『ラブリー?』
放課後、教室でとある曲を聞きながら、ふと思いついて
大谷に聞いてみる。
「なあ、世界中を敵にしてもあたしの事を守ってくれる?」
眉をひそめ、大谷が聞き返す。
「つまり、オマエが人類最大の敵になったらちゅうことか?」
「ちゃう!」
否定の言葉を聞きもせんと、大谷が言う。
「それで、オレ相手なら小泉も油断するやろう、いう事になっ
て、オレは弱点の頭部に爆弾を落すために、戦闘機に乗り
込む。そして地上400mの高さから……」
「あたし、どんだけ巨大化してんねん」
「――ついに決着がつく。小泉は倒れ、オレは哀れに思い、
涙を流す。で、その後に塚が作られる、怨霊となって復活せ
えへんように」
「平将門か」
すっかり脱力して、机に突っ伏して言う。
「……て、もうええ。どうせ、あたしらはこんなアホ話がお似
合いやねん」
あたしの頭を大谷のアホがぽんぽんと叩く。
「なあ、拗ねんなや」
「もう、知らんもん」
「なあ……オバアになってもキスしたるから」
「え?」
あたしは顔をあげて、大谷の顔を見たろ思うたけど、大谷
はさっと背を向けてて、その格好のままで、あたしに言うた。
「はよ、かえろ、カラオケ屋よってこや、海坊主と……テゴ
マスも歌ったろか?」
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