今日はレンタルビデオ店に行ってきた。
夕鈴ちゃんの娯楽が無いということに気がついたボクの、ささやかな心遣いだ。
きっとこれで夕鈴ちゃんも少し元気を出してくれるはず。
部屋に入ると、夕鈴ちゃんは冷えきった目でボクを見た。
「夕鈴ちゃん、ただいま。いい子にしてたかな?」
「………………」
「ちゃんといい子にしてたようだね。ボクも安心したよ」
手錠でベッドに繋がれてる夕鈴ちゃんを見て、ボクは借りてきたビデオをデッキにセットした。
「今まで退屈してたでしょ?だからビデオでも見て、楽しんでよ」
ボクは夕鈴ちゃんの横に座ると、テレビ画面を眺める。
再生が始まった。
『ある教師の情事』
画面にタイトルが映し出される。
途端に夕鈴ちゃんの表情が強張った。
「こ、これは……」
「君を元気付けるためのアダルトビデオだよ。どう?少しは元気出たでしょ」
ボクは得意げに言ってやった。
どこかの週刊誌で落ち込んだ女性を励ますにはアダルトビデオを鑑賞させることが一番だと書かれていたのを思い出したため、それをすぐに実行に移したのだ。
どうしてもっと早くに気がつかなかったんだろう。
自分の愚かさを悔やんだけど、結果オーライってことでよしとしなくちゃね。
でも……
夕鈴ちゃんは何故か目を背けてテレビを見ようとしなかった。
やっぱり、ちょっと照れてるのかな?
嬉しくないはずはないので、ボクは毎日違うAVビデオを夕鈴ちゃんに見せてあげることにした。
これで少しでも夕鈴ちゃんの元気が出れば。
悩ましげな声が聞える画面を前に、ボクは心に堅く、そう誓った。