寿・汁だく・ウェスタン
                                     
                                 


                ヒャァッッホォ〜〜〜ォゥッッ!! 


      サボテンの緑、バンジョーの響き、イナナキいきり立つ暴れ馬。 

見ろよ! 酒場の美女ブロンドのシルビアが、エッチなお眼目で俺の勇姿に釘づけよぅ!! 
して、砂埃巻き上がりカゲロウ立つ荒野の向こう、片目の黒馬に乗り、鉤型の義手で手綱を操る不吉な影。 


 『デスアロ〜〜?!』

 鋳物屋の長老が腰を抜かして悲鳴を上げ、女・子供がそれに続き、蜘蛛の子散らして残る静寂。 皆、窓の奥、身を潜め、ヒズメの音に身震いをする。 今や近付きつつある二つの影、オレと奴の勝負を見守るのは底抜けの空、禿鷹と太陽のみ。 誰よりも死に近い白日の村外れ。 黒装束、死神みたいな男がニヤリ、地獄の言葉をオレに投げる。


 『フン、また逢ったな! マミアナ・ジョー!』
 『よぉデスアロ〜、似合うじゃねぇか、腕の金具は馴染んだかい?』
 『ッ、んだとォッ!?』
 『アハハ! いきり立つなよ、もう逢わねぇよ・・・・・ なぜならテメェは、ココで死ぬんだからな!!』


 強張る表情のオトコがふわっとブレタ一瞬、仰け反るオレ。 スチャッと放り投げた帽子のツバが華麗に宙を舞う。 が早いが横ッ飛びの中空、右手は電光石火で狙いを定めて連射、重なる銃声、崩れ落ちる男。 再び静寂。 

そう、勝負は決った。 奴は屍、禿鷹の餌。


 『と、思ったら、大間違いよぉ〜〜ん!!』

 え? お前、ナミコ? 何故? 

水色のタンクトップ、白地に刺繍のスカート。 ピカピカしたあぶなかしいサンダル履いて、アレはそう、最後に会った白木屋でのナミコ!! で、オレは己の手にしたソレが拳銃なんかよりずっと手に馴染む、ちゃちなダイソーの三文判だと知る。 


 『ツメの甘い男ねぇ!!  ゴックロウさんッ! あははははは!!』
 『な、ナミコ〜ッッ! お前、オマエは一体ナニをしていたぁッ?!』


 瞬時、時空を駆け抜けるオレ。 見えた! 見えたぜっ! 寿荘203号。 あぁもこうも積極的な素敵娘ナミコが差し出す、わかんねぇ紙切れに、酔った勢いお情けエッチのお礼にポンと判子を押しちまった、王様でノリノリで浅はかなあの夜のオレ! お、押すんじゃねぇ! 眼ぇ醒ませ! そらエライコトだっ! ニヤケるなぁっ! 目の前のおっぱいはこの際どうでもイイ! 誤魔化されるなぁッ押すなぁぁあぁッッ、押しちゃイヤァンッ!!


    ―――- 押しやがった、オレ。 ・・・・・・・ベリィフェイマス馬鹿野郎決定・・ 


 『そうッ! アンタってば、馬鹿野郎なのよッ!!』

黒馬に仁王立ちのナミコ。 

おい、ナゼ衣装が変わる? そりゃナースか? 白衣? 超ミニの白衣にガーター付きストッキング、それって売れっ子フードル、ナミコの仕事着。 あぁぐっとくる、オレはコレにメロメロであった。 

『あぁン! お口開けてぇ、コレ飲んでぇ! んふっ!!』

 そんなプレイにメロメロとろとろ、フードル娘をアンアン言わせて

『お注射しちゃうじょ〜〜!!』 

時に、青年医師だったオレ、が、しかししかし


 『サァ、ヤッテおしまい!!』

玄人向け一本鞭を手に、ボスキャラチックなナミコが高らかに命令。 途端にワラワラ現れた黒服の集団、どこかで既視感の全身タイツ。 ヒューヒュー騒いでる奴らに対して、メインアイティム百円ハンコ1ッ個じゃ為すすべもなく、遁走決定のオレ。

