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Little by little

2010/10/26 Tue
m25


ヨハンはまるで悪びれることも無く、あっさりと肩を竦めて見せた。

「あー…、悪かった悪かった。………それよりも、良いのか?」
「………?」

怒りは収まらないが、問われて首を捻れば、視線先でゲーニッツが明後日を向いている。
作りこんだ無表情な横顔に、祭祀様…?と呟くも、一瞥もしてくれない。
グスタフは改めてゲーニッツに向き直り、ゆっくりと近づいて肩に掌を添えた。
一瞬、肩が強張る痙攣を感じても、グスタフの疑問は深まるばかりだ。

「どうかなさいましたか、祭祀様」

その言葉を聞き笑ったのは面白そうにヨハンである 。

「……グスタフ」

ヨハンへ絶対零度の視線を向ける前に、ゲーニッツの声がグスタフの注意を引く。
改めて見やれば、ゲーニッツの眦が僅かに赤く染まり、うっすらと汗をかいていた。

「………」

祭祀様大事で一瞬忘却してしまったが、直前までの会話を思い出し、グスタフは吊られてカッと頬が熱くなるのを感じた。
わななく唇を、明らかな動揺を乗せて開く。

「……祭、祀様…、まさか……」

じわじわと羞恥心が込み上げてくる。
まさか、聞かれていたのか、自分の浅ましい願望を。
肩を掴んだまま硬直してしまったグスタフをチラと見やり、ゲーニッツは誤魔化すように言葉を投げた。

「奪えないものです」

ゲーニッツは羞恥を誤魔化すように一応吐き捨てるようなふりをしてみせる。
僅かに伏せた睫が、鮮やかな青の瞳に影を落としていた。

「それは、………よく、……分かりますよ」

既にゲーニッツの視線はほとんど真後ろを向いていると言っても過言ではない。
グスタフはその反応に一瞬、呆気に取られ、続いて掴んでいる肩に力を掛ける。
意識したのではない、身体が勝手に動いてしまったのだ。
己の行動に次いで出てくる言葉は、やはり、ゲーニッツを呼ぶもので。

「さ、」
「グスタフ」

それでも、ゲーニッツの声に阻まれて言いきる前に、声がぶつかる。
意気込んだグスタフを叱咤するように留めたゲーニッツは、眦に熱を宿したまま視線を合わせた。

「これは奪うのではありませんよ……同意の下です」

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祭祀様は甘くない >>
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[Serene Bach 2.23R]