QLOOK?A?N?Z?X????

秘色の糸

2010/11/10 Wed
m25


別段、ジェネラルがそういったことを気にする性質だとは思っていないのだが、大切な恋人に贈るなら、周囲が既製品だと見紛うばかりの完璧なものを贈りたい。
そんな感情と、元からあった凝り性が疼き出してしまい、オズワルドは作業に没頭していった。





日が暮れ、辺りが夜に支配されて一層冷え込んできた時間帯に、玄関から扉を開く音が聞こえた。
オズワルドはその音を合図にコンロの火を落とすと、笑みを浮かべた。
朝から製作を開始したマフラーは、夕暮れ前に完成した。
安楽椅子は片付け、マフラーも隠して、後は然るべきときにジェネラルへと贈るだけ。
オズワルドは、マフラーを渡したときのジェネラルの表情を想像しながら、小さく微笑むと、出迎える為に玄関へと向かった。
視線の先には朝見た格好のジェネラルがブーツを脱いでいるところだった。
緩んでいる頬を片手で押さえ、軽くなる足取りを嗜めると、不自然にならないように注意を払いながら口を開いた。

「お帰りなさい、閣……」

しかし、出迎えの声は途中で不自然に途切れてしまった。

「ああ。ただいま、オズワルド」

出迎えに微笑むジェネラルは朝見た顔となんら変わらない。

ジェネラルの首元を守るようにして巻かれたマフラーだけが、朝との唯一の相違点だった。

暖かそうなブラウンのマフラーは、ジェネラルに良く似合っていた。
それが今日でなければ、お似合いですね。と相貌を崩しただろうと、オズワルドは何処か遠くで考えた。
同時に、先走ってマフラーを編んだ自分に激しい羞恥を感じてしまう。
朝には名案だと舞い上がっていたが、考えてみれば年若い女性がするならまだしも、老年の男が何を。と、今ならながらに後悔がオズワルドを襲う。
オズワルドは強張りそうになる頬を笑みの形に緩ませると、手を伸ばしてコートを受け取った。

「今日も遅くまでお疲れ様でした。寒かったでしょう?」
「いや、流石にここまで防寒していれば、そこまででもなかったぞ」

ジェネラルの指はコートを指していたが、オズワルドの視線はマフラーへと向いてしまう。
そうでしょうね。と、棘のある言葉が出てくる前に、オズワルドは小さく微笑んだ。

「良い色のマフラーですね」
「明日はもっと寒くなると聞いてな。帰りがけに買ってきてしまった」

[7] << [9] >>
-
-


<< オロチ様が見てる
Beloved Bastard >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.23R]