ヤメレ! ヤメレぇッ!  と、飛び道具かよ? ナンダよソレ、コエェよッ! 何の武器だよ、しらねぇよ、金なんかねぇよ、売るモンもねぇよ、! なんもねぇオレだから、お願いッ! プリィ〜〜ズッ! 許して! ヤメレッ! それはもうもうもうもう、勘弁してぇッ!!



                                           **




 転げ落ちる二段ベッド、ぐっしょり寝汗を掻いてるオレは 『ニィチャン、ココで薬はやめとくれよう!!』  と、諌められ静かにカタジケナイと頭を垂れる。 うなされた。 思いきしウナサレ巻くった。 そらそうだろ、オレは今朝、朝だけど夜逃げした。 ビバ俊足! 怪しいチンピラ二人を撒いて、ありえないスピードで突っ込んできたワゴン車を危機一髪で交わし、北のスパイの如く潜伏したのはココ。 悪名高いKt地区、昼尚薄暗い駅のトイレチックな臭いのする簡易宿泊所。 ここでのマイルームは一階北側二段ベッドが並ぶ大部屋、ルームメイトは蹲る老人と独り言の黒い人と、話し好きの臭い人。 

 素敵な仲間と新しい僕の門出に乾杯! 


 件のナミコはまんまと400万を踏み倒し押し付け、プリンセステンコウ並みの手際良さでスルリ何処へと消えていった。 そしてしっかりハンコを押しちゃたオレは、怖い人たちが血眼で捜してる本日の主役。 ヘタすりゃ一生追われるかもしんない哀しい身。 「覚えてろよぉっ!!」 ッてあんた2時間ドラマか? と、突っ込む余裕すらなかった掟通りのチンピラの台詞。 大丈夫、覚えてるよ、忘れないよ、あぁどうしよう! 空腹に悶え、取り敢えずの朝を待ち、オレは彷徨う、カラスがポリ箱ツツク街角。 朝日なんかオレにはもう似合わない、サヨナラ昨日までのオレ。


 『ンじゃぁ〜〜、こっからぶる下げてっから、ヨコたてヨコたて、ハァ、いっか?』

 ヘロウ! 今日からのオレ!

 オレは体当たり就職活動にマンマと勝ち進み、今まさにビル15階、宙吊り決定。 手を振る先輩ジジイに見守られて、相方の剃り込み君と仲良く、これより3時間の空中ランデヴ〜。 見上げればビルのてっぺん、親指に似た歯っ欠けジジィが的確なアドバイス。 


 『お〜う、グラッとキちまっても下ァ見んなぁ〜ッ! 兄ちゃんら、チビッちまうぞぉッ!!』 

 ラジャ! ジジィ! 

 無口な剃り込み君は置いといて、オレはビル風に揺れるぶらぶらゴンドラにて、横縦横縦、へっぴり腰でワイパ〜を動かす。 やー下見るなっても、こら、ゴッツ、コエエよ。 売れない芸人レベルの罰ゲーム。 して、ヒュうと吹き上げる風にキンタマも縮み上がる恐怖 してこのビル、いやはやこのビルってばなぁんかヤバイよ、どうにも胡散臭い雑居ビル。 上ン方事務所で、真ん中張り紙だらけ、下三分の一がどうやら風俗臭いっていうか、うん、まさしくそれっぽい。 多分ビンゴ。

 ブラインド越しに垣間見るのは壁沿いにズラリ並んだロッカー、楽屋っぽいヒビいったデカイ鏡、ライト、化粧品ズラァ〜ッ、うわ〜オンナの園?! こう、そっちにアッチに脱ぎ散らかしたアレだのコレだの、や〜カタ付けらんない彼女ら、もしや働くオレの為? ね? ねっ? 

