「それじゃあ葵、私帰るね」
着替え終わった若葉は、荷物を持って俺を見た。
時刻は夕刻。空はオレンジ色に染まり、夕陽が部屋の中に差し込んできている。
「今日はいろいろと……その……ありがとな」
俺が礼を言うと、若葉はにっこりと微笑んだ。
「どういたしまして。ちゃんと部屋はきれいにしとかなくちゃダメよ?」
「へいへい。わかってるって」
「もぅ、本当にわかってるのかしら?」
若葉は溜息交じりの言葉を言う。
しかし、すぐに頬を赤く染めて恥らいながら言葉を続けた。
「また……部屋の片付けに来てもいいかな?」
「ああ、別にいいけど。っていうか、若葉だったら大歓迎だ」
俺が答えると、委員長は満面の笑顔を浮かべながら言った。
「約束よ」
それは、俺達の仲を結びつける、とても大切な言葉になった。