QLOOK?A?N?Z?X????

オールイン

2010/10/02 Sat
m25


ぼんやりと何度かそうしていると、いつの間にかカップの茶は底を尽きた。
ジェネラルはポットから紅茶を注ぎ淹れるも、どうにも気が乗らない。
僅かな逡巡ののち、横に用意している小瓶から砂糖とミルクを取り出し、紅茶に落とした。
透き通った紅茶にミルクが混ざり、子供の肌のような色へと変じていく。
湯気に混じり、砂糖の甘さがふわりと香る。
口に含めば、いつもとは違った味が広がり、磨耗した神経を優しく癒してくれた。
ジェネラルの弛緩しきっていた頬が、僅かに持ち上がる。
気分を変えてミルク・ティーにしたのは正解だった。

『セイロンはミルクと相性が良いそうですよ』

不意に、そんな言葉を思い出した。
さて、誰に聞いた話だったか。と、ジェネラルの視線が僅かに天井を向く。

「―――あぁ、彼か」

少しの間のあと、ジェネラルは吐息のように声を漏らす。
細く、器用な手を持つオズワルドは基本的なことは卒なくこなす。
彼の紅茶はジェネラルの舌を満足させるもので、舞織とは違った美味しさを感じられた。
あの奔放な企業に勤めているとあれば何でも出来る、というのは必要スキルなのかもしれないが、
紅茶の淹れ方まで心得ているとは恐れ入る。
皮手袋に包まれた指が手馴れたように紅茶を注ぎ、ジェネラルへと差し出す姿はとても堂に入っており、
きっと社内でも振舞っているのだろうと見て取れた。
一口飲んだだけで神経を包むように香る茶葉の匂いが心地良く、ジェネラルは今のように頬を緩ませた。
その頬を冷たい手が捕らえ、笑んだ顔が近づいて――――

「――――ッ、何を考えてるんだ私は!!」

がちゃん!と、ジェネラルに有るまじき音を奏でながらティー・カップをソーサーに叩きつける。
頬に上がってくる熱をどうにかしたくて、手の背で目元を拭う。
目元と、手の触れ合う感触に、再び記憶は蘇る。
今のように頬の熱を厭うたジェネラルの手を手袋を外したオズワルドがとり、その爪に、壊れ物のように優しくキスを落とした。
狼狽するジェネラルを小さく笑んだ後、赤いサングラスを外して――――

「――――――〜〜〜〜ッ」

ジェネラルはゴン、と強くテーブルに額を打ち付けた。
そのまま何度か頭を打って記憶をどうにかしてしまいたかったが、
ジェネラルの思考に住み着くやんちゃな紳士はそんな抵抗すらも手玉にとってくる。

[7] << [9] >>
-
-


<< Awesome GOD
貴方と視線の争奪戦 >>
[0] [top]


[Serene Bach 2.23R]