温泉郷へようこそ
2010/10/13 Wed
m25
「な…!?」
不敵に笑うゲーニッツに頬を熱くしながら、足を撫でて這い上がってくる指先を意識せざるをえない。
浴衣の裾から潜り込んできた指先に眉根を寄せて、息を吐くと、高まっていたのはゲーニッツだけではなかったことを思い知る。
すっかり猛っていた中心を握りこまれて、ヨハンは無条件に身体を撓らせた。
――――後はもう、推して知るべしである。
(うう、腰が痛い…)
帰りのバスに乗り込みながら、バスの段差程度で腰を押さえつけてしまう我が身に情けなさがこみ上げてくる。
片手に持っていた旅行鞄を早々に網棚に上げてしまえば、さっさと窓際の席を陣取ってヨハンは息を吐き出した。
結局、あのあと、何時もどおりにゲーニッツと一夜過ごしてしまったのだ。
いや、正確に言えば一夜ではなく明け方まで一緒にいた。
最後までの記憶はないが、目を覚まして、すぐ隣で寝ているゲーニッツの顔が視界に入っても悲鳴を我慢した自分に拍手喝采したい。
すやすやと悪行を感じさせもせず、穏やかに眠るゲーニッツを一発殴りたい衝動を抑えて、部屋に戻ったのは既に朝と呼ぶに相応しい時間帯だった。
そこからこっそり部屋に備え付けられてる部屋で屈辱的な後始末をして、寝なおしたが当然寝不足だ。
折角、温泉に来て、エルクゥのことやゲーニッツのことで、なお疲れていては世話が無い。
(全く…)
憮然とした面持ちでそんなことを考えながら、徹夜を強いられた身は徐々に瞼を下げてくる。
うとうとと意識が重量を失い、浮かび上がりだす。
それを到底止められるはずも、ヨハンには止める気も起きなかった。
一晩休んで全快したのか、どの駅弁が良いだとか、どのバスガイドさんのいるバスで帰りたいだとかで、
また一悶着起こしそうなデス・アダーの大声を何処か遠くに聞きながら、ふと視線を窓の外に向けた。
「…………あ」
まったくの偶然だと分かっているが、まるであつらえたようにとある人物が視界に入り、視線が止まる。
視線の先には浴衣ではなく青い法衣に身を包んだ寝不足の元凶の姿があった。
一瞬、ドキリとして視線を外そうとしたが、そちらのほうが意識しているようで数秒判断が遅れる。
その数秒の間に視線を感じたのか、背中を見せていたゲーニッツが振り返った。
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