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Sleeping Baby

2010/11/01 Mon
m25




「……寒いと眠くなるのは変わらないんですねぇ」

オズワルドは呆れたような声を出しながら、控え室のソファに頬を預け、転寝するグスタフを見下ろした。
長い手足を組んで顎を引き、座位の姿勢を保っているものの、薄く開いた唇からは邪気のない寝息が聞こえてくる。
肩を竦めてから、この無防備な弟子の処遇を決めあぐねる。
幾ら同チームと言えど、もう弟子でもなければ師匠でもないのだし、放っておいても勿論良い。
しかし、幾ら空調が利いているとはいえ、羽織るものも何もない状態では、寒さに目を覚ますまでそう時間は掛からないだろう。
背筋をピンと伸ばしたまま、隙を見せずに眠りの海を漂う癖、普段隠し持つ棘が見えない。
それだけで、無防備に見えるのは単なる欲目かもしれないと思う。
オズワルドはとりあえず、何か掛けるものを、と考えて視線を彷徨わせつつ手袋から老いた手を抜いた。

「ん……、」
「………おや?」

殺しきっているはずのオズワルドの気配に気が付いたのか、グスタフが小さく眉を震わせる。
低く掠れた声が追従し、オズワルドはサングラス越しの瞳を細めて気配を押し殺すことに集中させる。
されど、空気に溶けようとすればするほど、グスタフは執拗に気配を追いかけ、夢の世界でもがき続ける。
あと少しで起きてしまう、そうオズワルドが察した瞬間、グスタフが身を捩り、今まで均衡を保っていた体勢が瓦解した。
恐らく、気配の正体を掴もうとしたのだろう。このままでは床に落ちると予測した瞬間、オズワルドの行動は決まっていた。
一足先に革手袋が指先を離れて、床へと特攻をかける。パサリと軽い着地音を響かせたのをどこか遠くで聞いた。
グスタフと言う男は人の気配には敏感なくせに、自分は床で寝ていても何も思わないのだ。
咄嗟に気配を殺すのも忘れて、両腕を差出し、グスタフの細い身体をしっかりと抱きとめる。
見事に床へのダイブは阻止したものの、身体の上体をオズワルドに凭れさせる体勢だ。
幾らグスタフが細身だと言っても、中腰のオズワルドに掛かる負荷は並大抵のものではない。
今まで殺していた気配を空気に馴染ませ、もはや意味の無くなった配慮を捨てると、低い声をグスタフに掛けた。

「グスタフ、起きなさい。落ちますよ」
「………む?」

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[Serene Bach 2.23R]