だんだん強く
2010/10/08 Fri
m25
きっと今回も修復不可能なほどに壊れているのだろう。
これで通算七度目の失敗だ。サングラスも六回買い換えた。
いや、今回も買い換えることになるだろうから、七回目になるだろう。
仕事中、休暇中、任務中、と正当な手順を踏んで、今回は休息中を襲った。
軍内に宛がわれたのだろう建物の最上階を居住区として使っているという情報を仕入れたのだ。
進入までは容易かったが、やはり仕留める段階になると難易度が跳ね上がる。
簡素で四角い部屋で眠るジェネラルは何時もの軍服ではなく、
支給品かもしれない白いシャツを羽織った軽装だった。
油断はしていたと思うが、それでも仕留め切れなかったのだ。
足音を殺し、近づいたはずなのに、後一歩のところで間髪入れず投げられた。
その後は六度あることは七度ある、――推して知るべしである。
「……そんなに浅い睡眠では、逆に疲れるでしょう」
「君にとやかく言われる義理は無いと思うが」
少しばかりよれたシャツを直して、寝台に戻るジェネラルが笑った気配を感じた。
ジェネラルは白いシーツの上に足を組んで座り、手元のスタンドライトに明かりを灯す。
そこでようやく、白いシャツ以外も認識できるようになった。
ラフな軽装に下ろした金髪、何時も見る厳粛とした姿とは一線を画している。
「私はそれなりに休んでいますよ」
「そうだな…、それでは君を待っていたとでも言おうか」
「閣下にしては分かりやすいブラフですね」
皮肉を込めて閣下などと呼んでみても、密やかな笑い声にあしらわれるだけだ。
オズワルドは僅かな明かりの中でも、こちらを見ているジェネラルと視線を合わせた。
「やはり、罠でしたか」
「いいや、君の知り合いの腕が良いだけだろう」
軍事機密であるはずの内部情報、胡散臭さはこれ上ないほどあったが、
無視することが出来るほど、オズワルドにも手段が残されていなかった。
まるで若い頃のように思い切ったことをしたものだ、と思いながらも、
そろそろ、使えそうなカードが尽きてきたのは事実だ。
どれがジェネラルにとってのジョーカーなのか分からないまま、
ポーカーフェイスと経験だけを盾に駆け引きをする。
今ではその綱渡りに若干の興奮を覚えてしまっていた。
自覚したくはないが、ジェネラルに逢うことが段々と楽しみになってきている証拠だ。
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