犬は犬


あぁと震えた時にはもう遅かった。
爆ぜる直前あり得ないほど奥を突かれて嘔吐き、放たれた生暖かい塊は喘いだ口からぼたぼたと零れ落ちた。鼻腔を這い上がるのは決まって鉄臭い血の匂いで、ひりとひりと棘のように濃い雄の塊にまた喉を灼かれた。床に散った白濁に混じる血がえげつなく赤い。

飲めという、この塊を。魂の抜け殻、排泄された欲望の権化を。請わず、赦されず、ただ涸れるまで繰り返し、繰り返す。吐き出された残滓が手や足を汚しても、幾度絞り出そうとも、果ては全て唾棄されるとも知らず。
情と欲とを履き違えたおまえの魂は、盲いた悪食の糧にも成らず、萎れた草の根の肥やしにも成らず、愚もつかぬ犬の喉と胃とを僅か灼くためだけに、今また頭を擡げ始めている。酌まれることなく溢れ廃るあの瞬間がまたやって来る。

さあばらまけ。









   
20030703
   59595&『金魚と愛人』一周年記念、ウメキュさんへ。悪夢週間と愛の勢いに乗せて。






   *  佐倉様になんか頂いたってのでもう、もう、もう。
      ギョッと凝縮された悪夢は、後々五感に堪えるのです。 凄いよな、アリガトウ御座いました。