オールイン
2010/10/02 Sat
m25
強く塞いだ視界の中さえ侵略してくる手際さは素晴らしく、華々しい戦歴を重ねるジェネラルの目からみても流石の一言に尽きた。
思考をオズワルド一色に染め上げられたジェネラルは、心を乱す己の未熟さを呪うと同時に、八つ当たりのように非難の声を飛ばした。
「何がしたい、何を変えたい。私は貴方の友人だろう……ッ!」
必死に言い募るその声には焦燥が含まれていた。
そして、ジェネラルには珍しいことに、僅かな苛立ちも。
その事に気付かず、ジェネラルは糾弾の声を続けた。
「―――傷だらけの軍人をからかうにしても手口が汚いぞ…っ」
からかうだけのつもりにしろ、度の過ぎた悪戯にしろ、頗る性質が悪い。
こちらが真剣に抵抗しないのを良い事に散々心中を乱してくるなど、フェアでないにも程がある。
ジェネラルは現役の軍人だが、オズワルドは一線を退いて久しい元暗殺者でしかないのだ。
かつては名うてであっても、ジェネラルが真剣かつ本気で抵抗すれば、その身に傷をつけることは容易い。
そんな葛藤すら老獪な紳士は目を細めて笑うのだ。
どれほど否定し拒否しても、結局は心底愉快そうに喉を鳴らしてジェネラルを笑っては繰り返し口付ける。
慈しむような手つきと、堕ちていくジェネラルを嗤う瞳。
その全てを裏切るように熱い唇は、ジェネラルの矜持も意地も看破して降り注ぐ。
かと思えば、こちらがどれだけ身構えようと、気が乗らなければ平気で何日も顔すら合わせない。
全てがオズワルドの思い通りだ。
パーフェクト・ソルジャーだの最強の尖兵だのと散々賛辞を贈っておきながら、
その実、完璧でも不敗でもないジェネラルで遊んでいるのだろう。
さながら、オズワルドお得意のカード・ゲームのように、
ワンペアの役すら作れずにいるジェネラルのフォールドの声を待つかのように。
只の戯れでしかないのだと、ジェネラルがどれ程の苦痛を伴って飲み込んでいるのか知りもしないで。
「……………」
熟考の果てに辿り着いた答えに、ジェネラルは今度こそ声も出せず硬直した。
次いで、まるで世界中の電子情報が脳に及ぼされたかのように、思考は混乱を極めた。
片手で口元を押さえ、そのままズルズルと椅子に凭れ掛かる。
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