オールイン
2010/10/02 Sat
m25
一体いつからだったか。
ジェネラルは自室で紅茶を飲みながら思案にふけっていた。
思案の中心を陣取るのは此処のところずっと決まっている。
やんちゃなカード使い、オズワルドだ。
…正しくは、オズワルド個人ではなく、彼の行動によってジェネラルは胃を苛まれている。
「―――なにが楽しいというんだ……」
はぁ、と、重苦しい溜息が室内に落ちる。
見るものが見れば、ジェネラルの周囲に暗雲が立ち込めているのが分かるだろう。
ジェネラルはもう一度息を吐くと、ティー・カップから手を離した。
口元に僅かに温まった指を運ぶと、アールグレイの残り香が馨る。
「………」
指先に感じる唇は硬く、取り立てて熱はない。
けれど、その場所が何処よりも熱くなる瞬間を、ジェネラルは知っていた。
ほんの数時間前も、その場所は燃えるように熱かったのだから。
「……本当に、何が楽しいんだ……」
胃を苛む痛苦によって、その呟きはジェネラル自身にも聞き取りづらいほど沈んでいた。
最も古い記憶は、酒席。
酒に酔ったオズワルドが、ジェネラルの頬に戯れで口付けたのだ。
『―――オ…オズワルド…?』
酒に弱いと自覚があるジェネラルはそこまでの深酒はしておらず、理性も確かだった。
だから、突如オズワルドの顔が頬に近づいたことにも驚いたし、その唇が頬に触れたことにも大層驚いた。
オズワルドは酔っ払いの例に漏れず、自分が何をしているかの自覚が薄かったのだろう。
ジェネラルの驚愕に気付く素振りすら見せず、笑みを浮かべたまま二度三度とそれを繰り返しジェネラルの度肝を抜いてきた。
あまりのことに長らく硬直してたジェネラルは、頬に触れる唇と微かなリップノイズに我に返ると、咄嗟にオズワルドから距離をとった。
それはジェネラルにしては酷く露骨な仕草だったが、ある意味では立派な正当防衛である。
頬にオズワルドの唇が触れるたびに心音が加速して妙な鼓動を打ち始め、
今まで和やかだった酒席が一気に違う色に変化しそうな気配を感じ取ったのだ。
酒のお陰で巡りの良くなった血流に乗るように羞恥が身体を駆け巡り、正直そのままいつものワープで逃げ出したいほどだった。
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