なぁ、剃り込み君、このバイト、まぁまぁ素敵だねぇ!!

『・・・ 自分、興味ないっス。』

そう、付き合い悪いのね。 

フンム、あの奥、あのドアの向こうがど〜やらお色気職場らしい。  うぅううんどうよ、せっかくだしさチラッとドア開かねぇかな〜、チラッと桃色ドリィム垣間見て、そんでキュキュゥっと寒さも吹っ飛び、ナイスでホットな充実の日給6000円。  あぁーオレ、結構この生活イケルかも〜!?  北風に赤い頬、吐く息白く、鼻息荒く、ン? 開いた! ドア開いた! きゃぁ〜バスロ〜ブのお姉ちゃん、やや? ちみっと熟女? ドンマイ軽く守備範囲! え? 邪魔、邪魔だよ、なんで野郎がくっついて、わぁ、グラサン黒服! ターボで柄悪そう!!

どうやら、オネェさま、なにやら黒服に説教喰らう様子。 

ふんぞり返った黒服は、煙草ぷかぁ〜、光って尖った靴のアンヨ机にドカァッ! おっと姉さん、怒鳴り始めたキレたか? 逆キレか? 灰皿投げるかオイ? とすかさずゲィイィ〜〜ンて、黒服改心のパンチ! さすがヤァ公、女相手に迷わずグーかよッ?!  あわわ吹っ飛ぶネェサン、あわわわ鼻血、あわわ予測不能のバイオレンスに思わずチビリそうなオレ。 蹲り泣き崩れる姉さんにトドメの蹴り入れて、ヒトデナシ黒服がブラインドをシュアァ〜〜ッッ。 グラサン外して ・・・・ チッ沁みるぜ太陽・・・・・ ってか? 

 ハッ?! 

 これって感動の御対面ッ!!


 『 ******** !!!*!』

 ――― し、借金取り!! 


 なんか言ってるなんか怒鳴ってるッ! 地獄の再会だよ忘れらんねぇよ凶悪細眼のチンピラAだよ、きゃー指差してる! 怒ってる! 怒鳴ってる! 窓叩いてガー怒鳴ってて、おぉッ?!マジですか? コレこの窓、中から開かんねぇの? 開かんねぇんだよ、ダハハ! ざま見ろヤァ公!  グッジョブ神サマッ! 

 ね、剃り込み君、なぁ一つ相談だよ、聞けよ、


 『そこの覗きはヤラねぇっス・・自分、ホモッスから』

 そ、そーなんだへぇ〜
・・・・・・・ え? いや、ココでそれカミングアウトされても、あの、イヤ置いといて、中断! ストップ! オレ、危機なのよ、コレ上に上げてッ、ジジイにそのトランシーバーみたいので連絡してッ! 実ぁボク、コン中の怖い人に猛烈狙われちゅう!! ッて叩いてるッ!激怒ってるッ!  助けてッ、協力しテッ!今日の分の日給、キミ、どどんと丸取りでイイから、ねぇ? ねっ!?

 『・・・・・金は・・いっス。  けど、1つイイっスか?』

 ナニナニナニよ? お兄さんに出来る事ってば、こう見えて極少だけども、マァ、言ってみなさいよ、


 『・・・・・・ ぉ、お願いしますッ! 自分、一目惚れっス! 惚れましたぁッッ!! カレシになってクダサァイッ!!押忍!!』

 押忍ッ!!       ぉぉ?!

 や〜ン! それはそれはアレでソレだけどもゴメンねボカァ〜おっぱいでメシ三杯いけるオトコで〜

 剃り込み君がジジイ直通レシーバーをちらつかせ、窓の中、取立て細目がオウマイガァッ! 回れ右で、あぁ、外回る気だよぅ!

