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誰がために終業ベルは鳴る

2010/11/03 Wed
m25



「―――」

掌に伝わる温もりは、購ったばかりの灼けつくような熱さではなく、柔らかな温かさだった。
大方、寒さ対策のカイロ代わりに買ったものなのだろう。
掌で熱を奪い尽くした挙句、わざわざ処理をクローンゼロに押し付けたのだ。
そう、何度も心中で罵倒するものの、缶コーヒーから伝わる温さは、オリジナルゼロの掌と同じなのだと自覚するだけで、頭痛が酷くなる。
腑抜けた甘さだと心底でせせら笑いながら、クローンゼロは脳を苛む苦痛を少しでも和らげようと、温い缶コーヒーを額へと当てた。
緩く熱を持っていたそこは、缶コーヒーの低温を奪い、自らの熱を押し付ける。

「―――…こういう事を恥ずかしげもなくする所が、大嫌いだ」

額に当てた缶コーヒーはクローンゼロの熱のお陰で、先ほどの低温よりもいくらか熱を取り戻す。
それでも、頭痛は治まるところを知らずに、頭蓋骨の中で騒がしく警鐘を鳴り響かせた。



割れるほどの痛みに悩まされながら、クローンゼロは最大の嘆息で爽やかな朝を曇らせたのだった。

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[Serene Bach 2.23R]