酔っ払いの作法
2010/11/26 Fri
m25
改めて姿勢を正すと、キッチンカウンターを回ってオズワルドへと近づいてきた。
「―――…いや、まず、謝りたい。許してもらおうとは思わんが、謝らせてくれるだろうか」
「ああ……、」
オズワルドは昨夜の状況を考え、相槌を打つも、それより欲しい言葉が出来て顔に笑みを敷いた。
ようやく取り戻してきたポーカーフェイスは果たしてポーカーフェイスとして機能しているのだろうか。
「待ってください。それより先に言う事がありませんか?」
「…………そちらが先で良いのか?」
「…………癪と言えば、癪ですが、まぁ、聞いてから考えますよ」
「考えるだけなのか」
「ええ、答えはたっぷりと焦らさせていただきます」
ふふ、と含み笑いを漏らせば、ジェネラルの肩眉が小さく跳ねあがる。
何か言いたげに口を開いたが、数秒迷ってから、一度溜息を吐きだした。
「……君には敵わんよ」
「まぁ、苦労はさせると思いますが」
しれりと言って見せれば、目の前までやってきたジェネラルがそっとオズワルドの頬に手を伸ばす。
懐くように首を傾け、ジェネラルの体温が頬に伝わり瞳が緩む。
口角を持ち上げ、意を決するジェネラルを見やりながら、それでもやっぱり暫くは考える振りをしようと決め込んだ。
あんまりあっさりと応じてしまうのは面白くない。
ああ、けれど、酒の量はそこそこに控えて貰わなくては困ってしまうが。
こういったことに不慣れなのだろうジェネラルは少しだけ視線を彷徨わせた後に、オズワルドと視線を合わせ、ゆっくりと唇を開く。
重々しい低音の声が鼓膜を震わせ、それを瞳を細めながら聞いた。
「―――――…好きだぞ、オズワルド」
オズワルドはきっとジェネラルを好きになるだろうと、漠然とした確信を持って笑った。
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