 OK、剃り込み君! OKだ! 今日からボクを、ダ〜リンと呼びたまえッ!!

 『・・・自分、アナタをシヤワセにするっス!!』

 ハニカミ頬染めた剃り込み君とのアツイ抱擁に何か逆流しそうなオレ。 宙ぶらりんホモのオレらは、スルスルとゴンドラでお空のランデヴ〜。 抱きあうオレらを、歯っ欠けジジィが激励する。

 『カァッ! もぉ、しっぽりシヤガッタけぇ?!  がはははは!!』


 親指を立てるジジィに図らずも和み、逃亡直前なのに勇み足のオレ。 夢見がちな剃り込み君をスマナイねぇと押し退け、ヒョイと屋上降り立つつもりが、ピュウと吹き付けるビル風に足元がグラリ、ゴンドラがプラァンと揺れて、上げた片足は、片足が、ウッッソォオッッ!!  

 『  ひぃッ ・・・は、ハニィ〜〜〜ッッ!!』

 剃り込み君の、野太い悲鳴 ・・・・ つーかハニィってソリャァ・・・・  ッてコトより何より足元が、無かった。



                                      **



 埃臭い酒場の床、芋虫みてぇに縛られ転がされ、オレは鳩尾に長靴キックを受け小さく縮まって唸る。 容赦ない暴行を加え中の外人が二人。 ナマズ髭の中国人と赤毛の巨人。 陰険な笑みを浮かべて見下ろす二人は、痛みに気が遠くなりかけたオレに、ドバドバと生温いビールをぶっかける。


 『おネンネするにゃぁ、早いだろう? ふふふ、お目覚めかね? マミアナ・ジョー!』
 『おうおう! 酷いね! アンタ、酷いコトしたね! ワタチたち計画ダイナシよ!!』


 うッ・・・・・こいつはチャイナタウンのヤン大人! 武器の密輸に一枚カッタか? して、この赤毛は保安官! くっそうテメェもそっちのネズミだったか? ヒリヒリする目を瞬かせ、オレはジリジリと後ろに回した手首をくねらす。 見てろよ、縄抜けはガキの頃から仕込まれた。 チャールズタウンサーカスの孤児、蛇男ハリーに仕込まれココまでのし上がったこのオレの実力、とくと見やがれコノヤロ、この悪党ども!!


 ―――  なぁ、最後の頼みだけど、かまわねぇか?

 思いきり弱々しげな媚笑いを浮かべ、赤毛の長靴に擦り寄るオレはお願いをする。

 『タメヨッ! 命乞いは、タメヨ、タメ! タメ!!』

 鯰髭は非情だ。 が、赤毛は見ドコロがあった。

 『フゥン、言ってみろ、哀れだなぁ。 冥土の土産に聞いてやるサ!!』


 ―――  アッチに行く前にさ、キツイの一杯、飲ませてくれよ・・・

 タメ! タメッ! と意地悪いナマズ髭はまだわめく。 しかし赤毛の裏切り保安官は、埃だらけのグラスにドボリとテキーラを注ぎ、オラよと転がるオレに差し出す。 

 ――― ・・・・・・飲めねぇよ、もちっと起せよ 

顰めッ面の大男が渋々オレの身体を起し、しゃがみ込むその瞬間、至近距離のムサイ髭面めがけて、ブハァァ〜〜ッッ!! 口に含んだファイヤ〜ドリンク、ドップリ吹き付けスルリと縄抜けの完了!! 転げまわる赤毛、アオヅラで固まる中国人。  どうだい? 見たかテメェら、この早業をッッ!!


 『イデデ!イデデ、 謀ったなッ、卑怯だぞッ、この若造めッ!』

這いずる巨人をエイヤと蹴り上げ、利き腕の関節をテキパキ外して一丁上がり。  けれど勝負はまだ続く。 コンマ一秒、銃口は狙い外さず心臓一直ヤン大人へ。 もはやコレマデだなッ!悪党どもッ!  今日この瞬間が今生のお別れ、悪事の年貢の納めドキなり!!


