深夜過ぎたら逢いましょう
2010/10/21 Thu
m25
すると、その震えを違うように解釈したのか、グスタフが喉奥で小さく笑った。
「―――恐ろしいですか?」
その言葉に、ゲーニッツは額に青筋を浮かべた。
怒りの余りこめかみが痛み、全身の毛が逆立つほどの殺意を身に纏わせる。
上半身は未だ寝台に沈み、下半身は露出され膝を立てているという屈辱的な体勢のまま、下からグスタフをねめつけた。
暗闇の中でその表情を読み取ることは困難だが、その唇が弧を描いているのに気付くことは容易だった。
「……雷で打たれるよりも、風に切り刻まれる方が痛いと思いますよ?」
言って、自由を奪われた身を捩る。
腕と言わず、指さえ動けば風が操れるのだが、それを熟知しているのか丹念にワイヤーを絡ませられている。
一指たりとも動かないのであれば、如何に風の加護を得ているとはいえ力を振るうことは出来ない。
ゲーニッツが苛立ち、眉間に皺を寄せると、唇を細い指が撫ぜた。
指腹でゲーニッツの無力を嗤うかのような嬲る手つきに怒りが湧き起こり、獣のように牙を剥いた。
「―――ぐ…ぅッ」
しかし、噛み付こうとして開いた口は逆に捕らえられ、細い紐が嵌められる。
一瞬見えたそれは青く、グスタフが常用しているネクタイだと思い至る。
猿轡のように口を戒めるネクタイはそのまま項に回され固定される。
お陰で口を閉じることすら出来ず、唾液がネクタイへと染み込んで濡れぐちゃり、と嫌な感触が歯に伝わった。
「ぅ…ぅうッ」
罵倒の言葉を吐くものの、噛まされたネクタイのお陰で全てが耳障りな呻き声に変換される。
両手をワイヤーで固定され、猿轡で言葉も戒められ、さらには下肢を露出している姿は客観的に見ても無様なことこの上ない。
ゲーニッツは憤りそのままに、ネクタイへと噛み付いた。
「祭祀様には、やはり青がお似合いですね」
何処か恍惚とした声が耳のすぐ近くで聞こえる。
吐息が耳を擽ったかと思えば、滑る舌で耳を嬲られ、眉間に皺を寄せた。
ぴちゃり、と、まるで聞かせるように耳朶を濡らし、外耳をなぞるように舐められる。
「―――…ッ!」
何をされても睨みつける眼光の鋭さは衰えなかったが、グスタフの長い指がゲーニッツの陰茎に絡むと一瞬だけ瞳に狼狽が混じった。
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