Green Tea
2010/11/14 Sun
m25
隙もソツもない彼からソーサーごと受け取ると、当然のように隣へと腰を下ろす。
そんな動作が当たり前の関係になって、随分と久しい。
「クーラさんでも呼びますか、と提案してみれば良かったですかね。それでも女性の方々は多めに持ち帰ったようですが」
「そういえば、カレー空輸と提携した時も大量のカレーを持ち帰ったな」
思い出すように唇を撓めて笑えば、オズワルドも笑みを噛み殺してカップの蓋を開く。
冴えるような抹茶色が視界に入り、やはり内心の違和感から片目を歪めてしまった。
「……こちらの方が良かったですか?」
一口分掬ったオズワルドがゆっくりとスプーンを差し出してくると、慌てて首を振る。
誤解を掻き消すように己もトリュフショコラのカップを開くと、スプーンを表層へ差し込んだ。
「いいや、単に君は何時もこちらだろう。どういう心境の変化かと思ってしまっただけだ。気にしないでくれ」
パクリとアイスを口に運ぶと口腔に甘い味わいが広がる。
冷たいアイスが舌の上で溶けて、ほんのりとしたカカオの苦みがアクセントになっていた。
美味いとは思うが、それ以上にオズワルドの好みそうな味だと考えてしまう。
当のオズワルドはと言えば、掬ったアイスを舐めるように唇で削いで逡巡の様子を見せながら嚥下している。
薄い唇が銀色のスプーンにさかさまに映り込んで、無意識のうちに瞳を細めた。
考え事をする時の伏せがちの瞳は、サングラスに阻まれて明確に見えないだけにその奥を暴きたくなる。
チョコレートとは別の甘さが喉の奥、心臓の内側から染み出した気がして、小さく溜息を洩らした。
しかし、その溜息を取り繕うより早く、オズワルドがゆっくりと言い聞かせるように口を開く。
「閣下が食べられないので、せめて閣下の色だけでも。と思いまして」
「…………………は?」
意味が分からず、間抜けな声を返すとにっこりとしたアルカイックスマイルと対面する。
更に一口分掬った抹茶味を楽しみながら、オズワルドは揶揄めく含み笑いを漏らした。
「まぁ、比べものにならないほど閣下の方が甘いと思いますが」
鼓膜を揺らした言葉が脳を数度回って、ようやく言葉の意味を理解する。
けれど、その直接的な誘い文句に照れれば良いのか、はぐらかせば良いのか、判断し損ねて言葉は詰まったままだ。
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