報 告 書  




 聖 獣 



■その生体はほとんど知られていない。獣と名を付けられているが、実際にどんな姿をしているのかをはっきりと知るものは居るのかすら分からない。

■それは、多くの場合人の姿を取って現れる。たいていは見目よい青年の姿だ。男の事も女の事もあるという。今までの報告ではそうして一人の人を主とし、それに仕えて過ごすとされている。

■その主に選ばれたものを数名調査する事が出来たが、彼等に共通項を探す事は難しい。年齢も出身地も学のあるなしも。出自もすべてばらばら。サンプルが少ないと言う事もあるかもしれないが、それにしてもと言うほどにばらけていた。

■ただ一つ共通点と言えば、その全ての人に何らかの痣がある事。それは生まれついての場合もあるし、急に浮き出てくる場合もある。だが、痣があるからと言って聖獣の主と慣れると言うわけでもないらしい。この年、存在が確認されている聖獣は近隣国を会わせて、たったの二体だけである。




聖獣譚TOP