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Darjeeling tea

2010/10/15 Fri
m25


その様を見やり、グスタフは率直にして、確かに芽生えた疑問を、包み隠さずに口にした。

「何故、本日の私の試合を御存じなのでしょうか?」

いくら同じ会場と言えど、別の大会であるだけに偶然試合を見る事は不可能だった。
無論、同じ会場であるから、偶然でなければ観戦することは容易だ。
試合時間を確かめさえすれば、自分の試合以外は割と自由に動けるのだ。
ただ、そこには絶対的に、観戦の意思が必要となる。
――――意味深な沈黙はたっぷり三十秒。
暫く、同じ瞳孔を持つ視線を交わしていたが、逸らしたのはゲーニッツが先だった。
少しばかり冷めてしまったカップに指を絡め、何食わぬ顔で紅茶を啜る。
外された視線は途中で放り出した本の上に落ちていた。
だが、文字を追っているわけではないのだろう。
グスタフは取り繕うような仕草に如何しても押え切れず、口角を僅かに持ち上げてしまう。
平時と変わらぬ横顔を見せながら、紅茶を啜るゲーニッツに双眸を撓め、今一度深く礼を向けた。

「ご心配をおかけして申し訳ありません、祭祀様。次回からは一層、注意いたします」

ゆっくりと持ち上げたグスタフの視界には、むき出しの耳朶を染めた愛しい上司の姿が映る。
最高級と評される紅茶が立てる甘い香りよりも、なお、甘そうな桃色をしていた。

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[Serene Bach 2.23R]