 『卑怯者ッ!卑怯者! 卑怯な小僧はコマギレするヨロシ!』

 突如、巨大な半月刀を振り回すナマズ髭の中国人。 イナズマの如く弾き飛ばすはオレの銃。 ピィ〜ンチッ! がしかし怯むな、オレッ!! 悪鬼のような敵を華麗なカンフー技で迎え撃ち、チョチョチョっとかわしてバク転でカウンタ―裏へ避難。 

 『隠れても無駄あるッ!』

 隠れちゃいねぇし、武器には武器、刃物には刃物。 懐から取り出した七本のナイフ、天才ジャグジー宜しくクルクル宙を泳がせて、カツンと一本目は爪先、小指狙いにギャァ言う鯰髭を壁際に追い詰めて、手の平、手の平、極楽暢気な中国服に四本お見舞いして見事壁に縫いとめられた、出来損ないの見た目悪過ぎの標本。


 ヤッタぜ・・・オレはヤッテやったぜ・・・・・

 『ジョォ〜〜〜ッ!!』


 タイミングバッチリ駆け寄りしがみ付くボンキュッババァ〜んなパツ金美女! ムワ〜ンとあちこち桃色ドリィム炸裂な女体の誘惑、怖い、即負けしてるオレってば理性ナッシングで怖いッ!  ・・・・ あぁ、シルビア可愛い奴、ハハハ、心配したかい? ふふ、こんなに震えて怖かったか?淋しかったか? すりすり顕わな腿を豪快に摩り摩り、ぐっと寄せて上げて密着のボイン万歳! 眼福の極み、ハイパ〜セクシィ〜グランドキャニオン。


 『ねぇぇん、ジョォ、あたいアンタにメロメロだようッ! 抱いて! めちゃくちゃにしてッ! す・き・に・し・てっ!・・んん〜〜〜ッ』

 ぷはぁ〜〜ッ! 

 圧し掛かられもんどりうつ肉弾戦、ナイーブなボクチンたらもータジタジ。 ああああああのねぇ、キミキミ、すっごい積極的っつうか、えーココでやる? 今? 今すぐ? アァンえっちぃ今ココでやんの? ココで? 


 『・・・・ コ コ も 、ヤ・ル・のぉ〜〜っ!!』

 ぅをおッ?!

 ペロリと雌豹チックに舌舐めずりする美女の指先がするっと、クリッと、んんん?? 嘘ォ! 目指してるのはそこッ? そこかッ?! ソコは、あぁ、フードルナミコ御得意の過激! 前立腺プレイ?  禁断のゴォ〜トゥ〜アナァ〜ルッ?! 

 『うふふふふ・・・ココかなッ?!』

 ふぁあァッ! キタキタキタ、ヒットだ、キタぜッ! アァン・・厭々い、イッちゃう、イヤン、嫌だよコンナ強制オナニーみたいなのッ!
 よォ〜し! 見てろよシルビア、ヤラれてばかりが男じゃないぜッ! オレはこっちも百発百中、三つ目の銃でズカンとイクぜっ!!


 スワッと体制逆転、濡れ濡れホットゾーンに進撃快撃出陣ッ!!

 『あぁ〜〜〜〜ン、凄いッ、アン壊れちゃうぅ〜ん!!』

くぅううッッ、生きてて良かった夢にまで見たその台詞、我が人生悔いナシッ! そ、そう? ねぇ、ホントッ!? あーロマンだな、男で良かったな、ナンかボクチン夢見てるみたいだよ。

でも夢なんかじゃない、グワシとマシュマロみたいな乳をこうしてグワシと鷲掴みッ! ええか? イインか? 

・・・うッ・・? 

