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カタストロフィ

2010/08/27 Fri
m25


そういった知識を元々持っているわけではないようだったので、
それは性交と言うよりも憂さ晴らしや八つ当たりに近い行動だったように思う。
しかし、オニワルドは抵抗を一切しなかった。
それが、オロチに必要な優しさなのかも知れないと達観していた。
或いは、全力で大魔法を打ちこまれ続けられるよりも楽だと怠惰なことを考えていたからも知れない。



だが、全てが終わった後で、オロチが苦しそうに、それでいて傷ついたように顔を伏せたのを見て、
自分がしたことが間違いであった事に気がついた。
それと同時に、オニワルドは考えてもみなかった重大な事にも気がついた。
そのことに気がついたとき、オニワルドは愕然とした表情を気だるげな笑みに隠してそっと、オロチの頬を撫でた。
発光するほど白い頬に触れるとオロチは弱々しい声を絞り出した。

「我は、如何すればいい……」

完全に自分を見失い、混沌の真っただ中にいるオロチの声に、オニワルドの指先が震えた。
それでも、笑みを崩さずに、枯れた喉から声を出せた自分を褒め称えたい。

「優しくしてあげれば良いんですよ、――…こんな風にしないで、優しく……優しくですよ?」

暫く沈黙を守っていたオロチが浅く頷いたのを見て、オニワルドは心底ほっとした。



それが、オロチへの恋情を自覚した夜のことだった。



それ以来、オロチはイグのんとぎこちないながらも愛情を深め、いまや二児の父親にまでなった。
昔よりも、幸せそうな横顔を良く見るようになった。
今一番の悩みが次女の彼氏がいるかどうかなのだから、丸くなったものだと思う。
そんな幸せそうなオロチをずっと見守ってきたオニワルドに後悔の念はない。
自分ではオロチをあんなに悩ませることは出来なかっただろうし、
オロチをこんなに穏やかにさせることは不可能だったはずだ。
オロチの永遠は、イグのんにしか齎す事が出来なかった。

オニワルドはソファに緩く身を沈めて、オロチの横顔を見直す。
若干前のめりでモニターを見ているオロチはとても微笑ましい。
それでいて、オニワルドが封印したはずの感情を胸の奥で小さく震わせる。
彼は強敵(とも)だと何度言い聞かせても、視線はついオロチを追いかけ、

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[Serene Bach 2.23R]