抜粋
「俺のこと、どう思ってるの?」
「好きだよ」
--------(中略)--------
「こんなふうに触りたいと思うし……」
藤井が俺の顔を覗き込む。髪を撫でていた手が、頬に滑ってゆっくりとそこを包んでくれる。
「抱き締めたいとも思う」
頬の手が今度は首の後ろに回り、そのままかなり強い力で抱き寄せられた。
「キスだってしたいし……」
一度強くぎゅっと抱かれてからゆっくりと拘束を解かれて、藤井の顔が目の前に降りてくる。そのまま近付いて、羽のように軽く唇が触れた。
そのまま彼は何かを言い淀んで俺をまた抱き締める。
「キスしたいし、何?」
俺はその先が聞きたい。だから藤井の胸の中で、下から顔を覗き込んで先を促した。
「抱きたい。セックスしたいって思ってる」
言い終わった後、藤井は長く息を吐いた。
自分で言わせておいてとは思うけど、はっきり言われるとやっぱり気恥ずかしい。それでもその恥ずかしいと思う言葉でさえ、嬉しいと感じたから。
「いいよ」
だからおれは長く間をあけることなくそう答えていた。
藤井が、息を飲むのが分かった。背中にまわされた手に力が入っている。
「俺はいいよ」
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