発火エゴイズム

                  着火完了 秒読み開始 導火線は電光石火 ドカンとイっちゃえ!



−−−  どうしたもこうしたも、ンなの俺が聞きてぇよ! バーカ!

−−−  あーやだやだ、見物なら愉しいけど巻き込まれんのは勘弁だわホモの痴話喧嘩!!

−−−  いやさっぱりわかんねぇし、だから俺、けどよ、言わねぇ事は、俺、わかんねぇし


                    火花散る 火花散る 火花散る 火花散る 火花散る 火花散る  

  **


 カワノが女に告られた。 

あぁでもそりゃ、ちっとも不思議じゃぁない。 ウスラで、ダサくて、金もねぇけど、アレはそれなりモテ筋らしいし、言いたくねぇけどアッチも巧い。 かぁ〜腹立たしい! んなこと、知ってる自分に、カンカン。 腹立たしいのは、告られたとか、そんなじゃない、あいつは隠した、嘘を吐いた、なんで? どうして? 言やぁいいだろ、いつもそうだろ、告られました〜断りました〜、んでもって俺が、ヨシ来たチュウ!!で、めでたしじゃん。 したら、今度はめでたく無い訳? めでたいっつうか俺的にゃバッド、訳有るんだろ? どうなってんだよ! 言えよ、カワノ!



 そんで、アタシ? 

アタシに言うわけ? 馬鹿よ、アンタは、て言うか惨めね、友達居ないの? まぁ、そうでしょうね、まともな友達わざわざ呼んで、ホモの御悩み相談するほど、あんたも常識外れじゃないのね? じゃぁさ、なに? アタシはなに? あはは、馬鹿ねぇ、嘘よ、嘘。 アンタ達には悪いんだけど、アタシはとっても愉しいの。 さぁ、お言いなさい、聞いてあげるわ、カワノが何よ、浮気でもした?・・・え? 図星?・・・不憫なホモねぇ、あら、怒ったの? でもね、だって、カワノはもともとノンケで、そう云う展開あったところで不思議は無いわ。 そんで、アンタはどうするの?



ミシマが3日も口利かねぇ。 

もともと色々、やる事突飛でワカンネェけど、今回なんだか俺絡みっぽいし、けど俺、一体何したんだろ。 帰って来ても、メシ喰ってても、ミシマは激しくシカトをしてるし、理由聞いても言わねぇし、てか、すげぇ目付きでガン飛ばされちゃったし、俺にはさっぱり、わかんねぇよ。 一個あるのは、先週のアレ。 バイトの女に俺、告られた。 けど、断ったし、好きな奴いるって、あぁそりゃ流石に、それ男だとは言わないけれど、でも、きっぱりとお断りした。 立派じゃないか、奴への愛を通したじゃんか。 だったらなんだよ、あぁ、わかんねぇ。  『てめぇに聴いとけ!』 さっきミシマが言い捨ててった。 俺は、一人で御茶漬け喰った。 



  **


−−− アハハマジ受ける! それ、いわゆるデートってやつ?

−−− ハイハイそりゃ結構、普通はそうだろ?普通はそうだろうが畜生ッ俺は認めねぇし!

−−− いや、そういうんじゃ、そういうんじゃないけど踏み外したってか、飛び越えたってか・・・・・・


   **


 あぁそう、ふうん、よくある話ね。

カワノ、その子と会っていたのね。 でもってアンタはカンカンなんだ、良いじゃあないの、一回くらい、たまには別のに入れたいんじゃない? ち、ちょっと、嫌だ、やめてよ大人気無いわね! 人のコーヒー一気してさぁ、アンタだいたいコーヒー嫌いの筈でしょッ!? あ〜ムカツク!! ハイハイ、アンタは床上手なのよねぇ、イイワねぇ〜、それで? え? その子、そう云うタイプじゃないの? 地味? 眼鏡? けど可愛いって、あぁ、ミシマ、アンタ諦めなさい、その手の女は、ある意味最強、女に言わせりゃ魔性系。 カワノにとっちゃあ社会復帰で、アンタにしてみりゃ仕切り直しで、まぁね、人生長いんだから、次の恋でも捜したら? そうと決まれば、失恋パーティ、大いに食べて、飲みましょうねぇ、で、此処、アンタの払いでしょ、当然よね。



 畜生、キシめ、あの鬼女!

