抜粋

『お疲れ様です、“氷の守護者”』
 そして出てきた第一声に翔は思わず通話を切りそうになる。いまのはなんだ? あいすがーでぃあん?
『切らないでくださいよ、早川さん。今のがあなたに与えられたコードネームです』
 ちなみに拒否は出来ないようですので諦めてくださいねと。あっけにとられるような出だしからで翔は呆然とする。一体何故そんな名前になったのか。そういえば玲は“幻惑の音使い”、樹は“砂神の使い”とかなんとか呼ばれていた。その一環ということか。
『別に害はありませんよ。あだ名だとでも思ってください。で、本題ですが。先ほど明日菜さんの方から要請があったと思いますが、犯人の特定が出来ました。おびき出す方法も準備中ですので、申し訳ないですがそちらの話が終わったらもう一度こちらに戻ってきてください』
 ではあとで、と。翔が質問をかえす間もなく電話が切れる。呆然としていると篠原がどうしたと見上げてきた。
「……仕事みたいです」