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誰がために終業ベルは鳴る

2010/11/03 Wed
m25




!注意

オリジナルゼロ→←クローンゼロで香る程度にオフィスラブ。
別人かもしれないけど甘さ控えめの微糖仕様。


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日が暮れ、月も中天を過ぎた時間に、オリジナルゼロは自らの執務室を後にした。
ロングコートを羽織、片手でセキュリティカードをドアノブの上にある細いスリットへ通すと、小さな電子音が耳を打つ。
カードを胸元に仕舞いながら、腕時計へと視線を落とす。
何とか日付を跨ぐ前には終わったものの、時計の針は深夜を指していた。

「やれやれ…遅くなってしまったな」

常日頃から仕事が多忙を極めるというのもあるが、今は時期が悪かった。
明日から数週間に掛けて、ネスツの最高責任者であるイグニスのトーナメントの出場が決まっており、連日連夜に会議が詰まっているのだ。
連日の会議資料と報告書の作成に加えて、明日も朝一から会議が予定されている為、
ネスツの中でも相応の地位にいるオリジナルゼロも残業を余儀なくされた。
パソコンの画面と長時間向き合っていたのもあって、目の奥が痛む。

「……先に帰しておいて正解だった」

オリジナルゼロは眉間を親指の腹で押さえながら独り言を漏らす。
己に忠実な黒獅子は、仕事が遅くなりそうだと判断した時点で帰宅を命じておいたのだ。
グルガンは躊躇うように何度も主人を見やっていたが、
笑みを浮かべて形の良い頭を撫でてやると大人しくオリジナルゼロの自宅へと向かっていった。
とぼとぼ、と力なく歩み去る背中に絆されなかったわけではないが、
最近はずっとオリジナルゼロの激務に付き合わせてしまっていたのだ。
疲労している様子を決して見せはしないが、実際は相当疲れているはずである。
きっと今頃は眠気に負けてクッションに身を任せているだろう。
その様子を想像すると如何に黒い獅子だといえど、子猫のようで微笑ましい。
オリジナルゼロは静かに笑気を零すと、自身も疲れているのだから家路に着こうとエレベーターホールへと足を向けた。

「―――」

しかし、歩みは一歩を踏み出す前にその場に留まる。
オリジナルゼロは首を巡らせ、背後に広がる闇へと視線を投げた。
節電モードになっている深夜帯では一部の共有スペース以外の照明は落とされ、補助照明が申し訳程度に光るのみ。

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[Serene Bach 2.23R]