 『・・・アァン、ジョォ〜〜〜ッ!!』

ナニ? やな予感、今腹ン奥ググいった・・

 『はぁあぁ〜〜ンッ、キテぇ〜キテ、ダ〜リン!!』

 キ、キテッて・・・アァ今じゃなきゃ駄目?ッていうか、こ、こうか? ゥゥゥ、こう・・・・・ う・・・ツゥ・・ヤヤバイ、危険ッ! 超特急で駆け抜ける腸内ウンコ様御一行。 コウションッ! コウション! 今や一目散に出口目指してウンコ様が駆け巡るマイ腸内ッ!!  ちなみにゴール直前! がしかし、濡れ濡れ美女がココに、オレを、ココにオレをシテシテってな、あぁ、シルビアぁァッッ!! 

アッ、



やっぱダメェ〜〜ッ!!



                                       **



 『ジョウシマさんっ!!  掴まってッ! 便所行きましょッ!!』


 う・・剃り込み君・・・ココはどこ? やけにゴージャスなどっか。 ロケ? びっくりカメラ? ダヨダヨ素人寝起きドッキリ「ドォもぉ〜なんちゃってぇ〜〜ッ!』 て、そうそう! 看板持ったオオキボントが蝶ネクタイで出てくるソレ? 


 『いや、ココ自分ちですから! 自分、ココに住んでマスッ!! 己の為底辺から働きつつ、いずれオヤジの会社つぐ予定っス!!』

 ほほぉ〜っ・・・・て、

 んこッ! 

そりコミ君ソレドコロじゃないッ!ソレドコロじゃないからソコどいてくれッ!そこってここ、ひゃーごっついブルジョアトいれだよすげぇ!貧乏学生の二人くらい住めそうな広さ! 美しさ! ッて駄目だ、暢気に美を愛でてる場合じゃないッ!  ドケッ! 剃り込み君ッ! 

 『どうぞッ! 出してくださいッ!!』

どうぞ言うなッ! 出てけッ! もー出てッて、イヤン・・・ォオオオッんこ出ちまうよう! オうオウオウオウッ! 

 『摩りますッ!』

ッて下っ腹なんかイヤァァァァァァッッッ!!!



・・・・・・・・・・・・・・     解放 ・・・・・・・・

 ぷしゅぅぅ〜〜ッと生き返るオレ。 で、見る間にナンモカンモ失った感じのオレ。 
 パパママごめん。もうお嫁に行けないかもしれない・・・・

 便座に項垂れ、ウォシュレット中のオレの傍ら目を細め、ぬるく微笑み見つめる剃り込み君に、とりあえずぶちかますファーストクェスチョン。

 ・・・・で、なに? 何キミ、どうして僕の排便見るわけ?


 『自分、眠るジョウシマさんにムラッと来て、準備万端さして頂きました・・・・・  押忍!!』

 押忍! って今更恥らうなッ! ってキミ、ナニ持ってるの? え? 使用済み・・・イチヂク浣腸? 

 『いつでもオッケェです・・・・・』

 を、ォォおおッッ??!! そそそそそりはつまり、ホモセックスのデフォルト、ピストン時のミヤゲ対策、ソレっスかぁ〜?


 『 ジョッ、ジョウウシマさんッ、愛してるッ!好きだッ!  アナタは、今や、ドコもカシコも美しいィッツ!!』

 いっ、イヤッ!!

 『 アナタを泣かせるのはベッドの中だけだと、自分、誓いますッ!!』


 のッ、のぉおぉおおおおおオッッゥ!!



                                            **





               夕日に映える荒野を一人、
               キズだらけのガンマンが一人、地平線に向かい歩いて行く。



               彼が激しく痔を患っている事を知るのは、孤独なハゲワシか、老獪なコヨーテか・・・






December 5, 2002





         * 佐伯さま  『浣腸を我慢しながら攻める攻』  

                  ・・・・      ってサラリと言われてもへヴィだよ、ピース。