凄い、オレ
ジョー君が緑のパンツを穿けと言うから、オレは、駅前のダイエーで、フェンスみたいな緑のブリーフを3枚買ってきて、かれこれ二週間は穿きまわしている。
『ワタル君、ラッキーカラーは緑だよっ!!』
ジョー君は弱虫だけど、言い出すとしつこくて、後で、ご飯に消しゴムのかすを飛ばしたり、風呂の栓を抜いたり、昼食べた納豆の茶碗を洗わなかったり、きっと一杯嫌な事をするので、オレは5時間砂利を運んだ尊いお金の一部を、新ブリーフに投入した。 ジョー君は、ドラえもんのトランクスを穿いている。 キャラクターが、ツキを呼ぶ、らしい。 神秘の占い師バルバラ麗子先生ってのは、つくづく余計な事を言う。
言っちゃなんだが、オレは、ブリーフを穿くなら白に決まり!の、ポリシーを貫いてきた。 ソレを覆した緑パンツ作戦には、ジョー君のパンフェラサーヴィスが洩れなく付いていたからだ。 パンフェラ、俺の憧れシチュ、が、不覚だ。 アレは、やはり、白ブリーフで仁王立ち、口紅べっとりマダムにやってもらうのが、イケルのである。
『じゃぁさ、ボクが口紅塗るからさぁ・・・』
ソレも不可だ。 ジョー君は、髭がチャームポイントだから、口紅は、似合わないってか、きっと俺のデリなチンコは萎え萎えだ。 なぁ、ジョー君、この作戦は、やはり失敗に思える。 一つ、馴染みのケツで遣らせてくれないだろうか?
『駄目だよう、だって、ボクは、今月、セックスに注意!なんだもん』
ソレも、ナシだ。 この二週間、犬の糞を踏んだり、チャリのタイヤ抜かれたり、手堅く買った馬券の騎手が転がり落ちたり、オレはどうにも絶不調。 加えてマイチンコも絶不調、項垂れるばかりだ。 あぁ、忌々しい、ハッピィグリーン。 緑のブリーフに、緑のTシャツ、仁王立ちして、ジョー君に腰を突き出す俺ってば、偉そうなマッチョのバッタのようではないか?
『ワタル君は、何着てもカッコイイよ。』
ジョー君が、頬を染める。 そうかな?オレは、カッコイイかな? だがしかし、ドラえもんの君は、全くイタダケナイ。 もはや二週間、俺の獣はハムスターに成り果てた。 鶯谷の、絶倫アニキと言われた俺の、このザマを見ろよ、おい、ジョー君、泣けるじゃないか。
『しし座のあなたは、イメージトレーニングが、有効!!』
素早く愛読書をチェックしたジョー君が、開いたページを高く掲げる。 またもやバルバラ麗子か? キレかかるオレに怯えたジョー君が、電話の横のペン立てから極太マーカー(赤)を掴んで、俺の緑ブリーフ、当社比30%オフのチンコ真上に、ぐにゃぐにゃ四苦八苦して、大書きをする。
――― スゴイ、チンコ ―――
そ、そうか・・・すごいか、そうか?!
『スゴイよっ! ワタル君のは! 褐色の悪魔だよっ!』
ジョー君が、拳を握り、力説した。 書き殴りの文字が、緑ブリーフの上で踊った。 おぉ!!今こそ、眠れる獣が目を醒ますのかっ!! スゴイ と チンコ の間の点が、ちょうど『おつの』のてっぺんをワンポイントで飾る。 オレの勇姿にジョー君も涙ぐみ、半べそのジョー君に、オレは激しく欲情した。 マッハの速さで緑ブリーフを脱ぎ捨てるオレ。
『こりゃ、スゲェッッ!!』
そうしてオレは、存分に、復活した「スゴイ、チンコ」でジョー君をガツンと泣かせてやった。 オレがダイエーのガラポンで、緑玉二等賞、お米券10000円分を当てたのは、それから三日後の出来事である。 バルバラ麗子、侮り難し。
October 28, 2002
ハヤミミトロルのオオハラ様。 パンツ企画、エキサイト応援中。