秘色の糸
2010/11/10 Wed
m25
情けない、と笑うジェネラルに、オズワルドも自然な笑みを零した。
誰かからの贈り物でなかった、という事実だけでも、心はいくらか救われる。
コートを片腕に掛けて、マフラーと手袋も回収すると、冷たい唇が降ってくる。
口付けを受け、オズワルドはジェネラルはリビングへと誘った。
「食事の用意は出来てますよ。今夜は寒いので、ビーフシチューにしてみました」
「ありがたい」
「コートを掛けてきますから、先に行っててくださいね」
軽くジェネラルの背を押して、オズワルドは寝室へと向かう。
ちらり、と肩越しに後ろを伺えば、ジェネラルはリビングへと足を向けていた。
オズワルドは音もなく息を吐くと、寝室の扉を開いた。
空調を切っていた為、ひんやりとした冷気が足元から上がってくる。
長居は無用とばかりにクローゼットを開いてハンガーにコートを吊るした。
ジェネラルも疲れているのだから、早めに夕食にしようと踵を返しかけるが、視線はクローゼットの底へと向いてしまう。
「…………」
片膝を付いて、クローゼットの底に置いてある箱を取り出すと、蓋を開ける。
中には今日一日掛けて作ったマフラーが畳まれて入っていた。
暖かそうだと選んだ色は、薄暗い中で見ると寒々しい色に見えた。
微かにオズワルドの胸が軋んで痛みを覚える。
「―――…」
小さく溜息をつくと、変わりに冷気が肺を満たして小さく咽た。
捨ててしまうのも勿体ない気もするが、ジェネラルにと作ったものを自分で使うのも嫌だった。
かと言って、妙なところで聡いジェネラルのことだから、このまま仕舞っていれば近いうちに必ず露見してしまう。
そうすれば、ジェネラルは自分を責めるだろう。優しい、不器用な人だから。
オズワルドが勝手にやったことで、ジェネラルにそんな気持ちを味合わせたくなかった。
「……やれやれ…しゃんとしなくては」
正直、気持ちは随分沈んでいる。
今日一日、渡したときの顔を楽しみにしながら編んで、結局渡せられなかったのだから、当たり前のことだ。
そう認めながら、それでも情けない顔を見せて気取られる訳にもいかない。
オズワルドは箱に蓋をすると、今まで置いていた場所よりも奥へと箱を隠した。
帽子を入れてある箱を上に乗せて、更に隠すと、ゆっくりと立ち上がる。
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