死ぬほど飲み食いしやがって、それでなくても心が痛い、ブロークンハートの俺なのに、懐までが激痛走る。 不憫よねって、キシも言ってた、あぁマジ不憫だ、俺、報われねぇ。 ノンケのカワノを、虎視眈々と、狙って狙って、接近狙って、あの手この手で終いにゃ、いわゆる逆レイプもどき、かましてハッピィ良かったね! なのに、あぁ、ツケが来た。 そういや、そうだよ、俺、聞いてねぇし、アイツの気持ち、聞いてねぇし、アイツも俺に言わねぇし。 あぁ、でもどうよ実績はあるじゃん、カワノてめぇからキスすんじゃん、それだけじゃねぇ、ときどきガバァっと来やがるじゃん、それって愛? 単に快感? ま、要するにオレは、アッチも良いらしい、ヨシ! って・・・簡単にいくかよ、違うだろ?違う、世の中あまかねぇよ! やっぱりカワノ、女に行くか、魔性だもんな、敵の眼鏡は、したら俺って失恋決定?いや 駄目! 許さねぇ!! それ却下!



 バイトの仲間と、ちょっと喋って、遅れて戻るとミシマが起きてた。 

暗い部屋で、テレビつけてて、でもアッチ見て、怒ってるよりも、泣く前みたいな、珍しい顔のミシマが居た。 相変わらずの、シカトだし、でも、一応声でも掛けようとしたら、おもむろミシマ、足首掴んだ。 転がる俺。 

  「楽しかったか? 時間も忘れる甘い時間を魔性の眼鏡と過したってか?」

なに言ってんだよ、お前変だよ。 

  「変で結構、オレはこのまま、ずっとこうだよ、だからお前はすっきり忘れて、真っ当なトコに行きゃ良いじゃんか!」


お前が変っての、それ、まぁあるけど、でも、ミシマ、お前なに? え、泣いてるの? え? 魔性系? わかんねぇなあ、眼鏡? 眼鏡ね、あぁ、バイトのアレ? あぁ、言ったじゃん、告られたのも、断ったのも、言ったけど、何、それ、その後、未だ何か有る? 先週の金曜? うん、バイトだよ、そんで何、え? 目撃証言? 俺が? デート? 彼女んちの前手ぇ振ってたって? 

・・・・・・・・イイか、よく聴け、アレはな、防犯対策店長命令。 そうだよ、命令、ほれ、ちょっと前、この辺レイプの未遂があったろ、犯人未だ捕まってないやつ、アレ、被害者はバイトの帰りの高校生とかで、そんで持って、ひと気の無い道帰る、女の子を帰り、送ろうってやつ。 あの子はここらで近所なもんで、俺が担当そんだけだって。


なぁミシマ、オレは、おまえと付き合い、後悔なんてのしたこたねぇぞ、そりゃ戸惑ったし、未知の世界だ、けどよ、踏み外したとは思っちゃいない。


ハードル越えた、そんな感じ。


   **


−−− 全部寄越せ!でなきゃ全部、捨てちまえ!

−−− 愛してる、あるのはこんだけ、それじゃぁ駄目か?

−−− ダァア〜〜〜ッ、やってらんない、でも、まぁいいわ、面白かったらアタシはイイの!


                                       **


 カワノに抱きつきカワノに抱かれてカワノに触ってカワノに触られ、オレはカワノでパンっと今にも弾けそう。 

余裕も無いし、ちょっときついし、久々だよな、でも、欲しかった、どうにもこうにも、カワノが欲しくて、手放すなんて、出来そうに無くて、なぁなぁカワノ、言ってくれよ、言葉をくれよ、安心させろよ、全部寄越せよ、俺にくれよ。



 ミシマを抱き締めミシマを味わいミシマを煽ってミシマに嵌る。

持ち物なんて、元からねぇよ、有ってもお前に渡しちまったよ、全部遣るし、全部いらねぇ、そのかし、お前は全部俺のだ、誰にもやんねぇ、俺だけのもんだ、言葉? 証? わかんねぇけど、俺にわかるのは一つきり、 オレはお前を愛してる。



 ああああああ、そうなの? ハッピィ?  あらまぁめでたい事ねぇ! 

ラブラブなんでしょ、は〜そりゃどうも、ご馳走様だわ、そんでなぁに、末永くって? あ〜あ、やれやれ、まとまったのね、ハッキリ言って、つまんないわよ、わざわざ大事な時間を割いて、アタシはホモの、惚気を聞くわけ? あ〜最低ね。 わかったミシマ、アンタHP作ると良いわ、 「僕と彼の愛のぺぇじ」 タイトル決定フォト満載で、日々惚気合うリアルなゲイドキュメント、そしたらアタシ、書き込みするわ、ハンドルネームは 『馬元気』  あはは、嬉しいでしょう?! きちんとレスしてねッ!!



          着火完了、秒読み開始、導火線は電光石火、僕らは火花、もう止まらない、
          あぁかまやしないさ! 勝手に遣るさ!! 





                            愛ってそうだろ? エゴイズム












July 30, 2002



* 『発火エゴイズム』佐倉様 リニュおめでとう、20000Hitおめでとう御座います       という押し付け作文だったと言う過去。



              ちょっと、加筆修正済み。