抜粋
気迫が通じたのか、思いきったのか、はたまた己の欲求にやられたのか。自らの手と、オイルと、その指が行くべきだとされている場所を見比べておびえすら見せていた諸岡は、恐る恐るといった様子で手にしていたもので指を潤す。そうしてそっと、やっとたった一本の指を後ろに沈めた。それだけで、高野の咽から喘ぎにも似たため息がもれ、諸岡はごくりと咽をならす。
その声を聞いて諸岡の動きからためらいが綺麗になくなった。知らず反り返る体も、押さえることが出来ない声も、全てを諸岡が喜んでいるのが触れあう体で分かり、高野もさらに熱くなる。
「………っ!」
まだ十分とも言えない状況で、諸岡が動いた。ごめん、と近付いてきた唇が漏らし、無理矢理に高野の中に押し入る。
「ま……、てっ……まだ、………」
「ごめん、止まんない」
動くな、と言う高野の声は諸岡の唇に吸い取られた。
引きつり、こわばる体をがっしりと押さえられ、声も、息すらも飲み込まれて高野は苦し気に首をふる。
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