空枕
2010/09/19 Sun
m25
仕方ない、というポーズを取ってはいるが、内心は会うのが楽しみなのだろうというのはジェネラルにも分かった。
師弟であったのは短い間でしかないと聞かされてはいるものの、それでも弟子が可愛いらしく、
いっそ大人気ないほどの構い方をしているのを幾度か見たことがある。
ジェネラルが快く頷くと、オズワルドは心底嬉しそうに微笑んだ。
『閣下のそういった―――私の大切な存在を尊重して下さるところが、とても好きです』
『……オズ、早く食べたまえ。折角の食事が冷める』
『ふふ、そうですね』
流れた空気が気恥ずかしく、ジェネラルは視線を泳がせながら食事をせっついた。
それに乗りながらも、オズワルドは笑みを一層深めてから、ようやく料理に手をつけ始めたのだった。
心音が三百を越えたのを機に、ジェネラルは瞼を押し上げた。
闇に慣れた目で室内を浚うが、瞼を閉じる前となんら変わらない光景が広がっているだけで、
ジェネラルは落胆したようにベッドに沈んだ。
何度目かも分からない寝返りを打ち、何度目になるかも分からない吐息を吐き出す。
「…………」
じわじわと、胸に広がる不快な感覚はオズワルドを片割れに得てからよく見舞われるもので、
それが何かを知っているジェネラルは眉間に盛大な皺を寄せた。
「―――……『大切な存在』……か」
呟いて見れば、それはジェネラルの予想以上に胸の不快感を煽った。
ギッと、鋭く天井を睨みつけ、次いで、そんな反応を恥じるように腕で目元を隠した。
この不快感の正体は嫉妬だ。
オズワルドの過去を知っていて、今なお『大切な存在』だと認識されている彼が羨ましい。
弟子だったというだけで、オズワルドの意識を奪っていることが腹立たしい。
そう、彼のことを心中で妬んでいると、唇が弧を描いた。
「……馬鹿馬鹿しい」
オズワルドが彼を想うのは親心に似た感情で、そこに恋情が伴わないのを知っているだろうに。
埒も明かない嫉妬に駆られる自身がひどく愚かに思えて、ジェネラルは小さく呻いた。
オズワルドが、複数の相手を同時に想うような軽薄な人間でないことくらい誰よりも知っている。
それでも拭えない不快感は、理性での理解に感情が同意していないからだ。
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