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祭祀様は甘くない

2010/10/27 Wed
m25


背中と胸板が直にくっついて、グスタフの心臓が止まりそうになる。

「も、申し訳ありません。……起こしてしまい、ましたでしょうか?」
「いいえ、起きていました。……それより、声が嗄れていますね。痛みますか?」

こんな時間に起きているなど珍しいこともあるものだ。だとか、原因は一重に昨夜にあると思うのですが。だとか、
喉がヒリヒリと痛んで本当は呼吸するのも辛い。だとか、返答は幾らでもあったが、
ゲーニッツの指先で慰撫するように喉を撫でられて、全てがどうでもよくなってしまう。
思わず恍惚を感じてしまいそうになるほど心地よく、グスタフの身体から力が抜ける。

「大分、無理をさせてしまいましたからね」
「………そのような、ことは…、決して」

あれだけ強いられても、ゲーニッツの甘やかな言葉一つで絆されてしまう本能は止められない。
油断しきっているグスタフに、ゲーニッツの顔が近づき、敬愛する唯一無二の存在で視界がいっぱいになった。

「甘くて美味しかったですよ、グスタフ」
「……祭祀様のお役に立てたなら何よりです」
「来年も頂きにいきますね」
「……………」

グスタフの耳朶まで赤く染まり、唇を一文字に結んで言葉を紡げないでいる唇に柔らかくキスが落とされる。
一度だけではなく、戯れるように数度啄ばまれて、背中まで熱くなった。
まるで約束の指きりのようにキスを繰り返され、唇が薄く開いていく。
素肌が重なり、朝日の中でゲーニッツの重みを感じる。それは恐らく幸せという名をしていた。
悪戯と甘味の役目を見事にこなしたグスタフは、褒美として世界で一番甘い口付けを貰ったのだった。

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[Serene Bach 2.23R]