だんだん強く
2010/10/08 Fri
m25
そんな葛藤を顔に出さぬよう、面白みのないポーカーフェイスを貼り付けていたら、
ジェネラルがゆっくりと低い声で、困ったような声を出した。
「私はな――、長年荒事ばかりに携わってきて、こういった時、なんと返せば良いか知らないんだ」
「パーフェクト・ソルジャーともあろう、貴方が何を弱気に」
「茶化さないでくれ、オズワルド。今、口説き文句に頭を捻っているところだ」
「―――――」
オズワルドは確かに言葉を失った。
サングラスで隠している瞳は大きく見開いて、唇も薄く開いてしまう。
ポーカーフェイスなど、もう作ってはいられなかった。
じわりと眼窩が熱くなった気がして、ハッと我に返るとソーサーごとカップをテーブルに戻す。
出来るだけ無駄な動作を間に挟んで、己を落ち着けながら、吐息のような呼気を漏らした。
「―――奇遇ですね。私も、………クライアントと連絡が取れなくなってからそればかりを考えていました」
いささか早口で言い切ると、ジェネラルが伏せた視界の端で笑った。
音も無い、穏やかな微笑だった。
その笑みを真っ直ぐに見つめたくて、奥歯を軽く噛んでから下がっていた視線を持ち上げる。
「ショウ・ダウンかな、………いや、これからゲーム・スタートか?」
芝居がかって口にするジェネラルはどこか楽しげだ。
オズワルドは眦の熱を笑みに変えて、小さく笑気を添える。
サングラスに指を掛けると、ゆっくりと引き抜いて自分も裸眼を晒す。
やはり、ジェネラルは直に見たほうが良い。
「………ここで一度、お互いの手札を明かしてみるのは如何でしょう」
「明かすまでもないな、最初から貴方の勝ちは決まっている」
「チップよりも欲しいものが出来たので、勝てるかどうかはまだ分かりません」
こみ上げてくる感情に負けて、引き分けの見えている勝負を茶化す。
カタ、と静かにサングラスをカップの隣に置くと、ジェネラルの手がテーブルを越えて伸びてくる。
あの時と同じ、傷だらけの暖かい掌だ。
そっと、オズワルドの頬に触れながら、ジェネラルは椅子から腰を持ち上げる。
「貴方になら負けても良いと言ったんだ」
唆すように間近で告げられて、今度こそ誤魔化しきれないほどの熱が眦を襲った。
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ラウンド・コールは高らかに >>
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