オールイン
2010/10/02 Sat
m25
けれど。
『――――……申し訳ありません。少し…浮かれていたようです』
ジェネラルが距離を取った直後、オズワルドはハッと、我に返ったように笑みを消した。
次いでその顔に浮かんだのは、自責に満ちた苦笑だった。
そのあまりに苦しそうな微笑に、言い知れぬ罪悪感が腹に溜まる。
酒に呑まれたのはオズワルドの責だとしても、長年の友である彼にそんな顔をさせたかったわけでは断じてない。
何ともいえない焦燥がジェネラルを苛んでいる間にも、ジェネラルの肩に掛かっていた手は離れ、今まで懐いていた唇は余所余所しく離れていく。
それを、嫌だと。
その時のジェネラルは確かにそう思った。
同時に、どうして良いか分からず固まったが、決して接触が不快だったわけではないとも。
だから、ジェネラルにしては珍しく、後のことを考えずに口を開いた。
『嫌では、なかったぞ』
『………閣下…?』
『貴方だから、だと思うが…不快ではなかった』
そう告げた唇はそのあとすぐにオズワルドに奪われた。
事の発端を思い出し、ジェネラルは頬に熱を上げた。
素面であれば、拷問をされたって言わない台詞だ。
酔っていたのはオズワルドばかりだと思っていたが、自覚がなかっただけで自分も相当呑んでいたのだと
気付いたときには既に遅く。その夜は散々口付けをされて、羞恥で頭が飽和しそうだった。
「…アレで終わると思っていた私もまだまだ、だな…」
結論から言うなれば、最初の口付けは酒の勢いが原因だった。
お互い酔っていたのだから、酒に流して忘れることも可能だったし、
仮に記憶があったとしても忘れたフリをするくらいの礼儀は弁えている。
と、いうよりも、忘れたフリをするほうが円滑な人間関係のためである。
何より、ジェネラルにとってオズワルドは長らく親交のある友人なのだ。
そんな相手から口付けされたことも、それに過剰に反応して耳まで染めた記憶も、出来ることなら全てを封じてしまいたかった。
しかし、オズワルドはそれを良しとしなかった。
酒席の翌日にトーナメント会場で出くわし、何食わぬ顔で雑談をしていたと思ったら、人通りが絶えた瞬間を狙ってキスを落とされた。
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