秘色の糸
2010/11/10 Wed
m25
視界を狭めているオズワルドの背後で、クローゼットの戸が静かに響く。
出来れば、そのまま何の変わりのない中身に満足してくれないだろうかと視線を背後へ送る。
だが、職業軍人だけあって記憶力は相当なものらしく、朝は無かった箱をあっさり見つけて引きずり出しているのが見えた。
そのまま頭を抱えて膝を着かなかったのはオズワルドの掻き集めた矜持の賜物だ。
ぱかり、と忌々しいほど軽い音がして蓋が取られた。
「…………自分用です……」
瞼を下ろして言った言葉は、誰が聞いても嘘だと分かる弱弱しい声をしていた。
オズワルドは居た堪れなさから寝室の扉に手を掛けた。
けれど、次の瞬間には強い引力で引き寄せられて後ろへと倒れこむ。
無様に床に引っ繰り返ることはなかったものの、厚い胸板を背中に感じて全身が熱くなった。
「私の分はないのか?」
「ありません」
弾んだ声に羞恥が煽られ、視線を床へと捨てながらぴしゃりと言い放つ。
肩に顎を乗せられ、熱い吐息が耳を擽ってくるのが堪らない。
隠し場所をもっと凝った場所にすべきだったと、盛大な後悔に見舞われながら身を捩る。
けれど、それを押さえつけるように強く抱き竦められて、僅かの動きも制限されてしまった。
「―――…すまない」
「…知りません」
耳を打つ謝罪にそっぽを向いたオズワルドに、ジェネラルは小さく笑って、赤く染まった首筋にキスをした。
ブラウンのマフラーで首筋を隠すオズワルドと、グレーのマフラーを機嫌良さそうに身に付けるジェネラルが
各所で目撃されることになるのは、そんな寒い日の翌日以降のことである。
[7] <<
-
-
<< オロチ様が見てる
Beloved Bastard >>
[0] [top]