルドはシーツの山と化したジェネラルをあやすように優しく叩いた。

「閣下?お休みですか?」

語尾を上げているのは、ジェネラルが眠っていないことを感じ取ったが故だろう。
気配に聡いオズワルドは、自身に向けられる意識と室内に満ちるジェネラルの動揺を正確に捉えていた。
寝台に横たわり、ぴくりとも動かないジェネラルが間違いなく狸寝入りであると看破している一方で、それを指摘するのを避けたのはオズワルドなりの配慮だった。
それでもなお声を掛けたのは、出迎えの一言もないジェネラルを訝しんだからに他ならない。
無論、ジェネラルが狸寝入りまでして隠したいと思うことを無理に暴くほどの悪趣味さは持ち合わせていないが、その理由が身体の不調だった場合は見過ごす訳にはいかないのだ。

「………あ、ああ…」

暫く時計の秒針が奏でる音だけが寝室に響き、それでもジェネラルの声を待っていると、くぐもった声が小山から聞こえていた。

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[Serene Bach 2.23R]