抜粋
「俺が君みたいな美人、忘れるとでも? ひどい言い掛かりだ」
さも心外だと言うように裕一は肩を竦める。そんな仕種の一つ一つがいちいち芝居がかっているように思えたが、怜は取りあえず何の感想も告げずにやり過ごす。相手がその笑顔の下で何か計算をするのを感じたから、その先を読もうと頭を働かせる。それでも取りあえず、次の一歩には進んでおくべきか。
「そう? じゃあ、今日はお詫びにずっとつき合うよ。……って、僕がそうしたいんだから、お詫びにはならないんだけどね」
クスクスと笑う怜を。裕一もまた楽しそうに見ている。
それが、二人の事実上の二度目出会い。
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